雪害対策(監修:沼野夏生 東北工業大学教授)
7.雪害の変遷その2「人身雪害の変容」

 人身被害があった雪害の長期的な推移をみると、高度成長期をはさんで顕著な変化が読み取れます。30年間の雪害の変化を10年ごとにみると、なだれが大きく減った一方で、屋根からの転落や落雪など、屋根雪や雪下ろしがらみの事故が増えています。
 なだれが減ったのは、対策が進んだためというより、炭焼きや林業などで人々が冬の山間地に入ることが少なくなったためです。
 一方の屋根雪事故の増加は、住宅や町並みの変化の影響もありますが、地域社会の高齢化や高齢者世帯の増加が重要な要因といえます。
 このように、雪害の変化は社会の変化と密接に関連しています。社会の動向を見極め、雪害対策に生かしてゆく必要があります。

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