テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの電源プラグは、一度コンセントやテーブルタップに差し込んだらそのままの状態で使用していることが多いと思います。
コンセントに長期間電源プラグを差し込んだままにしておくと、コンセントとプラグとの隙間にほこりが徐々にたまっていき、このほこりが空気中の水分などを吸うことによりプラグの両刃間にわずかな電流が流れるようになります。それが繰り返され、やがて、この部分から火が噴き出し、火災となります。これがトラッキング現象による火災です。
これは燃えた壁付けコンセントと差し込みプラグです。
このプラグ面の矢印部分にトラック・炭化導電路が形成され出火します。
この事例は、周囲に可燃物がありましたが、幸いにも燃え移らずに済みました。
また、周囲に可燃物がなくても、板張りの壁などは、そのまま壁面に燃え移ってしまうことがあります。
トラッキング現象の発生メカニズムを説明します。
コンセントとプラグとの隙間にほこりがたまり、湿気を含むとプラグの両刃間で火花放電(シンチレーション)が繰り返されます。
やがて、プラグの両刃間でショートし、繰り返し発生する微小な火花放電がプラグ両刃間の絶縁状態を徐々に悪くし、トラック(炭化導電路)が形成されます。
トラック(炭化導電路)に電気が流れることによって生じた電気抵抗により発熱し、ついには発火します。
それではトラッキングによる出火を再現してみましょう。
コンセントとプラグの間に食塩水をたらすと、やがてシンチレーションを繰り返します。トラッキングが起きても、電気器具に異常が見られることは少なく、発見が遅れる理由のひとつになっています。
ある限界点を超えると、現象が飛躍的に進行し、出火します。