コンビナート災害対策(監修:大谷英雄 横浜国立大学大学院教授)
2-6.事故防止対策の現状 リスクアセスメントによる安全管理

 次に、まだ経験されていないような大事故に至るものも含めてリスクアセスメントによる安全管理について説明します。

 リスクアセスメントにはいくつもの手法がありますが、これはその一つであるイベントツリー(ET)の例を示したものです。切っ掛けとなるトップ事象から次々に起こると想定される事象(イベント)を繋いでいったものであり、起こり得るいくつかの事象がある場合にはそこで分岐します。トップ事象の発生確率から始まって、分岐する場合にはそれぞれの事象へ分岐する確率を掛けて行き、最終的に到達する右端の事象の発生確率を計算するものです。発生確率の小さな事象は予防措置の対象外とされます。

 大きな被害の発生する事象の発生確率が大きいと予想されるような場合には、どのような防止措置をどの段階で追加すればその事象の発生確率を効果的に下げることができるか検討することができます。
 問題点としては、非常に小さな発生確率のものまで検討するとETが膨大なものとなる一方、ある発生確率で切ると、大きな災害が予測から漏れるといったことが挙げられます。

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