コンビナート災害対策(監修:大谷英雄 横浜国立大学大学院教授)
2-7.事故防止対策の現状 リスクアセスメントによる安全管理 リスクアセスメントの現状での問題点

 リスクアセスメントによる安全管理を行った場合の現状での問題点としてリスクの社会的需要とヒューマンエラーをどう扱うかの二点について触れてみましょう。
 先ほどのイベントツリーのような手法を使ってある施設が存在することによるリスクが計算できるようになってきています。しかし、リスクの計算時にはできるだけ発生の予想される災害を網羅するように努めるのは当然ですが、すべてを含むことは不可能であり、どの程度正確に予想できているかに問題が残ります。
 さらに、これが正確であったとしても、それでは計算されたリスクの値がいくらであれば良いのか、社会的に受け入れられるのかということに対する議論が不十分です。

 また、ヒューマンエラーをどうリスクアセスメントに反映するかについても検討が不十分です。イベントツリーにもある程度は人為的な事象も含まれていますが、機械的な事象の発生確率に比べてヒューマンエラーの発生確率についてはイベントツリーへの反映が不十分といえます。

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