コンビナート災害対策(監修:大谷英雄 横浜国立大学大学院教授)
2-8.事故防止対策の現状 リスクアセスメントによる安全管理 リスクレベル

 日本ではリスクの議論はまだこれからですが、先に述べたイベントツリーでは、一般に発生確率が百万年に1回より小さいものは検討しないことが多いようです。これの根拠とされるのが、ここに示す数値です。これは昭和63年のデータですが、1年間のある災害による死亡率を表しています。火災ではおよそ10万人に一人、交通事故が1万人に一人、家庭内の事故が2万人に一人、殺人が10万人に一人、労働災害が2万人に一人であり、自然災害は百万人に一人となっています。そこで、最も低い自然災害で考えると、一人の人については百万年に1回死亡する確率があるので、これより小さければいいのではないかという議論です。ただし、イベントツリーなどで百万年に1回としているのは、ある災害の発生確率ですが、その大部分は死者の発生しないような災害であり、死者の発生確率は計算はされていませんが、百万年に1回よりも小さいものと考えられます。

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