避難所の設置·運営
1.はじめに

大規模な災害が発生した場合、自宅が被災した住民の多くが、避難所での生活を余儀なくされます。災害の発生前に避難勧告・指示等が出されて、避難所が開設される場合もあります。さらに、住民が自主的に避難している場合にも、避難所として対応することが必要となります。

災害が発生した場合や、そのおそれがある場合、安全に生活できる場所を住民に対して提供することは、市町村に与えられた重要な使命の1つです。

避難所の設置については、主に「災害救助法」により規定されていますが、東日本大震災において、避難所に関して次のような課題が浮き彫りになりました。

・被災者の心身の機能低下や様々な疾患の発生・悪化が見られた。

・多くの高齢者や障害者、妊産婦、乳幼児を抱えた家族、外国人が被災したが、避難所のハード面の問題や他の避難者との関係等から、自宅での生活を余儀なくされた。

・ライフラインが途絶し、食料等も不足する中、支援物資の到着や分配に関する情報などが在宅の避難者には知らされず、支援物資が在宅の避難者に行き渡らないことが多かった。

・県や市町村の域外に避難する広域避難者に対して、情報、支援物資、サービスの提供に支障が生じた。


こうした課題を踏まえ、2013年(平成25年)6月に災害対策基本法が改正され、避難所の指定や避難所における生活環境の整備、避難所以外の場所に滞在する被災者への配慮について、新たに規定が設けられました。また、この法改正を受け、「避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」が策定されました。

このレッスンでは、避難所における良好な生活環境の確保や、被災者の避難生活に対するきめ細やかな支援に関する取組について、平常時と発災後に分けて見ていきます。

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