緊急消防援助隊
2.広域応援制度

 消防の広域応援制度の沿革についてです。
 消防組織法第6条において「市町村は、当該市町村の区域における消防を十分に果たすべき責任を有する。」と規定されています。市町村長は、地域ごとに自らの管内で起こった災害などに対する責任があることが明確にされ、各消防本部などの消防機関がその役目を担っています。


 しかし、災害や事故の規模やその内容によっては、管内の消防力では不足する場合があります。


 その場合には消防組織法第39条での対応となります。
 「市町村は、必要に応じ、消防に関し相互に応援するように努めなければならない。」と規定されています。

 そのため市町村や消防本部では、隣接する消防本部や各都道府県内の消防本部などで事前に応援協定を締結し、お互いに応援体制を取っています。


 ところが、災害が更に大規模となった場合などには、これらの応援協定で十分対応出来ない場合もあります。その例として、昭和39年6月に発生した新潟地震がありました。近隣の消防本部からの応援はもちろん行われましたが、新潟県内の石油タンク施設などの火災への対応として、被災地域の化学消防車の不足から、東京消防庁などの消防機関から化学消防車などの応援出動が行われました。
 このように隣接地域からの応援だけでなく、都道府県の枠を超えた消防部隊などの応援の仕組みが必要であると認識され、昭和40年の消防組織法改正において「非常事態の場合における消防庁長官等の措置要求」が位置づけられ、法律の中で全国レベルの消防の応援に対する仕組みが作られました。これが広域応援、そして緊急消防援助隊の基本となる条文となりました。
 さらに、都道府県内の全体的な視野から、すべての市町村を通じて総合的な応援体制の確立を図るため、都道府県の役割として、市町村の消防の相互応援に関する計画の作成の指導に関する事項が規定されました。

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