緊急消防援助隊
7.「求め」と「指示」

 緊急消防援助隊は当初「緊急消防援助隊要綱」により規定され運用されていましたが、平成16年に消防組織法上で正式に位置づけられるともに、その出動も「求め」に加えて「指示」が設けられました。
 それまでは、消防組織法において「消防の応援等のために必要な措置をとることを求める」のは、すべて消防庁長官から都道府県の知事又は市町村長への「求め」となっていましたが、新たに第5項が定められ、2以上の都道府県で甚大な被害が発生するような東海地震等大規模災害やNBC等特殊災害に対しては、出動のため必要な措置をとることへの「指示」が設けられました。(第44条)

 「求め」と「指示」の違いは、「求め」は"お願い"という意味となりますが、「指示」は"命令"という意味合いとなり、ここでの「指示」の内容は「都道府県内の部隊を編成して、被災地に向かって応援のため出動しなさい」ということになります。
 ただし、出動後の緊急消防援助隊としての具体的な活動は、被災地における現地消防本部の指揮下に入ることとなります。つまり、緊急消防援助隊が出動する契機となるものが「求め」でも「指示」でも、緊急消防援助隊の部隊の運用内容に違いはありません。
 では、なぜ「求め」ではなく「指示」としているかについてです。大規模な災害が発生した場合には、消防力を投入して対応することは、国の責任で行うべきということから、その責任の所在を明確にする意味があります。そこで、国の責任という位置づけから、活動経費についても国で負担することとなります。
 都道府県知事などの「要請」に基づく応援や、都道府県内における消防相互応援協定による応援の場合は、制度上の原則として、応援を受けた側(受援側)が応援をした側(応援側)に隊員の時間外勤務手当や、車両の燃料などの応援に伴う諸経費を払わなければなりません。(相互応援の場合に、費用の負担について受援側に負担を強いない場合もあります。)
 しかし、消防庁長官の「指示」による出動の場合は、国の「命令」による出動となるので、経費負担の責任は、国にあることになります。

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