消防庁が配備したNBC災害対応資機材取扱映像 (監修·制作協力:消防庁・櫻護謨株式会社、帝國繊維株式会社)
2.ケミプロ100

 ケミプロ100。

 ケミプロ100は、化学兵器用剤の有無を現場で迅速に検知する携帯型の検知器です。

 使用方法。

 ケミプロは起動時にバックグラウンドを測定するため、起動は出動前等の汚染されていない場所で行う必要があります。

 まず、吸気口キャップを反時計回りにカチッと音がするまで回し、吸気口を開放します。(SE:カチッ)

 電源ボタンを3秒間押し続けることで、自動起動プロセスが開始します。

 約3分間の自動起動プロセス終了後、画面に「AIR」が表示されたら測定が開始されます。


 続いて、測定方法を説明します。

 起動状態のまま使用すると、標準の測定がされます。

 次に「トレンドモード測定」の手順を説明します。トレンドモードは時間の経過に伴う周囲大気の変化の状況がグラフ表示でリアルタイムに分かり、警報レベルを超える前の微量なガスを認識することもできる測定です。

 始めにメニューボタンを押します。その後、右ボタンを2回押します。

 トレンドモード画面が表示されたらセレクトボタンを押します。グラフが表示され測定が開始されます。

 標準の測定に戻る場合は、「Exitボタン」を2回押します。

 化学剤・有毒ガスを検知し、警報レベルを超えた場合には警報音を発し、LEDランプが点灯し、画面表示が切り替わります。

 化学剤を検知した際には、ガスマスクのアイコンと化学剤が系統別に表示されます。また、濃度ゲージにより概ねの濃度もわかります。

 化学剤以外のガスを検知した際には、どくろマークのアイコンとケミカルハザードの文字が表示されます。

 ケミプロを停止するには、まず、電源ボタンを3秒間押し続けます。

 画面が切り替わり、OKボタンを押すと、電源が切れます。

 最後に、吸気口キャップを時計回りに回して閉じれば、停止手順の終了です。

 化学剤を検知した場合には、除染が必要となります。その手順を説明します。

 まず、除染液に浸さないよう、吸気口キャップが閉じていること確認します。

 その後、5%除染液、または5%の次亜塩素酸ナトリウム溶液に浸したタオルで表面を拭き取り洗浄します。

 最後にきれいな水にてふき取り、除染作業は終了です。

 最後に、注意事項を説明します。

 ケミプロ本体には、ガスをイオン化するために放射線源が使用されているため、紛失等の無いよう管理には十分注意しましょう。

 また、本体の分解等は絶対に行ってはいけません。本体を廃棄する場合は、必ず納入業者に引取りを依頼します。ケミプロは防爆性を有していないため、可燃性ガス等があることが懸念される場合、可燃性ガス検知器等で確認後に使用して下さい。

 現場で何らかのガスを吸引した場合には、汚染のない場所で30分以上、きれいな空気を吸わせてから収納してください。

 センサーの状態を確認するために、3~4ヶ月に1度、テストガスによるセンサーテストを実施すること。テストを行った場合、30分以上きれいな空気を吸わせてから収納してください。

 以上、ケミプロ100の使用方法を説明してきました不明な点などは「平成28年度救助技術の高度化等検討会報告書」を確認し、安全で正確な検知を行うようにしてください。

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