消防庁が配備したNBC災害対応資機材取扱映像 (監修·制作協力:消防庁・櫻護謨株式会社、帝國繊維株式会社)
1.LCD3.3

 「LCD3.3」(エルシーディー3.3)

 LCD3.3 は、化学兵器を素早く検知、かつ識別しまた有毒産業化学物質の蒸気を検知する携帯型の検知器です。

 使用方法。

 LCD3.3は、出動前に起動させ、使用準備を完了させておく必要があります。

 まず、装置上部のレインキャップを反時計回りに回します。画面に待機中を示す表示が現れるので、そのまま1分ほど待ちます。

 待機中の画面が終了すれば使用準備完了です。

 5分が経過しても待機画面が終了しない場合は、シーブパックの劣化が疑われるため、新しいシーブパックに交換することをおすすめします。


 また、測定前に疑剤テストを実施することを推奨します。実施方法は本編後半にて解説します。

 続いて、測定方法を説明します。

 起動状態のまま使用すると、標準モードでの測定が行えます。

 検知モードを選択する場合はメインメニューから、カーソルキーを使って使用するモードを選択してください。

 選択できる検知モードは、英語表示、日本語表示によって異なります。

 英語表示の検知モード。「CWA」は、化学兵器のみのサンプリングを5秒サイクルで測定します。

 「サーベイ」。化学兵器のみのサンプリングを2秒サイクルで測定します。

 「TIC」。有害工業ガスのみのサンプリングを行います。

 日本語表示の検知モード。「標準」は、化学兵器と有害工業ガスを同時にサンプリングします。

 「化学剤」。化学兵器のみのサンプリングを5秒サイクルで測定します。

 「サーベイ」。化学兵器のみのサンプリングを2秒サイクルで測定します。

 「高感度」。化学兵器及び、一部TICのサンプリングを同時に行います。

 測定が終了したら、レインキャップの突起が検知器本体の浮き出たマークを指すよう、レインキャップを時計回りに最後まで回し、LCD3.3をシャットダウンします。

 次回使用する際、起動時間が長くなる可能性があるため、可能な限りきれいな空気を吸わせた後、シャットダウンするようにしましょう。

 危険物質を検知した際の除染方法を説明します。

 まず、5%除染液や5%の次亜塩素酸ナトリウム溶液に浸したタオルで表面を拭き取るか、きれいな水を使用して洗浄します。

 除染液が装置に浸入するのを防ぐため、取入口のレインキャップ、シーブパック固定カバー、バッテリーカセットが閉じていることを確認し、爪ブラシのように適切なブラシを使用して、除染液で装置の全表面を力強く洗浄します。

 除染剤の効果が出るまで装置を最低15分間放置し検知紙を使用して汚染の有無を確認します。この時、除染液で覆った装置を30分以上放置しないよう注意しましょう。洗浄後、繊維くずの出ない布で拭き上げます。

 装置を40分間きれいな空気下に放置した後、擬剤テストにより確認し、除染できていれば作業の終了です。

 最後に、注意事項を説明します。

 LCD 本体は、付着している水滴やホコリなどをきれいに拭き取り、シリカゲルやモレキュラーシーブなどと一緒に収納袋に入れて保管しましょう。

 疑剤テスターは、キャップをしっかりと締め、外部に漏れないように収納袋に入れて密閉状態で保管しましょう。

 バッテリーは、放電するため、本体から外して保管します。その際、バッテリーの被覆が弱いため、工具等では外さないようにしましょう。

 シーブパックは、1度本体に装着したら外さないようにしましょう。シーブパックにはアンモニアが含まれているため、処分する際は、産業廃棄物としての処分が必要です。

 以上、LCD3.3の使用方法を説明してきました。不明な点などは、「平成28年度救助技術の高度化等検討会報告書」を確認し、安全で正確な検知を行うようにしてください。

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