防火対象物における火災の予防 (監修·制作協力:仙台市消防局)
3-2.消防法令の適用範囲 安全対策

 火災予防に係る安全対策について、包含される範囲を直接定義した条文はありませんが、関連規定の全体的な内容などから、消防法における主眼は、出火防止から発災時の初期対応にあります。防火対象物における被害軽減の観点から、これらの対策は最も重要かつ効果的なものとなります。


 消防法では、平常時から火災などの発災時まで、事象の進展に応じて必要となる一連の対策が、複層的に定められています。
 また、安全対策の内容は人的措置と物的措置に大別することができ、ハード・ソフトの両面から有機的に安全確保を図るものとなっています。

 人的措置については、「防火管理」を軸として、安全対策に係る全体計画の策定、これに基づく組織・人員の確保、火気管理、緊急時の対処、教育訓練やメンテナンスを通じた日頃の備えなど、防火対象物において講ずべき措置全般が包含されています。
 物的措置については、出火源となるおそれのある設備・器具、急激な延焼の媒体となるおそれのある内装品等の物品、火災危険性の大きい物質に係る貯蔵・取扱いを行う場所の位置・構造・設備、火災時の応急措置に必要な消防用設備等について、基準が設けられています。


 防火対象物において法的に必要となる安全対策は、それぞれの防火対象物の火災危険性に応じたものとなるよう、適用要件が定められています。
 基本的な考え方として、防火対象物の全般的な火災危険性に対応するため、消防法施行令別表第1に掲げる用途区分に、規模、構造、収容人員などを加味した適用要件が、個々の安全対策ごとに設けられています(例 飲食店で延べ面積が150㎡以上→消火器が必要など)。
 このほか、出火源となるおそれのある設備・器具(厨房設備、ボイラーなど)、火災危険性の大きい物質(危険物、指定可燃物)については、それぞれの危険性に着目した安全対策及び適用要件が別に定められています。

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