① 震災対策
11.延焼阻止線

 大地震によって発生した火災が予想以上に多く、消防隊の懸命な消火活動にもかかわらず延焼拡大し消火不能になることも考えられます。
 このような場合は、延焼拡大から防ぎ守る手段として、道路・河川・耐火造建物(たいかぞうたてもの)などの地形・構造物を活用します。
 あるいは破壊消防により延焼拡大を防止する事もあります。このような要領を延焼阻止線の設定といいます。
 消防署・消防団では、震災時の消防活動計画の中でこのように延焼阻止線となり得る道路・河川などをあらかじめ指定しておく必要があります。
 また、延焼阻止線の設定は、膨大な消防力を必要とする場合が多く指揮本部の指揮のもと活動を行うこととなります。延焼阻止線設定に必要な事柄をみていきましょう。

 概ね20m以上の幅員のある道路、河川、空地、耐火建物群などを境として、延焼から守る街区内の火災を徹底的に消火し、火流を延焼阻止線で迎え撃つことになります。
 指揮本部は、使用する水利と延焼阻止線上の放水すべき部署位置を各隊ごとに指定し、これによって各隊は消火活動を行います。
 水利は、原則として延焼から守る街区外のものを使用しますが、水量に余裕がある場合又は延焼街区内の水利が使用できる間はこれを活用します。
 火勢を弱めるため延焼阻止線に近い延焼街区内の建物にも適宜注水を行います。
 大火流が延焼阻止線に到達するまでの間、火流の両側面から消火し、少しでも延焼阻止線到達時の火面の幅を小さくすることもおこないます。
 火流が延焼阻止線に到達する直前になったら一斉に放水を始め、火勢を弱め反対側の街区への延焼を阻止します。
 また、大火災であることから背後地への飛火警戒には、全力を尽くして延焼阻止線を飛び越されないよう最大の努力をします。

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