いる。

これらの火災を踏まえて、消防庁では、主として

自力避難困難者が入所する小規模社会福施設にお
ける防火安全対策として、防火管理者の選任基準を

「収容人員10名以上」、スプリンクラー設備の設置

基準を「延床面積275m

2

以上」まで引き下げ、対

象施設の範囲を拡大するとともに、すべての施設に
消火器、自動火災報知設備及び消防機関へ通報する
火災報知設備を設置することを義務付ける等の強化
を図ってきたが、平成25年2月に、長崎県長崎市
の認知高齢者グループホームにおいて、死者5名
の火災が発生したことを受け、認知高齢者グルー
プホーム等の火災被害拡大防止対策及び火災予防行
政の実効性向上等について検討を行った。(特集
5.2.参)

高齢者、害者等の災害時要援護者に係るリア

フリー環境の整備を推進するためには、火災等の災
害時における消防機関等への緊急通報や迅速な避難
誘導等が円滑に行われるよう社会福施設の安全性
を確保する必要がある。

一方、社会福施設以外の比的小規模な施設に

おいても多数の人的被害を伴う火災が発生してい
る。平成19年1月には兵庫県市のカラオケボッ
クス火災、6月には東京都の温施設爆発火
災、平成20年4月には札幌市中央のソープラン
ド火災、10月には大阪市速の個室ビデオ店火
災等が発生している。

これらの火災の発生を受けて、カラオケボックス

等や温採取施設における自動火災報知設備やガス
漏れ火災警報設備の設置基準の強化等について、消
防法施行令及び消防法施行規則の一部改正が平成
20年7月に公布され、同年10月に施行された。

個室ビデオ店等における火災の早期覚知・伝達手

段の確保や避難害への対策に関する技術上の基準
の整備については、消防法施行規則等の一部改正が
平成21年9月に公布され、同年12月に施行された。
本改正により自動火災報知設備及び非常警報設備の
設置基準が強化されるとともに、避難経路における

の滞留を想定した誘導の設置基準の改正が行わ

れた。

3

平成14年の消防法の一部改正等を受けて、全国

の消防機関において消防法令違反の正に取り組ん
だ結果、小規模雑居ビル等の防火対象物に対する違
反正に一定の成果が得られた。

しかし、命令の発動件数や法令基準の守状況に

は地域が見られ、特に、平成24年5月に発生し
た広島県福山市のホテル火災においては、長期間、
消防法令違反が正されていなかった。また、平成
25年7月31日時点でのホテル・等に係る調査
結果においても、659施設のうち、309施設

(46.9%)においてらかの消防法令違反が発見さ

れ、自動火災報知設備が過にわたり未設置など重
大な違反があるものは、そのうちの34施設(5.2%)
であった。

これらのことから、より一層の違反正のを

図るため、違反が正されない防火対象物に対して
は、各自治体が定める違反理基準等に基づき適切
な行期限を設定した警告、置命令を速やかに発
動するとともに、特に人命危険の高い対象物につい
ては、その危険性、質性の高いものを的に改

させていく対応が必要である。
また、管内における火災危険性の高い防火対象物

について、関係部局との情報共有や防火対象物定期
点検報告等の情報を有効に活用し、人命危険の高い
対象物の優先度を整理して実施するなど、効率的か
つ効果的な査察体制を構築することが必要である。

そのため、消防庁では標準的なマニュアルの改正

等を行い、人命危険の高い違反対象物に対する立入
検査や違反正のさらなる推進方策を図っている。

4

の防火対

近年、比的小規模な福施設において、多数の

人的被害を伴う火災が発生している。長崎県大村市
の認知高齢者グループホーム火災(平成18年1
月:死者7名)を皮切りに、神川県市の害
者ケアホーム火災(平成20年6月:死者3名)、群

県川市の人ホーム火災(平成21年3月:死

者10名)、札幌市北の認知高齢者グループホー
ム火災(平成22年3月:死者7名)等が発生して

第1 火災予防

災のと


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