業所の実態に応じた安全対策や、危険物施設の経年

化をはじめとする事故要因への対策を講じる必要

がある。

このような状況を踏まえ、関係業界や消防機関等

により構成される「危険物等事故防止対策情報連絡
会」において策定された「危険物事故防止アクショ
ンプラン」に基づいた事故に係る調査分析等の情報
共有や、各都道府県における事故防止の取組など、
官民一体となって事故防止対策を推進していく必要
がある。

科学技術及び産業経済の進展に伴い、危険物行政

を取り巻く環境は常に大きく変化している。

近年では、新たな危険性物質の出現のほか、天然

ガス自動車、燃料電池自動車、電気自動車等の普及
等に伴い、危険物の流通形態の変化、危険物施設の
多様化、複雑化への対応が求められている。

このような状況に的確に対応するため、新たな危

険性物質の早期把握や、新技術の導入等に伴う危険
物施設の技術基準の見直し等を引き続き図っていく
必要がある。

大量の危険物を貯蔵し、は取り扱う屋外タンク

貯蔵所において流出事故が発生した場合には、周辺
住民の安全や産業、環境等に対して多大な影響を及
ぼすおそれがあることから、その安全対策は重要な
課題である。同時に、当該タンクが有する安全性に
応じた合理的な技術基準等を設ける必要がある。

近年では、容量1万キロリットル以上の屋外タン

ク貯蔵所について、当該タンクが適合している位
置、構造及び設備の技術基準に応じた保安検査の周
期の合理化に係る検討を行っているほか、浮きを
設ける場合の技術上の基準の整備を行った。

また、屋外タンク貯蔵所では、過去の地震動を踏

まえ、長周期地震動や液状化等への対策を進めてき
ており、「東日本大震災を踏まえた危険物施設等の
地震・津波対策のあり方に係る検討会」において、
屋外タンク貯蔵所の地震に対する技術基準は現時点
で当であるとされたが、今後新たな知見が示され
た場合には、必要性を踏まえ技術基準のあり方につ
いて検討を行うこととしている。

2

ンの

石油パイプラインのうち、一般の需要に応じて石

油の事業を行うものについては、その安全を確
保するため、昭和47年(1972年)に制定された
石油パイプライン事業法により、基本計画の策定及
び事業の可に当たって総務大臣の意見をかなけ
ればならない。また、総務大臣は工事計画の認可、
完成検査、保安規程の認可、立入検査等を行う。

石油パイプライン事業法の適用を受けている施設

は、現在、成田国際空への航空燃料用パイプ
ラインだけであり、それ以外のパイプラインは、消
防法において移取扱所として規制されている。

石油パイプライン事業法に基づく成田国際空へ

の航空燃料用パイプラインについては、定期的
に保安検査等を実施するとともに、事業者に対して
は、保安規程を守し、法令に定める技術上の基準
に従って維持管理、点検等を行わせ、その安全の確
保に万全を期することとしている。

の課題

危険物施設における火災及び流出事故の合計件数

は、平成6年(1994年)を境に増加傾向にじ、
依然として高い水準で推移している(

第121

)。

危険物施設における事故を防止するためには、事

東日本大震災の津波により屋外タンク貯蔵所の配管が破損し

タンク内の危険物が流出した状況(仙台市消防局提供)

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