ア 域防災体制の確

地方公共団体間等の広域防災応援に係る制度とし

ては、消防組織法に基づく消防相互応援のほか、災
害対策基本法に基づく地方公共団体の長等相互間の
応援、地方防災会議の協議会の設置等がある。ま
た、災害対策基本法においては、地方公共団体は相
互応援に関する協定の結に努めなければならない
とされている。

一方、地方公共団体と国の機関等との間の広域防

災応援に係る制度としては、災害対策基本法に基づ
く指定行政機関から地方公共団体に対する職員の派
遣、自衛隊法に基づく都道府県知事等から防衛大臣
等に対する部隊等の派遣の要がある。自衛隊の災
害派遣についてはこのほか、災害対策基本法に基づ
き市町村長が都道府県知事に対し、上記の要をす
るよう求めることができる。さらに市町村長は、知
事に対する要求ができない場合には、防衛大臣等に
対して災害の状況等を通知することができる。

なお、平成24年に災害対策基本法が改正され、

同法に基づき地方公共団体間で応援を求めることが
できる業務の範囲が、従来の応急置から避難所運

支援、回健相談、施設のなど応援対策業

務全体に拡大されるとともに、応援等が円滑に行わ
れ、は、受けることができるよう、あらかじめ備
えておくことや市町村の域をえた避難(広域一
時滞在)に係る規定等が整備された。

 域防災協定の結
災害発生時において、広域防災応援を迅速かつ的

確に実施するためには、関係機関とあらかじめ協議
し協定を結することなどにより、応援要の手
続、情報連絡体制、指揮体制等について具体的に定
めておく必要がある。

都道府県間の広域防災応援については、阪神・

路大震災以降、各都道府県で広域防災応援協定の
結は存協定の見直しが進められた。また、個別
に結している災害時の相互応援協定では対策が
分に実施できない大規模災害に備え、全国知事会
で、全都道府県による応援協定が結され、全国レ
ベルの広域防災応援体制が整備された。東日本大震
災においても、それに基づいた応援が実施された
が、東日本大震災での経験を踏まえ、全国知事会の

応援協定の見直しが、平成24年5月になされた。

また、市町村でも、都道府県内の統一応援協定や

都道府県境をえた広域的な協定の結など広域防
災応援協定に積極的に取り組む傾向にあり、平成
25年4月1日現在、広域防災応援協定を有する市
町村数は1,650団体(全体94.7%)であり、この
うち、他の都道府県の市町村と協定を有する市町村
数は1,051団体(63.7%)となっている。

東日本大震災においては、市町村間の応援協定に

基づく応援のほか、全国知事会の応援協定、指定都
市市長会や中市市長会による応援協定、総務省及
び全国市長会・全国町村会の調整による応援などが
実施された。

引き続き、応援の受入れ体制の整備や広域応援を

含む防災訓練の実施、市町村の域をえた避難

(広域一時滞在)への備えを進めること等により、

実効性のある広域応援体制の整備を図っていく必要
がある。

3

防災の

大規模災害時に迅速に初動体制を確立し、的確な

応急対策をとることは、被害を最小限に軽減するた
めに重要であり、そのためには日から実戦的な対
応力を身につけておく必要がある。中央防災会議で
決定された総合防災訓練大では、国は各地域で実
施される防災訓練を積極的に支援することとされて
おり、訓練方法については、人・物等を動かす実動
訓練、状況付与に基づいて参加者に判断を行わせる
図上訓練等、実際の判断・行動を伴う方式により実
施することとされている。

消防庁では、平成22年度に、地方公共団体(主

に市町村)自らが風水害を想定した実的で効果
的な図上型防災訓練を実施する場合の「支援マニュ
アル」を策定している。このマニュアルは近年の豪
雨の発生回数の増加や被害規模の拡大に伴い、その
必要性を認識し策定したものであり、市町村自ら
が図上型防災訓練の企画から実施、評価・検証まで
行うことを支援するもので、市町村の防災関係部
局及び市町村職員のみならず、都道府県さらには
関係防災機関でも活用できるものとなっている。

これらを踏まえ、平成24年度においては、都道

府県主催で延べ464回の防災訓練が実施されたほ
か、市町村においても延べ6,163回の防災訓練が

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