衛星通信ネットワーク
衛星通信ネットワークは、衛星通信により、消防
庁、都道府県、市町村及び防災関係機関を結全国
的な通信である。音声通信をはじめ、消防庁や都
道府県による一指令、関係機関相互のデータ通
信、映像伝等の機能を有し、消防防災無線のッ
クアップ及び都道府県防災行政無線(衛星系)とし
て位置付けられている。
また、ヘリコプターや高所監視カメラからの映像
を消防庁、都道府県、消防本部等に伝するために
利用されている。通信回線は、通信衛星を利用して
おり、消防庁、都道府県、市町村、消防本部等に地
局が設置されているほか、被災地への車載局や可
局の入により、災害発生時の機動的な情報収
集・伝達体制の確保が可能である。現在、全ての都
道府県において運用されている。
伝送
映像伝システムは、高所監視カメラや消防防災
ヘリコプターに載されたカメラで撮影された映像
情報を都道府県や消防本部(消防指令センター等)
に伝するとともに、衛星通信ネットワークを活用
し、直ちに消防庁、他の地方公共団体等へも伝が
可能である(
第293
)。これは、発災直後の
被害の概況を把握するとともに、広域的な支援体制
の早期確立を図る上で非常に有効なシステムであ
る。ただし、ヘリコプターテレビ電システムは、
導入団体が増加しているものの、その映像受信範囲
は全国をカーするには至っていない状況にある
(
第294
)。
こうした状況を踏まえ、消防庁においては、ヘリ
コプターから衛星に直接電波を信する方法によ
り、地上受信局に伝できない地域でも被災地情報
をリアルタイムで伝するヘリコプター衛星通信シ
ステム(ヘリサットシステム)の整備を行っている
(
第295
)。
ア 通信設備の災害性の上等
東日本大震災では市町村防災行政無線が地震や津
波により破損し、または長時間の電により、一部
に設置された車載無線機等の移動体との通信も可能
となっている。また、都道府県では、防災情報シス
テムの整備が進められており、都道府県防災行政無
線をIP化することで、市町村・関係機関とのデー
タ通信が可能となっている。
市町村防災行政無線(報)
市町村防災行政無線(同報系)は、市町村庁と
地域住民とを結無線である。市町村は、公や
学校等に設置されたスピーカー(屋外拡声子局)や
各世帯に設置された戸別受信機を活用し、地域住民
に情報を迅速かつ確実に一伝達している。災害時
には、気象予警報や避難勧告、アラート等の伝達に
利用している。整備率(整備している市町村の合)
は78.3%(平成25年3月末現在)となっている。
また、災害時等における住民への情報伝達の方法
については、CA上移動通信システムや市町村
デジタル移動通信システムを、市町村防災行政無線
(同報系)の代設備として利用する方法もある。
市町村防災行政無線(移動)
市町村防災行政無線(移動系)は、市町村庁と
市町村の車両、市町村内の防災機関(、電気、
ガス、通信事業者等)、自主防災組織等を結通信
である。災害時における市町村の災害対策本部
においては、交通・通信の途絶した立地域や防災
関係機関等からの情報収集・伝達、広報車との連絡
等に利用される。整備率(整備している市町村の
合)は84.3%(平成25年3月末現在)となってお
り、これらについては順次デジタル化(市町村デジ
タル移動通信システム
*2
)が進められている。
消防救急無線
消防救急無線は、消防本部(消防指令センター)
と消防署、消防隊・救急隊を結通信である。消
防本部から消防隊・救急隊への指令、消防隊・救急
隊からの消防本部への報告、火災現場における隊員
への指令等に利用されており、消防活動の指揮命令
を支え、消防活動の行に必要不可欠なものであ
る。全国の全ての消防本部において運用されてお
り、平成28年5月末までにデジタル方式に移行す
ることとされている。
*2市町村デジタル移動通信システム:市町村庁を統制局として、その出先機関、広報車、市町村内の防災機関を結、デジ
タル方式の無線システム
第9 消防防災の情報化の推進
消災のと
第
章
208