また、「科学技術イノベーション総合戦略」(平成

25年6月7日閣議決定)、「世界最先端IT国家創造
宣言」(平成25年6月14日閣議決定)、「日本再興
戦略」(平成25年6月14日閣議決定)等の政府方
針を踏まえ、ICTやロボット技術等の先端技術を活
用した新たな装備・資機材の開発・改良や消防法令
上の技術基準等の確立に資する当面の重点研究開発
目標(

第1表

)について、成果達成に向けた研

究開発を推進することとしている。

2

消防研究センター

消防庁における消防の科学技術の研究・開発は、

我が国唯一の消防防災に関する国立研究機関である
消防研究センターが中心となって実施している。消
防研究センターの前身である消防研究所は、昭和
23年(1948年)に国家消防庁の内局として設立さ
れたが、平成13年4月1日、中央省庁等改革の一
環として、独立行政法人消防研究所となった。その
後、危機管理機能の強化及び行政の効率的実施の観
点から、消防庁に統合・吸収する方針が決定(平成
16年12月24日閣議決定)され、「独立行政法人消
防研究所の解散に関する法律」(平成18年法律第
22号)に基づき、平成18年4月1日に廃止、消防
研究センターとして消防庁に戻り、現在に至ってい
る。この間一貫して、消防行政及び消防職団員の活
動を科学技術の面から支えることを目的とした研
究・開発を行っている。

3

消防防災科学技術研究推進制度

消防防災に関する課題解決のため、産学官の研究

機関等を対象に革新的かつ実用的な技術の育成・利
活用を目的とした「消防防災科学技術研究推進制
度」(競争的研究資金制度)により、火災等災害時
において消防防災活動を行う消防本部等のニーズ等
が反映された研究開発課題や、東日本大震災により
浮き彫りになった課題に重点を置き、消防本部が参
画した産学官連携による研究開発を推進している。

研究・開発の推進

一昨年発生した東日本大震災や、その後も相次い

だ集中豪雨、台風等の自然災害は人的・物的にも広
範囲若しくは局所的に甚大かつ深刻な被害をもたら
し、多くの課題を浮き彫りにした。また、今後発生
が予測されている南海トラフ地震や首都直下地震を
はじめとする地震災害等自然災害がもたらす被害を
軽減するための対応策の検討は急務となっている。
さらに、高齢化・人口減少に代表される社会構造の
大きな変化や、福島第一原子力発電所事故を契機と
したエネルギー事情等消防を取り巻く環境の変化や
課題に科学技術の側面から的確に対応するため、関
連する研究・開発の一層の推進が必要となってきて
いる。

1

消防庁における当面の

重点研究開発目標

消防庁では、これら顕在化した課題解決のため、

産学官における消防防災分野の研究に携わる関係者
の共通認識・目標として策定している「消防防災科
学技術高度化戦略プラン」(平成13年策定、同19
年改定)を改定し、新たに「消防防災科学技術高度
化戦略プラン(2012)」を取りまとめた。本プラン
では、特に、安心・安全な社会の実現に向けて、実
用化を目的とした研究開発を一層推進することによ
り、その成果が消防防災分野における社会システム
の高度化に大きく貢献することを基本方針とし、消
防研究センターを中心に関係者の一層の連携を図る
こととした。さらに、本プランにおいては、「地
震・津波・風水害等から住民を守る」、「複雑化、多
様化する火災から住民を守る」など国民にわかりや
すい視点で設定した五つの重点的研究領域及び、

「火災予防・防火」、「大規模災害における防災情報」、
「消火」、「救助」、「救急」など九つの各消防防災分

野における個別具体的に取り組むべき研究課題を掲
げ、関連する研究開発を戦略的・効率的に推進する
こととしている。

消防防災の科学技術の研究・開発

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