世界的な環境保護に向けた取組として、残留性

有機汚染物質に関するストックホルム条約に基づ
いて、フッ素化合物のうちPFOS(ペルフルオロ
オクタンスルホン酸)と呼ばれる物質の使用禁止
が取り決められ、我が国でも原則として製造・使
用ができなくなった。PFOSは石油タンク等の火
災の消火に用いられる泡消火薬剤に、消火性能を
向上させるために添加されてきており、今後、泡
消火薬剤を新たに配置したり、古くなった泡消火
薬剤を新しいものに交換したりするような場合に
は、これまでのPFOSを含む泡消火薬剤が使用で
きなくなることが懸念される。一方、泡消火薬剤
の消火性能については、法令で基準が定められて
おり、泡消火薬剤にPFOSを使えなくなったこと
による影響の評価と今後の対応策が必要になって
くるものと考えられる。

このようなことから、このサブテーマでは、

PFOSを含まない泡消火薬剤のより効果的な使用
方法とその消火性能をより適切に評価する方法の
考案を目指している。

 平成24年度の主な開発成
サブテーマ「石油タンクの津波による損傷メカニ

ズム及び発生防止策の研究」では、東日本大震災の
際の津波による石油タンクの移動被害(流された
り、元の場所からずれてしまったりする被害)につ
いて、津波浸水深から石油タンクの移動被害発生の
おそれの有無を予測するためのものとして消防庁が
提案している簡易予測式の精度を検証したところ、
的中率は78%であるが、実際に移動被害を受けた

(イ) サブテーマ「再生資源物質の火災危険性評

価方法及び消火技術の開発」

環境保護に向けた取組がますます盛んになる

中、資源再利用の取組の一環として、廃木材や再
生資源燃料等の再生資源物質の利用が進められて
いるが、これらの再生資源物質に関係する火災が
発生するなど、防火安全上の課題も生じている。
今後安全を確保しつつ再生資源物質の利用を促進
する上で、このような火災を予防するための知
見・方策を研究開発することが必要不可欠なもの
になってくると考えられる。

再生資源物質は、山積みの状態で貯蔵されてい

る場合が多く、そこでの火災は蓄熱発火で発生す
るものが多い。東日本大震災の後には、震災で発
生した山積みのがれきから火災が発生しており

第2

)、これらの火災もまた蓄熱発火によ

るものと考えられる。再生資源物質が蓄熱発火す
る危険性をどの程度有しているかを適正に評価す
ることは、火災予防上重要であるが、その評価手
法は確立されていない。

また、山積み状態の再生資源物質の火災(

3

)は、一般的に消火が困難であり、とくに

金属スクラップの火災については、消火方法が確
立されていない。

このようなことから、このサブテーマでは、再

生資源物質の蓄熱発火の危険性の評価手法と火災
になった場合の消火方法の開発を目指している。

(ウ) サブテーマ「フッ素化合物の使用禁止が泡

消火薬剤の消火性能に与える影響評価と対応
策に関する研究」

再生資物の消火の例(金

クラッ火災)

東日本大震災で生たがれきか

発生した火災(県市)

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