ことから、このサブテーマでは、今後の地震・
津波火災を防いだり、延焼・拡大を抑えたりす
るための技術的方策を見出すため、東日本大震
災において発生した火災の発生原因や延焼要因
を究明することを目指している。

b 再生可能エネルギー関連設備・装置の火

災危険性把握

環境指向の高まりとともに、太陽光など再生

可能エネルギーを利用した家庭内発電装置やメ
ガソーラーなどの発電所の数が増加している。
このような再生可能エネルギー関連設備・装置
は、東日本大震災における原子力発電所の事故
の影響による電力不足や被災地復興のための需
要などの要因から今後ますます増えていく可能
性がある。しかしながら、太陽光発電装置が設
置された住宅における火災の消火活動中に消防
隊員が感電するという事案が報告されており、
このような太陽光発電装置は消火活動中の危険
要因となり得る。そこでこのサブテーマでは、
太陽光発電装置などの再生可能エネルギー関連
設備・装置の火災予防上の安全な使用方法と、
そのような設備・装置が設置されている火災現
場において、安全に消火活動を行えるようにす
るための方策を見出すため、〔1〕設備・装置
自体が有する火災危険性と、〔2〕設備・装置
が火災に巻き込まれた時に発生する危険性を評
価することを目指している。

(イ) サブテーマ「火災の実態把握と課題抽出」

近年、個室ビデオ店のように消防法令上想定さ

れていなかった新しい業態や建物の使い方の出
現、新しい素材や物質などの普及、高齢化の進
展、一人暮らし世帯の増加などにより、火災の原
因や現象、被害の生じ方も変化している。

このサブテーマでは、火災予防のための施策と

啓発活動への反映や、実施すべき新たな研究課題
の提起などを通じて、火災による人的・物的被害
の軽減につなげられるよう、年々変化する火災の
実態を分析し、その傾向・要因を把握することを
目指している。

(ウ) サブテーマ「火災の促進要因と燃焼性状の

実験と数値計算による分析」

a 様々な可燃物の燃焼・消火に伴う生成物及

び燃焼に伴う諸現象の把握
低反発素材、金属混合樹脂、建物内外の断熱

材などの新しい材料・素材の中には、火災時の
燃焼性状や燃焼中・消火中の危険性など、正確
な火災感知・消火、安全な避難、効果的な消防
活動にとって必要不可欠な情報が得られていな
いものがある。このサブテーマでは、こうした
可燃物の燃焼・消火に伴う生成物及び燃焼に伴
う諸現象を主として実験的に把握することを目
指している。

b 火災に伴って発生する旋風の発生メカニ

ズム・発生条件の解明

大規模市街地火災、林野火災などでは、「火

災旋風」と呼ばれる竜巻状の渦が発生して、多
くの被害が引き起こされることがあり、首都直
下地震においてもその発生が危惧されている。
これまでの研究により、火災域の風下に発生す
る旋風の発生メカニズムや構造が徐々に明らか
になってきたが、依然不明な点が多い。そのた
めこのサブテーマでは、火災域の風下に発生す
る旋風の発生メカニズム・発生条件の解明に加
えて、無風下で発生する火災旋風の発生条件の
解明を目指している。

c コンピュータシミュレーションによる火災

再現技術の研究開発
火災の調査や消防用設備の設置の効果の検討

を行う目的で、火災実験が行われる場合がある
が、そのような実験には大規模な設備が必要で
ある。また、実験の準備・実施には多くの時
間、費用が必要であることから、実験条件を変
えたいくつものケースについて実験を行うこと
は困難である。このような火災実験の代わりと
なり、かつより効率的な手段として、コン
ピュータシミュレーションによる火災再現技術
が期待されており、その有効性も示されつつあ
る。しかし、そのようなシミュレーションを行
うには高価で高性能なコンピュータが必要であ
るため、消防本部等においては導入しにくい状
況にある。このようなことから、このサブテー
マでは、パソコンでも火災再現のコンピュータ
シミュレーションを実施可能にするような高速
な計算手法の研究開発を目指している。

(エ) サブテーマ「生活に密着した建物等での警

報伝達手段に関する研究」

住宅用火災警報器や自動火災報知設備が設置さ

れていない小規模店舗が多いアーケード街や市場

消災の学技の・発


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