いる。

平成24年11月に沖縄県うるま市にて発生した石

油タンク浮き屋根沈没事故においては、危険物保安
室及び特殊災害室と連携し、現場での安全な事故対
応を支援するため、一ヶ月以上にわたり職員を現地
に派遣し、技術的助言を行うなどしている。事故発
生時には、原油が51,100kL貯蔵されており、油面
が露出する危険な状態となった。貯蔵中の原油の排
出や万が一の火災を想定した警防活動を支援するた
め、石油タンク構造や危険物に関する専門家を派遣
し、タンクの損傷防止、可燃性ガスの着火防止など
に関する助言を行った。

研究開発に係る災害・事故の調査としては次のよ

うなものを実施している。

東日本大震災に関して、継続的に現地調査を行っ

ている。平成24年度には津波警報時の消防活動、
市街地火災に関する現地調査を行った。

平成24年4月に熊本県阿蘇市で発生した野焼き

時の事故については、燃え拡がりの状況、事故に至
る経過等についての現地調査を行った。

平成24年7月に発生した九州北部豪雨被害につ

いては、熊本県阿蘇市及び熊本市における被災状況
等についての現地調査を行った。

3

研究成果を

より広く役立てるために

消防研究センターでは、研究開発によって得られ

た成果を、全国の消防職団員をはじめとする消防関
係者はもとより、より広く利活用されるよう次の活
動を行っている。

毎年4月の「科学技術週間」にあわせて、消防研

究センターの一般公開を実施している。平成25年
度は4月19日に実施した。

一般公開では、実験施設などの公開、展示や実演

による消防研究センターにおける研究開発等の紹介
を行っている。平成25年度は、平成23年3月11
日の東日本大震災の課題を踏まえて取り組んでいる
研究開発をはじめ合計12の公開項目を設けた。

全国の消防の技術者が消防防災の科学技術に関す

る調査研究、技術開発等の成果を発表するととも
に、参加する他の発表者や聴講者と討論を行う場と
して昭和28年(1953年)から「全国消防技術者
会議」を毎年開催している。この会議では、消防機
関等における研究成果、消防機器の開発・改良、火
災原因調査事例に関する発表に加えて、「消防防災
機器等の開発・改良、消防防災科学論文及び原因調
査事例報告に関する表彰」の受賞作品の発表や消防
防災科学技術研究推進制度による研究成果の発表が
行われている。60回目となる平成24年度の会議は、
10月25日及び26日の2日間、都内で開催した。

消防研究センターの研究成果の発表及び消防関係

者や消防防災分野の技術者や研究者との意見交換を
行うため、平成9年度(1997年度)から「消防防
災研究講演会」を開催している。この講演会では毎
年特定のテーマを設けており、16回目となる平成
24年度の講演会は「東日本大震災を受けての消防
防災研究」をテーマとして、平成25年2月1日に
消防研究センターで開催した。

消防研究センターでは、消防本部が行った火災及

び危険物流出等事故に関する事故事例や最新の調査
技術を互いに発表する「調査技術会議」を開催して
いる。この会議は、調査技術や行政反映方策に関す
る情報を共有して消防本部の火災調査及び危険物流
出等事故調査に関する実務能力を全国的に向上させ
ることを目的としており、会議で発表された調査事
例は、年度末に取りまとめてすべての消防本部に配
付し、情報共有を図っている。この会議は、年間5
回程度開催している。平成24年度は、東京、名古
屋、仙台、大阪、熊本の5都市で開催し、火災事例
発表が計34件、危険物等事故事例発表が計9件行
われた。

消防防災科学技術の高度化と消防防災活動の活性

化に寄与することを目的として、消防職団員や一般
の方による消防防災機器等の開発・改良及び消防防
災に関する研究成果のうち特に優れたものを消防庁

消災の学技の・発


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