することとされ、「世界最先端IT国家創造宣言」

(平

成25年6月14日閣議決定)においては、災害現場
に近付けない大規模災害・特殊災害等に際して、IT
を活用してリモートで操作できる災害対応ロボット
等を2018年度までに導入し、順次高度化を図ると
ともに、地理空間情報(G空間情報)を活用した避
難誘導や消火活動について、2016年度までに導入
を検証し、2020年度までに導入を実現することと
された。

また、東日本大震災等を踏まえた産業施設等の火

災・事故予防対策としては、「科学技術イノベー
ション総合戦略」(平成25年6月7日閣議決定)に
おいて、石油タンクの地震・津波時の安全性向上及
び堆積物火災の消火技術、多様化する火災に対する
安全確保に関する研究について実用化することとさ
れた。

さらに、昨今の社会構造、経済情勢の変化に伴い

現出した課題としては、「規制改革実施計画」(平成
25年6月14日閣議決定)において、液化水素スタ
ンドに関する高圧ガス保安法上の技術基準が定めら
れた場合は、それを踏まえて液化水素スタンドと給
油取扱所を併設する際の消防法上の安全対策を検討
し、結論を得ることとされ、これと関連して、「科
学技術イノベーション総合戦略」(平成25年6月7
日閣議決定)においては、2015年度までに水素ス
テーションに係る安全性評価技術を開発することと
された。

これらの消防防災科学技術の研究開発について、

着実に成果を達成するとともに、研究開発の成果に
ついて、技術基準等の整備や消防車両・資機材の改
良等、消防防災の現場へ適時的確に反映していくこ
とが、これまで以上に求められる。

消防防災科学技術の研究開発の推進にあたって

は、消防防災科学技術の必要性の増大、対象とする
災害範囲の拡大を踏まえ、消防研究センターは言う
までもなく、消防機関の研究部門の充実強化が必要
である。また、関係者の連携については、関係府
省、消防機関等行政間の緊密な連携はもとより、大
学、研究機関、企業等との連携も更に推進していく
ことが必要であり、そうした連携の推進を図るため
にも、消防防災科学技術研究推進制度の、より一層
の充実が必要である。

火災の原因調査や危険物流出等の事故原因調査

も、火災や流出事故の予防にとって重要な消防の業

消防防災科学技術の研究の課題

東日本大震災では、多数の津波火災の発生と大規

模市街地火災への進展、危険物施設の火災・流失、
被害全体像に関する情報の獲得困難、通信の途絶に
よる消防活動阻害、津波浸水域での消防活動困難な
ど、解決を要する消防の科学技術課題が多数提起さ
れた。また、平成23年、24年に相次いだ台風や集
中豪雨による甚大な被害の発生など、地震以外の災
害も多発している一方、高齢化・人口減少に代表さ
れる社会構造の大きな変化や福島第一原子力発電所
事故を契機としたエネルギー事情の変化等科学技術
の側面から的確に対応すべき消防防災上の課題も
多い。

消防庁では、こうした情勢を踏まえた新しい消防

防災科学技術高度化戦略プランを平成24年10月に
策定した。新たな課題が大きくかつ多岐にわたり顕
在化してきている中、これらの課題に積極的に対応
し、国民生活の安心・安全を確保していくための消
防防災科学技術の研究開発を戦略的に、かつ効率的
に推進するためには、消防防災分野の研究開発に携
わる関係者の共通の認識・目標であるこのプランの
趣旨に沿い、研究開発が進められる必要がある。

現在、南海トラフ地震や首都直下地震等の発生が

危惧されており、東日本大震災が提起した課題に関
する研究成果達成の迅速化も求められており、情報
通信技術など消防防災への適用が可能な他研究分野
の研究成果の活用も重要である。

今後発生が懸念される南海トラフ地震や首都直下

地震等の大規模地震発生時における我が国のエネル
ギー・産業基盤の被災に備えた国土強靭化の観点か
らは、産業施設等の火災・事故予防対策に加え、爆
発・火災が発生した場合の被害を最小限に食い止め
るための応急対応能力を高める必要があることか
ら、「日本再興戦略」

(平成25年6月14日閣議決定)

においては、緊急消防援助隊にエネルギー・産業基
盤災害即応部隊を創設し、大規模・特殊災害対応車
両・資機材等を研究開発・導入することとされた。

これに関連し、「科学技術イノベーション総合戦

略」(平成25年6月7日閣議決定)においては、
2015年度までに消防ロボット技術を導入し、以降、
実用化や高度化を図るとともに、消防車両による水
やガレキが滞留している領域の踏破技術・救助技
術、無人ヘリ等による偵察技術・監視技術を実用化

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