災の訓を踏まえた大規模地震に対する災害対応力
の強化等に加えて、近年、南海トラフ地震や首都直
下地震の発生の切迫性も指されている。このよう
な大規模地震災害時においては、消防機関等による
活動にも一定の制約や困難が生じることが想定され
るため、各管理権原者が一体的な防災管理体制の構
築について協議し、相互の連携による実効性のある
共同防災管理体制の構築を図ることが重要となる。
こうした中で、消防法の一部を改正する法律(平
成24年6月27日公布、平成26年4月1日施行)に
より、大規模・高層建築物等における防災管理体制
の強化として、建築物全体の防災管理業務を行う
「統防災管理者」の選任を法律上義務付ける等の
改正が図られたが、今後も継続的に防災管理体制の
強化等について、取り組んでいく必要がある。
織を設置している防災管理対象物は7,122件で全体
の77.5%となっている(
第1129表
)。
消防法では、防災管理を要する建築物等のうち、
管理権原が分かれているものについては、共同で防
災管理を行うこととしており、各々の管理権原が存
する部分ごとに防災管理者を選任して防災管理を実
施する一方、建築物全体の防災管理として共同で実
施すべき事項について、当該防災管理対象物の管理
権原者のうち主要な者を代表者とする共同防災管理
協議会を設け、統防災管理者の選任等について協
議し、防災管理対象物全体の防火・防災安全を確立
することを各管理権原者に対して義務付けている。
平成25年3月31日現在の共同防災管理協議事項
の出率は、83.6%となっている(
第1130表
)。
また、平成23年3月11日に発生した東日本大震
全国の防災管理実施状況
(平成25年3月31日現在)
項 目
防火対象物の区分
共同防災管理対象物数
協議事項届出対象物数
届出率(%)
(一)
イ
劇場等
5
2
40.0
ロ
公会堂等
1
1
100.0
(二)
イ
キャバレー等
0
0
-
ロ
遊技場等
0
0
-
ハ
性風俗特殊営業店舗等
0
0
-
ニ
カラオケボックス等
0
0
-
(三)
イ
料理店等
0
0
-
ロ
飲食店
3
0
0
(四)
百貨店等
54
43
79.6
(五)
イ
旅館等
12
6
50.0
(六)
イ
病院等
25
15
60.0
ロ
特別養護老人ホーム等
1
1
100.0
ハ
老人デイサービスセンター等
1
0
0
ニ
幼稚園等
0
0
-
(七)
学校
30
7
23.3
(八)
図書館等
1
0
0
(九)
イ
特殊浴場
0
0
-
ロ
一般浴場
0
0
-
(十)
停車場等
1
1
100.0
(十一)
神社・寺院等
1
0
0
(十二)
イ
工場等
53
41
77.4
ロ
スタジオ
2
1
50.0
(十三)
イ
駐車場等
4
4
100.0
(十五)
事務所等
471
386
82.0
(十六)
イ
特定複合用途防火対象物
1,735
1,504
86.7
ロ
非特定複合用途防火対象物
147
112
76.2
(十六の二)
地下街
42
40
95.2
(十七)
文化財
0
0
-
合 計
2,589
2,164
83.6
(備考) 1 「防火対象物実態等調査」により作成
2 東日本大震災の影響により、岩手県陸前高田市消防本部及び福島県双葉地方広域市町村圏組合消防本部のデータは除いた数値により集計している。
第1 火災予防
災のと
第
章
66