消防士座談会

地域の安心・安全を守る消防における
女性消防士の仕事やプライベートとは
パイオニアたちが明かす女性消防士のリアル

年々女性が増えているとはいえ、まだまだ男性が多い消防の職場。そんな中で女性消防士はどんな思いで働いているのか。仕事とプライベート、そして家庭の両立はどうなっているのか。富士市消防本部の女性消防士4名、男性消防士1名に集まってもらい、仕事やワークライフバランス、将来の目標などを語り合ってもらう中で見えてきた“女性消防士のリアル”をご紹介します。

Theme 01男性が多い消防の仕事。
そんな中で女性消防士を目指した
きっかけとは。


市川

皆さん、忙しい中でお集まりいただきありがとうございます。本日はよろしくお願いします。

女性消防士
一同

よろしくお願いします!


市川

女性に囲まれて少し緊張しますね(笑)。早速お話を聞きたいと思いますが、まずは皆さんが消防士になろうと思ったきっかけを教えてください。


長橋

私は小さな頃に火災現場で消火活動を行う消防士の姿を見て「かっこいい!」と思ったのがきっかけです。そして高校を卒業したのち、救急救命士の養成学校に入り、夢を叶えました。


渡邉

私は小さい頃からサッカー一筋で、就職活動の時にサッカーで培った体力を生かせる仕事ということで消防士を選びました。あと、地域に貢献できるということも消防士を選んだ理由です。


小林

私は小さな頃に祖父が倒れたことがあって、救急車を呼んだのですが、その時に駆けつけてくれた救急隊の姿を見てすごく安心したんですね。それ以来、消防士になりたいと思うようになりました。


佐野

私は父が自衛官で小さな頃から公務員になりたかったのですが、中学生の時に消防署の1日体験会で富士市消防本部に女性消防士の方がいると知って、「自分もなりたい!」と思ったのがきっかけです。


市川

皆さん、様々なきっかけで消防士を目指されたんですね。ちなみに私は子供の頃からスポーツが好きで、大学4年まで部活動を続けていました。渡邉さんと同じく、消防はスポーツの経験を活かせるということと、人の命に携わることのできる大変魅力のある仕事だと思い消防士を目指しました。

女性消防士
一同

そうなんですね〜(一同納得)。

Theme 02念願叶って女性消防士に。
実際に働き始めてみて
消防の世界をどう感じたのか。


市川

さて、そうした努力が実って、皆さん念願の消防士になられたわけですが、実際に消防士になってみて何かギャップというか、驚いたことなどありましたか?


渡邉

ギャップはあまりなかったです。サッカーも男性が多いスポーツですし、チームスポーツなので消防と共通点が多かったので、普通に馴染めましたね(笑)


小林

私も感じませんでした。救急救命士取得の学校で卒業生の方から消防の仕事や職場について聞いていましたので。


長橋

消防士になる前は、消防署は“怖いおじさん”がいる所だと思っていました(一同爆笑)。実際に入ってみると全然そんなことなくて、皆さんすごくやさしく接してくれました。


佐野

私もギャップは感じませんでした。(救急の)専門学校時代から周りは男性が多かったですし、消防署に見学に行くこともあり、事前に消防の仕事がどういうものなのかをなんとなくわかっていたので。


小林

いい意味で驚いたのは休みが多くて、趣味の時間もしっかり取れるということですね。私はスノーボードが趣味なので、非番の日はよく出かけています。


渡邉

当直だと休みが多いですからね。私は家族との時間を大切にしたいので毎日勤務を希望していますが、子供が成長したら当直勤務に戻りたいと思っています。


長橋

あと、育児休業や時短勤務も取りやすいのは驚きでした。男性社会だと休業取得はあまり理解されないのかと思っていましたが、全然そんなことはありませんでした。


市川

それぞれのライフステージに応じて、働き方が選べるのも意外と知られていない消防の良さですよね。そのへんのことをもう少し詳しく聞かせてもらえればと思います。

Theme 03仕事と家庭を両立させるために
育児休業、時短勤務などの
制度を活用。


市川

長橋さんと渡邉さんは育児休業制度を利用されていますよね?仕事と家庭、育児との両立についてはどう感じていますか?


渡邉

私は育児休業、部分休業などの制度を利用しました。子供は2人いるのですが、2人の出産時にしっかりと取得させてもらいました。


長橋

私は子供が3人いて、育児休業は1人目と2人目の時に続けて取得しました。2人目の時は10ヶ月で職場復帰したのですが、同僚からは「もっと長く休めばいいのに」と言われたぐらいです。


市川

3人目のお子さまのときはどうされたのですか?


長橋

3人目のときは子供が2歳になるまで育児休業を取りました。一般企業に勤める友達からは羨ましがられましたね(笑)


市川

確かに一般企業の場合、育児休業取得は簡単ではないのかもしれませんね。ところで、渡邉さんも長橋さんも旦那さんは消防士ですよね?やはり同じ職業だと仕事と家庭を両立していくうえで理解を得られやすいですか?


渡邉

そうですね。仕事に対する理解もあり、消防士同士の結婚は多いと思います。

Theme 04将来の目標や
今後の女性消防士の
あるべき姿について。


市川

将来の目標やこれからの女性消防士のあり方など何か意見があれば聞かせてください。


小林

私は仕事とプライベートのバランスをうまくとって、両方充実させたいですね。富士市消防本部には女性の救急隊長がまだいないので第一号になりたいです!


市川

おお!すばらしい目標ですね!大いに期待してます。


佐野

女性消防士が活躍できる領域を拡げてもらいたいですね。現在、富士市消防本部では災害派遣など男性消防士しか配置されていない業務も多いので。


長橋

女性だから窓口業務がいいとか、市民対応に向いているなど、そういう固定観念を払拭したいですね。男女の性差だけではなく、適材適所で人材が登用できるような環境作りも必要だと思います。


渡邉

私は消防の仕事は特別なものではなく、誰もが就ける職業だということを発信していきたいです。消防士になっても結婚や育児は普通にできるので、女性でも消防の仕事に就けるのだと多くの人に知ってもらいたいです。


市川

確かに同じ消防士だからといって、女性と男性が同じ働き方をする必要はないし、仕事と家庭の両方で活躍することは可能ですよね。皆さんはそういう働き方をしていて、これから入ってくる後輩も心強いと思います。皆さんには女性消防士のパイオニアとして、これからも道を切り拓いていってくれることを期待しています。

Theme 05将来、消防士を目指す女性の
皆さんへのメッセージ。


市川

話は尽きないのですが、最後にこれから消防士を目指そうと思っている女性の皆さんにメッセージをお願いします。


小林

どんな職業でも、自分が思い描いた業務に就くのは簡単ではないと思います。でも、消防士は目指して努力すれば、救急や救助という思い描いた業務に就くことができます。仕事にやりがいを感じたい方は、ぜひチャレンジしてほしいです。


渡邉

私も消防はやりがいのある仕事だと思います。女性が少ない分、チャンスも多くていろんなことに挑戦ができます。前例がないことにチャレンジするのが好きな人にはおすすめですよ。


佐野

同期や先輩との絆やチームワークの強さも消防の魅力だと思います。私たちが今よりもっと女性が働きやすい職場にしていくので、安心して入ってきてほしいですね。


長橋

消防には消火活動以外にも様々な業務があります。共通して言えるのは、市民の安全・安心につながる誇り高い仕事だということです。勇気と覚悟と希望を持って入ってきてほしいです。


市川

今回、女性消防士の皆さんにお話しを聞かせてもらって私も大変勉強になりました。富士市消防本部では12年前から女性消防士を採用していますが、まだまだ十分ではありません。消防の仕事は“楽”な仕事ではないですが、やる気と情熱、そして笑顔があれば十分活躍できると思います。ぜひ、チャレンジしてもらいたいですね。今日は皆さん、貴重なご意見ありがとうございました。

女性消防士
一同

ありがとうございました!