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大分市消防局総務課:大野 ひかる

消防士としての将来ビジョン。
そしてオリンピック金メダルもめざす!

大分県大分市消防局に勤務する現役消防士の大野さん。
大野さんは、平成28年世界空手道選手権女子団体形で優勝、平成28・29年度オリンピック強化指定選手などの輝かしい実績を重ね、2020年、東京オリンピックでの金メダル獲得という大きな目標を掲げています。
大野さんは、なぜ消防士になったのか、どのように仕事と練習を両立させているのか等、就職後もスポーツを続けたい体育会系出身の学生にとって参考となる“リアル”な話を聞きました。

フィジカル面で
男性隊員との差を痛感。
「女性だからできること」を
意識するように

小学校から大学まで空手に打ち込んで、インターハイや世界ジュニア選手権で優勝を経験。でも、実は大学卒業と同時に空手は辞めるつもりでいました。就職活動でも保険代理店から内定をいただいていたのですが、その後の全日本学生空手道選手権で2位だったことが大きな転機に。「もっと自分はやれるんじゃないか?ここで終わったら悔いが残るんじゃないか?」そんな気持ちが湧いてきて、社会人になっても空手を続けることに決めました。
そこから就職活動を再開。大学は関西でしたが、小さな頃から私を見てくれていた師範にもう一度指導してもらいたい、そして空手を通じてたくさんの応援、支援をいただいた地元に何か恩返しがしたいという思いから、地元での就職を志望しました。大分市消防局に就職を決めたのは、自分の強みである体力を活かして、地域に貢献できると思ったから。 
消防の知識、技術の基礎を学ぶ消防学校を卒業後は消防隊に配属され、主に消火活動を行っていましたが、実際に働いてみると、男性隊員との体力面でのハンデを痛感する日々でした。

例えば、火災現場で使うホースや金具が入ったバッグは重さ約10kg。力で劣る私はどうしても男性隊員に比べて初動で遅れてしまいます。配属された消防隊に女性は私1人。それでも消防士になった以上、男性も女性も関係ない、「女性だからできない」は言い訳だと考えていました。今振り返ると、当時は自分だけできないことへの焦りやプレッシャーで苦しかったですね。でもある時、先輩から「全員でカバーしあって、チームとしてベストなパフォーマンスを発揮することが大切。女性だからできることもあるはずだよ」とアドバイスをいただき、はっとさせられました。
現場で接する傷病者やご家族のうち約半数は女性です。同性として、その気持ちを理解することができるのは女性隊員である私の強み。筋力で男性隊員にかなわない分、女性である私だからできること、やるべきことを意識して活動するように心掛けていました。心肺停止状態である傷病者の救急事案に出動し、救急車に同乗して病院へ搬送後、ご家族の方から「付き添ってくれてありがとう。心強かったわ」などと声を掛けて頂けた時には、私も役に立てているのかなと実感することができましたね。

仕事と空手を両立できる
恵まれた環境

空手は「組手」も「形」もずっと個人種目をやってきましたが、入局1年目の冬に全日本チーム「団体形」のメンバーに声がかかりました。少し行き詰まりを感じていた時期だったこともあり、新たなチャレンジを変化のきっかけにしたいとメンバー入りを決意。団体ナショナルチームの活動拠点は大阪にあるので、個人の時以上に仕事と練習との両立には職場の理解が必要になります。私の配属先は内勤の仕事でしたので、勤務時間は、平日の朝8時半から17時15分まで、仕事を終えた後に練習時間を確保することができました。また、遠征や合宿などで長期間職場を離れる場合も、大分市消防局の場合は(業務の都合が優先ではありますが、)市の規程に準じて取得できる特別休暇制度がありますので、それを申請しています。「団体形」はチームで集まって練習することが必須。世界選手権の前には約1か月間大分を離れ、合宿に参加させてもらいました。

そのおかげもあって、世界選手権で優勝。小さな頃からの目標だった世界一を達成することができました。
大きな目標を成し遂げ今後の空手人生をどうすべきか、ここで区切りをつけて仕事に専念するという選択肢も含めて悩んだ結果、個人種目に戻って東京オリンピックで金メダルをめざすことに。生半可な気持ちで金メダルとは言えないので、結論を出すまでには約2ヶ月かかりました。仕事と練習を両立できる環境があり、そこで団体世界一という結果を出すことができたということが、結論を出す上での大きな後押しになりましたね。その後、2017年1月のプレミアリーグ・パリ大会でも優勝。個人種目としても社会人になってからの世界大会で初めて結果を出すことができました。とはいえ、金メダルへの道はまだ始まったばかり。全日本王者になって、代表選手に選ばれることが当面の目標です。

地域の役にたっていると実感。
応援に金メダルで応えたい!

現在は消防局総務課消防団担当班に所属。引き続き内勤の仕事で、消防団に関するさまざまな業務を担当しています。中でも私が力を注いでいるのは、消防団加入促進のための広報活動。班内では私が一番若手なので、女性ならではの視点や学生の立場に立ったアイデアを出したり、消防隊にいた時と同じく「私だからできること」を考えて動くようにしています。キャリアに関わらず一人ひとりの意見を尊重してくれる職場なので、積極的に発言することができていますね。消防は人の命を救うことを仕事にしている人たちの集団。同僚、先輩は人間的に尊敬できる人ばかりで、上司からかけられる言葉一つひとつにも重みがあります。そんな環境の中で若手の私でも責任ある仕事を任され、チャレンジしながら成長できていることを有難く感じています。
地域の皆さまの役に立てていると実感できるのは、消防士の仕事の魅力。元々、地元の皆さまの役に立ちたいと思って入局したので、現場でもっと活躍していきたいという思いは強いですね。

消防車両の運転、運用に必要な機関員や救急資格も取得したいと考えています。
空手の面だけで見れば、実業団などで練習だけに集中できる環境を確保するというのも選択肢の一つだとは思います。でも、引退後のビジョンをしっかりと立てられるというのは、仕事と練習を両立できる今の環境だからこそのメリット。職場の理解に支えられ、働きながらでもオリンピックを目指せる環境に感謝して、限られた練習時間の中で努力している毎日です。消防にはスポーツと両立しながら仕事を頑張っている先輩方が多くいらっしゃいますし、同じ職場である大分市消防局総務課にも「全国消防本部対抗駅伝競走大会」で日本一になった陸上部のキャプテンが働いています。日本一を成し遂げた先輩が近くにいるというのは刺激になりますね。私も金メダルという大きな目標を達成して、応援してくれている職場や地元の皆さまに結果で恩返しできればと強く思っています。

※記事・プロフィールは取材当時のものです。

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