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女性消防士座談会

全国で活躍する女性消防士たち。
「人を助ける仕事」の尊さに触れ、自らもその道を歩き続ける5人の女性消防士に、
働く魅力や今後の女性消防士の活躍について本音を語っていただきました。

小野寺 宏美

平成14年度採用
千歳市消防本部

救急救命士として活動後、育児を機に通信指令員として従事。
現在は2児の母として家庭と仕事の両立に励む。

宮本 裕美子

平成16年度採用
尼崎市消防局

ポンプ車とはしご車の隊員として現場活動に従事しながら消防署内の予防業務を担当。
消防局の行事の取りまとめ役も担う。

山中 由紀

平成15年度採用
川崎市消防局

予防課庶務係として公文書の管理や消防士の出勤管理、同署のHP作成から庁舎見学者の対応等幅広く業務を行う。

前澤 菜沙

平成23年度採用
御前崎市消防本部

救急隊の隊長とポンプ車の機関員業務を担当。一度は医療の道を志すも、救急救命士に憧れて転職した。

新門 美香

平成22年度採用
人吉下球磨
消防組合消防本部

企画教養課と情報管理課の一員として各種イベント立案等と消防署内の情報開示等に携わる。

  • 人の役に立ちたい!同じ想いからはじまった5人の消防人生。

    • 宮本: こうして全国から集まってお話しすることは初めてなので色々と聞きたいんですけど、まず皆さんは何がきっかけで消防の仕事を選んだんですか?
      山中: 私は昔から人の役に立つ仕事がしたいと思って消防士を目指しました。川崎市は全国で初めて女性消防士を採用した市で、大勢の女性消防士が活躍している点に魅力を感じましたね。
      新門: ずっと水泳を続けていた私は、高校生の頃に地元の市民プールで、人吉下球磨消防組合による救助技術訓練を見て消防の仕事に触れました。体力に自信があったので、能力を活かして地域に貢献できると思ったのがきっかけです。
      前澤: 私は「救急車に乗りたい!」と幼い頃から強く思っていたので自然と消防の仕事を選びました。
      小野寺: 私は助けを求めている人にいち早く駆けつける消防士に憧れていて、中でも救急に魅力を感じていました。そこで救急救命士の資格をとるために専門学校に通いましたが、周りは看護師の道へ進む人が多かったので、消防へ行くというと驚かれましたね。

      宮本: 私も消防士になるって決めた時は周囲からびっくりされました。
      新門: どうして消防士になろうと思ったんですか?
      宮本: 大学生の頃、地元の消防団で活動している時に誘われたのがきっかけでした。祖父が消防団員だったので、もともと消防の仕事に興味があり、消防士試験を受験したんです。
      山中: すごい。スカウトされたんですね。
      宮本: でも体力に自信があるわけではなかったし、現場には出ないだろうと思っていたんです。配属後にポンプ車とはしご車の隊員になると聞いたときは驚きましたね。
  • 憧れの女性消防士。その第1号ならではの苦労や壁とは。

    • 前澤: ほかの女性消防士も同じように現場で活動していたんですか。
      宮本: 尼崎市消防局では私が最初の女性消防士でした。現場も「任せていいのかな?」という感じで、最初は連携がうまくとれなくて苦労しました。
      小野寺: 私も千歳市消防本部初の女性消防士ですから、よくわかります。私は配属直後から救急救命士として勤務していましたが、女性消防士の前例がないので、実際どこまで業務を行えるのか現場も私も未知でしたね。

      新門: 私も女性消防士第1号なんですけど体力面を考慮されて指揮隊へ配属されました。当時は他の方と同じ活動をしたかったので歯がゆく感じることもありました。
      山中: 第1号ならではの悩みですね。どうやって乗り越えていったんですか?

  • 周囲と新たな女性消防士。そして組織の対応力が支えてくれた。

    • 小野寺: 先輩たちのおかげですね。何でも話を聞いてくれたので、相談しながら業務の幅を広げられました。
      宮本: 私は後輩に助けられましたね。「第1号だから何でもやらないと!」と気を張っていて先輩たちとコミュニケーションがとれなかったと思うんですけど、誰に対しても気さくに話す後輩を見て、自然体でいいと思えたんです。
      新門: 私も後輩ができたおかげで悩みを共有できて気持ちが楽になりました。それから女性のポンプ隊員も生まれて、どんどん活躍の場が広がってきましたね。
      山中: 皆さんが女性消防士の道を切り拓いてくれたから、後輩も安心して働けるんでしょうね。
      前澤: これからも女性消防士が増えることを考えると、より働きやすい環境を整えなくてはいけませんね。
      新門: 環境といえば当時の職場には女性用の仮眠室がなくて、しばらく毎日勤務しかできなかったんです。配属から1年後に仮眠室を作ってもらえて、「やっとできた!」ってうれしくなったのを思い出しました。

      宮本: 私も配属当時は女性用仮眠室が1つの消防署に1室だけでした。女性消防士が増えるにつれて、女性に考慮した設備を備えた消防署ができてきたので、少しずつ充実しているように感じます。
      小野寺: 臨機応変に対応してくれる組織ですよね。
      新門: それと女性は出産や育児があるので、そうした時の対応や復帰後の居場所なども整えていかないといけませんね。
  • 今までの経験や職場の協力があるから産休育休後も続けられる。

    • 小野寺: はじめて産休を取得するとなった時、職場も私も慌てました。それまで取得した消防士がいなかったので、福利厚生制度の確認からはじめていきました。
      宮本: わからないことだらけで不安だったんじゃないんですか?
      小野寺: そうですね。一番の不安は復職についてでした。それまで救急の現場しか知らなかったので、育児休業後にしっかり復職できるだろうかと思っていました。
      新門: 早く働きたいという想いが強かったんですね。私も産休育休を取得しましたが、育児に専念する期間を長くいただけてよかったと思いました。
      小野寺: その気持ちは私もわかります。ただ当時は肩に力が入っていたんでしょうね。母親としては、子どもとの時間は長く欲しい。その反面、復職を考えると1日でも早く現場に戻りたい。二つの狭間で揺れていました。
      山中: 子育て中は毎日勤務に従事することが多いと思うので、それまで交替制勤務の経験しかないと、いざ復帰した時に新しい業務を一から覚える必要があるので大変ですよね。
      前澤: 小野寺さんも復職後は慣れない業務に苦労されたんですか。
      小野寺: そう思っていたんですけどね。復職して通信指令員として勤務していますが、通報を受けた際に必要な応急手当の方法を口頭で伝えるなど、救急現場へ行かなくても救急隊員の経験を活かすことができました。もちろん、私がこうして復職できるのも、職場の上司、仲間、そして家族の理解とサポートがあってのことですけどね。
      新門: 職場の方々は育児への理解が深いですよね。私も子どもが熱を出した時や病気にかかってしまった時などは、快く看護休暇をくださるので、とてもありがたく感じています。
  • 母として、女性として、消防士として感じるやりがい。

    • 前澤: 母親になったことで仕事への影響はありました?
      新門: 以前よりも細かな点に気が付くようになったと思います。今、私は企画教養課という部署で地域住民の方に救急・火災予防を広報するイベントの企画調整等を行っているんですけど、子育て中の方も安心してイベントに参加できるよう、キッズスペースを立案したり、これまでなかった視点からアイデアが生まれることがありましたね。
      宮本: 仕事の幅も広がるし、それで喜んでもらえたらうれしくなりますよね。

      小野寺: 私の経験でいうと、母親は我が子が救急車を必要としている時、パニックになっていることがほとんどです。「お母さん救命士」として女性目線、母親目線から安心感を与えることができると思います。
      山中: 私も救急の経験があるので、よくわかります。男性とは違った目線や気配りが仕事に活かせると思いますし、それが仕事を続けていく上でのモチベーションになっていますよね。
      宮本: 救急の現場だと女性消防士の存在って大きいですよね。
      前澤: そうですね。私は救急隊の隊長とポンプ車の機関員として活動していますが、病院搬送の間に患者さんやご家族の方と会話する中で、「女性がいてくれて安心した」というお言葉をいただいたことがありました。

      宮本: 浴室で急変された女性の方を搬送する時もあるので、そういう状況では同僚からも頼りにされますね。
  • 女性消防士への期待とそれぞれが描く、今後のキャリア。

    • 宮本: あと私の職場では、通信指令にも女性消防士が必要と言われるんですけど、女性が多い方がいいと感じることってありますか?
      小野寺: 現場の消防士と無線でやりとりする際、「女性の声は高くて聞き取りやすい」と言ってもらえることもあり、通信指令は女性の特性を活かせる場の一つと考えています。
      新門: やっぱり女性ならではの柔らかな印象や声から、消防団の方や地域住民の方々に安心感を与えられますよね。
      宮本: なるほど。それと私の職場では予防業務を希望する女性消防士がいます。法律や建築の知識が求められるので勉強の連続ですが、毎日勤務ですから出産や育児などがあっても長く続けられると考えているみたいです。

      前澤: 私はできるかぎり、現場で活動したいですね。体力面の違いから男性と同じ業務を行うのは大変な部分もありますが、そこで諦めるのではなく、どうすれば重い資機材が持ちやすくなるのかと姿勢について勉強したり、自主トレーニングしたりと工夫しながら働き続けたいです。
      新門: 私も現場に復帰したいと考えています。子育ての経験者は私だけなので、後輩たちに「母親になっても、こんな働き方ができるんだ」と思ってもらえるよう、活躍の幅を広げていければと思っています。
      山中: 私の職場でも、今年度から女性救助隊員第1号が誕生したので、本人次第でキャリアを築いていけますよね。
  • 「これがやりたい!」その想いが自分らしい道をつくる。

    • 宮本: 上司や先輩がサポートしてくれるので、女性も交替制勤務や消防や救急、救助といった現場で活躍できると思いますね。
      山中: 仕事に対して熱い気持ちをもっている先輩ばかりですので、どんな相談にも乗ってくれますし。
      前澤: かといって先輩や上司に頼ってばかりでは、本人のモチベーションが続かないかもしれませんよね。

      小野寺: そう思うと、これから消防士を目指される方は「こんな仕事をしたい!」という気持ちをもってほしいですね。
      宮本: 例えば、「救助をやりたい」と言えば希望を叶えてくれる職場もあるので、そうした環境の良さを活かして活躍の幅を広げてもらえたらいいですよね。
      新門: 地域や設備の違いによって職域が限られてしまうかもしれませんが、そこに女性消防士が入ることで変えていくこともできますし、いろんな可能性があると思います。

      宮本: 体力に自信がなくても、勉強が得意な方なら予防業務で活躍したり、消防署全体を指揮する立場にもなれると思います。文系でも理系や体育会系であろうと、どんな方でも活躍できるのが魅力ですね。
      小野寺: 想像以上に事務仕事が多いですし、すべてが体力仕事でもないですからね。
  • 消防の仕事や人に触れ、広い視野で自分の将来を考えてほしい。

    • 宮本: 配属されたばかりの方は、「事務仕事がここまで多いとは」と驚きますよね。
      小野寺: やっぱりテレビや報道のイメージが強いんだと思います。常に火災現場や災害現場へ出動していく男性の仕事だと思っている方は多いんじゃないでしょうか。
      宮本: やっぱり体育会系と思われているんでしょうね。
      新門: 宮本さんは違うんですか?
      宮本: 全然違いますよ。だから消防学校の訓練や配属当時は大変でしたね。ここまで続けてこられた理由は、仕事にやりがいを感じていたからです。予防業務などの毎日勤務や救急隊員として出勤する女性消防士が多い中で、消防車に乗って人々へ貢献する仕事は誇りに感じますし、市民からいただく感謝のお言葉で、またがんばろうと思いました。
      山中: 私も救急救命士として活躍する先輩たちの姿を見て、現場に行きたいと思ったので、実際に働く中で見えてくる目標もあるでしょうね。どの仕事も、人々の役に立っているというやりがいを感じられると思います。そうした実感があるからこそ、定年まで働くことができるのではないでしょうか。
      宮本: だからこそ、消防の仕事は多彩であるということを伝えていきたいですよね。女性だから現場の仕事ができないということはないですし、女性は毎日勤務のみというわけではないので、広い視点で消防士としてのキャリアや働き方を考えてもらえたら、もっと多くの女性が活躍できると思います。
      小野寺: 私自身、これから入ってくる女性消防士の参考になるような消防士を目指して活動してきたので、この座談会もその一助になれたらいいですね。
      新門: そして自分の進むべき道を見つけてもらえたらうれしいですね。

※記事・プロフィールは取材当時のものです。

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