令和元年版 消防白書

第8節 その他の災害対策

[火山災害対策]

1.平成30年以降の主な火山活動の動向

(1)霧島山(新燃岳)の火山活動による被害等の状況

霧島山(新燃岳)では、平成30年3月1日8時頃から浅い場所を震源とする低周波地震が増加するとともに、同日8時15分頃から火山性微動が継続して発生し、火山ガスの放出量が1日あたり5,500トンに急増した。
このため、気象庁は、同日16時40分に噴火警報(火口周辺)を発表し、火口からおおむね2kmとしていた警戒が必要な範囲をおおむね3kmに拡大した。
これに伴い、消防庁では、直ちに応急対策室長を長とする消防庁災害対策室を設置(第1次応急体制)し、情報収集体制を強化した。
また、同月10日1時54分及び4時27分に爆発的噴火が発生し、弾道を描いて飛散する大きな噴石が1,800mまで飛散した。
このため、気象庁は、同日5時05分に噴火警報(火口周辺)を発表し、今後火山活動がさらに活発化するおそれがあることから、警戒が必要な範囲を火口からおおむね4kmに拡大した。
なお、この噴火による人的被害及び住家被害はなかった。
その後、同月11日以降、さらなる噴火活動の活発化は認められず、地震回数や火山ガスの放出量が減少したこと等から、気象庁は、15日11時00分に噴火警報(火口周辺)を発表し、警戒が必要な範囲を火口からおおむね3kmに縮小した。
また、6月に入ってから山体膨張を示す顕著な変化は観測されていないこと等、新燃岳火口へのマグマの供給は低下したものとみられることから、気象庁は、6月28日11時00分に噴火警報(火口周辺)を発表し、噴火警戒レベルを3(入山規制)から2(火口周辺規制)に引き下げ、警戒が必要な範囲を火口からおおむね2kmに縮小した。

(2)草津白根山(本白根山)の火山活動による被害等の状況

草津白根山の本白根山では、平成30年1月23日10時02分頃に鏡池付近で噴火が発生した。
これに伴い、消防庁では、直ちに応急対策室長を長とする消防庁災害対策室を設置(第1次応急体制)し、情報収集体制を強化した。
気象庁は、草津白根山に同日11時05分に噴火警報(火口周辺)を発表し、噴火警戒レベルを1(活火山であることに留意)から2(火口周辺規制)に引き上げたが、その後、鏡池付近から1km以上飛散する噴石が確認されたことから、11時50分に再び噴火警報(火口周辺)を発表し、噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)から3(入山規制)に引き上げ、本白根山の火口からおおむね1kmとしていた警戒が必要な範囲をおおむね2kmに拡大した。
なお、この噴火による住家被害はなかったが、死者1人(群馬県)、重傷3人及び軽傷8人の人的被害が発生した。
その後、3月16日14時00分より、噴火が発生した草津白根山(本白根山)を対象とした噴火警戒レベルの運用が開始され、火山活動の状況を踏まえて、気象庁は同時刻に噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)とする噴火警報(火口周辺)を発表し、警戒が必要な範囲を本白根山の火口からおおむね1kmとした。

(3)霧島山(えびの高原(硫黄山)周辺)の火山活動による被害等の状況

霧島山(えびの高原(硫黄山)周辺)の硫黄山では、平成30年4月19日15時39分頃に噴火が発生し、硫黄山火口周辺で噴石の飛散が確認された。
このため、気象庁は、同日15時55分に噴火警報(火口周辺)を発表し、噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)から3(入山規制)に引き上げ、硫黄山からおおむね1kmとしていた警戒が必要な範囲をおおむね2kmに拡大した。
これに伴い、消防庁では、直ちに応急対策室長を長とする消防庁災害対策室を設置(第1次応急体制)し、情報収集体制を強化した。
なお、この噴火による人的被害及び住家被害はなかった。
その後、地殻変動観測で硫黄山付近及びその西側にみられていた隆起がほぼ収まっていること、4月20日以降、火山性地震はおおむね少ない状態で経過し、25日以降は火山性微動が観測されていないことから、気象庁は、5月1日14時00分に噴火警報(火口周辺)を発表し、噴火警戒レベルを3(入山規制)から2(火口周辺規制)に引き下げ、警戒が必要な範囲を硫黄山からおおむね1kmに縮小した。

(4)口永良部島の火山活動による被害等の状況

口永良部島では、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量が増加する中、平成30年8月15日0時頃から火山性地震が増加した。
このため、気象庁は、同日10時30分に噴火警報(居住地域)を発表し、噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)から4(避難準備)に引き上げ、新岳火口からおおむね1kmとしていた警戒が必要な範囲をおおむね3kmに拡大した。
これに伴い、消防庁では、直ちに応急対策室長を長とする消防庁災害対策室を設置(第1次応急体制)し、情報収集体制を強化した。
なお、この火山活動による人的被害及び住家被害はなかった。
同月16日以降、火山性地震は観測されず、火山ガスの放出量も18日以降減少したことから、気象庁は、29日10時00分に噴火警報(火口周辺)を発表し、噴火警戒レベルを4(避難準備)から3(入山規制)に引き下げ、警戒が必要な範囲を新岳火口からおおむね2kmに縮小した。
さらに、平成31年2月3日以降、噴火は観測されていないことや火山性地震が2月以降減少し、少ない状態で経過していること等から、気象庁は、6月12日11時00分に噴火警報(火口周辺)を発表し、噴火警戒レベルを3(入山規制)から2(火口周辺規制)に引き下げ、警戒が必要な範囲を新岳火口からおおむね1kmと西側のおおむね2kmに縮小した。
その後、特段の変化はみられなかったが、10月27日21時33分に新岳火口付近の浅いところを震源とする規模の大きな地震が発生したことから、気象庁は、28日0時15分に噴火警報(火口周辺)を発表し、噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)から3(入山規制)に引き上げ、警戒が必要な範囲を新岳火口からおおむね2kmに拡大した。
これに伴い、消防庁では、直ちに応急対策室長を長とする消防庁災害対策室を設置(第1次応急体制)し、情報収集体制を強化した。
なお、この火山活動による人的被害及び住家被害はなかった。

(5)阿蘇山の火山活動による被害等の状況

阿蘇山では、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量が多くなっている中、平成31年4月14日13時30分頃から火山性微動の振幅がやや大きくなった。
このため、気象庁は、同日14時30分に噴火警報(火口周辺)を発表し、噴火警戒レベルを1(活火山であることに留意)から2(火口周辺規制)に引き上げ、警戒が必要な範囲を中岳第一火口からおおむね1kmとした。
その後、同月16日18時28分に中岳第一火口でごく小規模な噴火が発生し、気象庁は、噴火警戒レベル2(火口周辺規制)を継続した。
これに伴い、消防庁では、直ちに応急対策室長を長とする消防庁災害対策室を設置(第1次応急体制)し、情報収集体制を強化した。
なお、この噴火による人的被害及び住家被害はなかった。

(6)浅間山の火山活動による被害等の状況

浅間山では、令和元年8月7日22時08分に山頂火口で小規模な噴火が発生した。
このため、気象庁は、同日22時30分に噴火警報(火口周辺)を発表し、噴火警戒レベルを1(活火山であることに留意)から3(入山規制)に引き上げ、警戒が必要な範囲を火口からおおむね4kmとした。
これに伴い、消防庁では、直ちに応急対策室長を長とする消防庁災害対策室を設置(第1次応急体制)し、情報収集体制を強化した。
なお、この噴火による人的被害及び住家被害はなかった。
その後、地震活動、噴煙活動、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量が低調に経過し、深部からのマグマ上昇を示す地殻変動は観測されていないことから、気象庁は、同月19日11時00分に噴火警報(火口周辺)を発表し、噴火警戒レベルを3(入山規制)から2(火口周辺規制)に引き下げ、警戒が必要な範囲を火口からおおむね2kmに縮小した。

(7)薩摩硫黄島の火山活動による被害等の状況

薩摩硫黄島の硫黄岳では、令和元年11月2日17時35分に噴火が発生した。
このため、気象庁は、同日17時50分に噴火警報(火口周辺)を発表し、噴火警戒レベルを1(活火山であることに留意)から2(火口周辺規制)に引き上げ、警戒が必要な範囲を火口からおおむね1kmとした。
これに伴い、消防庁では、直ちに応急対策室長を長とする消防庁災害対策室を設置(第1次応急体制)し、情報収集体制を強化した。
なお、この噴火による人的被害及び住家被害はなかった。

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