4.派遣実績
国際消防救助隊の海外災害派遣は、国際緊急援助隊の派遣に関する法律施行前の2回を含めこれまでに21回の実績がある(第5-2表)。このうち、直近3回の派遣概要は次のとおりである。
第5-2表 国際消防救助隊の派遣状況
(令和元年11月1日現在)
※1及び2については、国際緊急援助隊の派遣に関する法律制定前であり、JICAの短期専門家として派遣されている。
平成27年4月に発生したネパール地震災害においては、国際緊急援助隊救助チーム70人(うち国際消防救助隊員17人)が派遣された。大地震の影響により現地空港が混乱していたため、救助チームが搭乗した航空機は当初の予定どおり到着できず、予定より1日遅れでの被災地入りとなったが、現地の日本大使館及びJICA事務所を通じて、事前に情報収集を行っていたため、これまでの派遣と比較し、到着後、最も迅速に捜索救助活動を開始することができた。救助チームは、旧王宮周辺、サクー、ゴンガブ地区等で捜索救助活動を行い、派遣期間は2週間に及んだ。これは、追加派遣を行わないものとしては、過去最長の派遣期間である。
平成29年9月に発生したメキシコ地震災害においては、国際緊急援助隊救助チーム72人(うち国際消防救助隊員17人)が派遣された。メキシコ政府は国際社会に対し、一般的な支援要請は行わなかったが、日本の災害対応における経験や知見への期待から、日本に対しては救助チームの派遣を要請した。アジア圏でメキシコ政府より要請を受けて救助チームを派遣したのは、日本のみであり、このような大きな期待を受け、救助チームは、メキシコシティの3か所(ブレターニャ、オブレゴン、トラルパン)の建物倒壊現場において捜索救助活動を実施し、現地でも大変好意的に受け止められた。
平成30年2月に発生した台湾東部での地震災害においては、台湾当局による捜索・救助活動を支援するため、国際緊急援助隊専門家チーム8人(うち国際消防救助隊員2人)が派遣された。余震が続く中、専門家チームは到着直後から現地救助隊に対して捜索用資機材の取扱指導や捜索活動の助言を実施した。今回の専門家チーム派遣は、東日本大震災の際に台湾が行った支援に対する日本側の恩返しと受け止められ、台湾で高く評価された。