告示

特定共同住宅等の構造類型を定める件

平成十七年三月二十五日
消防庁告示第三号

特定共同住宅等における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令(平成十七年総務省令第四十号)第二条第八号から第十号までの規定に基づき、特定共同住宅等の構造類型を次のとおり定める。

第一 趣旨

この告示は、特定共同住宅等における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令(平成十七年総務省令第四十号。以下「省令」という。)第二条第八号から第十号までに規定する特定共同住宅等の構造類型を定めるものとする。

第二 用語の意義

この告示において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 特定共同住宅等 省令第二条第一号に規定する特定共同住宅等をいう。
二 共用部分 省令第二条第四号に規定する共用部分をいう。
三 階段室等 省令第二条第五号に規定する階段室等をいう。
四 階段室型特定共同住宅等 すべての住戸、共用室及び管理人室について、その主たる出入口が階段室等に面する特定共同住宅等をいう。
五 廊下型特定共同住宅等 すべての住戸、共用室及び管理人室について、その主たる出入口が階段室等以外の廊下等の通路に面する特定共同住宅等をいう。
六 特定光庭 平成十七年消防庁告示第二号第二第八号に規定する特定光庭をいう。

第三 二方向避難型特定共同住宅等

一 省令第二条第八号に規定する二方向避難型特定共同住宅等は、特定共同住宅等の住戸等(住戸、共用室及び管理人室に限る。以下第三及び第四において同じ。)において火災が発生した場合に、当該住戸等が存する階の住戸等に存する者が、当該階の住戸等から、少なくとも一以上の避難経路を利用して階段室等(当該住戸等が避難階に存する場合にあっては地上。以下第三において同じ。)まで安全に避難できるようにするため、次号に定めるところにより、二以上の異なった避難経路(避難上有効なバルコニーを含む。以下同じ。)を確保していると認められるものとする。
二 二方向避難型特定共同住宅等は、次に定めるところによるものであること。
(一)廊下型特定共同住宅等の階段室等は、廊下の端部又は廊下の端部に接する住戸等の主たる出入口に面していること。
(二)住戸等の外気に面する部分に、バルコニーその他これに類するもの(以下「バルコニー等」という。)が、避難上有効に設けられていること。
(三)バルコニー等に面する住戸等の外壁に、消防法施行規則(昭和三十六年自治省令第六号)第四条の二の二に規定する避難上有効な開口部が設けられていること。
(四)隣接するバルコニー等が隔板等によって隔てられている場合にあっては、当該隔板等が容易に開放し、除去し、又は破壊することができ、かつ、当該隔板等に次に掲げる事項が表示されていること。
イ 当該バルコニー等が避難経路として使用される旨
ロ 当該隔板等を開放し、除去し、又は破壊する方法
ハ 当該隔板等の近傍に避難上支障となる物品を置くことを禁ずる旨
(五)住戸等において火災が発生した場合に、当該住戸等が存する階の住戸等に存する者が、当該階の住戸等から、少なくとも一以上の避難経路を利用して階段室等まで安全に避難することができること。ただし、バルコニー等に設けられた避難器具(避難器具用ハッチに格納された金属製避難はしご、救助袋等の避難器具に限る。)により当該階の住戸等から避難階まで避難することができる場合は、この限りでない。

第四 開放型特定共同住宅等

一 省令第二条第九号に規定する開放型特定共同住宅等は、特定共同住宅等の住戸等において火災が発生した場合に、当該住戸等が存する階及びその上階の廊下及び階段室等(階段室型特定共同住宅等における階段室等に限る。以下第四において同じ。)における消火、避難その他の消防の活動に支障を生じないものとして、次号に定めるところにより、廊下及び階段室等が開放性を有すると認められるものとする。
二 開放型特定共同住宅等は、次に定めるところによるものであること。
(一)すべての階の廊下及び階段室等が隣地境界線又は他の建築物等の外壁との中心線から一メートル以上離れていること。
(二)すべての階の廊下及び階段室等が特定光庭に面していないこと。
(三)直接外気に開放されていないエントランスホール等(以下単に「エントランスホール等」という。)が避難階に存する場合にあっては、当該エントランスホール等が次に定める基準に適合すること。
イ 避難階以外の階及びエントランスホール等に面する住戸等から当該エントランスホール等を経由しないで避難することができる経路があること。
ロ エントランスホール等は、避難階以外の階にわたらないものとすること。ただし、当該エントランスホール等が耐火構造の床又は壁で当該避難階以外の階と区画されている場合(当該エントランスホール等と特定共同住宅等の部分を区画する床又は壁に開口部を設ける場合にあっては、防火設備であるはめごろし戸が設けられているものに限る。)にあっては、この限りでない。
(四)廊下は、次に定めるところによるものであること。
イ すべての階の廊下は、次の(イ)又は(ロ)に定めるところによること。
(イ)すべての階の廊下は、次のaからdまでに定めるところによること。
a 各階の外気に面する部分の面積(廊下の端部に接する垂直面の面積を除く。)は、当該階の見付面積の三分の一を超えていること。
b 外気に面する部分の上部に垂れ壁等を設ける場合は、当該垂れ壁等の下端から天井までの高さは、三十センチメートル以下であること。
c 手すり等の上端から垂れ壁等の下端までの高さは、一メートル以上であること。
d 外気に面する部分に風雨等を遮るために壁等を設ける場合にあっては、当該壁等の幅を二メートル以下とし、かつ、当該壁等相互間の距離を一メートル以上とすること。
(ロ)特定共同住宅等の住戸等で火災が発生した場合に、当該住戸等の開口部から噴出する煙により、すべての階の廊下において、消火、避難その他の消防の活動に支障になる高さ(床面からの高さ一・八メートルをいう。)まで煙が降下しないこと。
ロ 外気に面しない部分が存する場合にあっては、当該外気に面しない部分の長さは、六メートル以下であり、かつ、当該外気に面しない部分の幅員の四倍以下であること。
(五)階段室等は、次のイ又はロに定めるところによるものであること。
イ 平成十四年消防庁告示第七号に適合する開口部を有すること。
ロ 特定共同住宅等の住戸等で火災が発生した場合に、当該住戸等の開口部から噴出する煙により、階段室等において、消火、避難その他の消防の活動に支障になる高さ(床面からの高さ一・八メートルをいう。)まで煙が降下しないこと。

第五 二方向避難・開放型特定共同住宅等

省令第二条第十号に規定する二方向避難・開放型特定共同住宅等は、特定共同住宅等における火災時に、すべての住戸、共用室及び管理人室から、少なくとも一以上の避難経路を利用して安全に避難できるようにするため、避難階又は地上に通ずる二以上の異なった避難経路を確保し、かつ、その主たる出入口が開放型廊下又は開放型階段に面していることにより、特定共同住宅等における火災時に生ずる煙を有効に排出することができる特定共同住宅等であって、第三及び第四に掲げる要件を満たすものとする。

附則

この告示は、平成十九年四月一日から施行する。