告示

合成樹脂製の管及び管継手の基準

平成十三年三月三十日
消防庁告示第十九号

消防法施行規則(昭和三十六年自治省令第六号)第十二条第一項第六号ニ(ロ)及びホ(ロ)、第十四条第一項第十号、第十六条第三項第二号の二、第十八条第四項第八号並びに第二十二条第八号の規定に基づき、合成樹脂製の管及び管継手の基準を次のとおり定める。

合成樹脂製の管及び管継手の基準

第一 趣旨
この告示は、消防法施行規則(昭和三十六年自治省令第六号)第十二条第一項第六号ニ(ロ)及びホ(ロ)、第十四条第一項第十号、第十六条第三項第二号の二、第十八条第四項第八号並びに第二十二条第八号に規定する合成樹脂製の管(以下「管」という。)及び合成樹脂製の管継手(以下「管継手」という。)の基準を定めるものとする。

第二 用語の意義
この告示において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 管等 管継手に管を接続したものをいう。
二 最高使用圧力 管等の使用圧力範囲の最大値をいう。
三 最大支持間隔 管等の機能に支障を生じない支持間隔の最大値をいう。

第三 管等の性能
管等の性能は、次に定めるところによる。
一 次の表の上欄に掲げる消火設備の配管の種類に応じ、同表の下欄に掲げる試験を行った場合において、それぞれ合格するものであること。

消火設備の配管の種類 試験の種類
屋内消火栓設備及び屋外消火栓設備の配管 漏れ試験、耐圧試験、破壊試験、水撃圧試験、曲げ試験、引張強度試験、押しつぶし試験、衝撃試験、長期静水圧試験及び繰り返し温度試験
スプリンクラー設備の配管 一斉開放弁及び流水検知装置の一次側並びに湿式の流水検知装置の二次側 漏れ試験、耐圧試験、破壊試験、水撃圧試験、曲げ試験、引張強度試験、押しつぶし試験、衝撃試験、長期静水圧試験及び繰り返し温度試験
乾式又は予作動式の流水の二次側 気密試験、漏れ試験、耐圧試験、破壊試験、水撃圧試験、曲げ試験、引張強度試験、押しつぶし試験、衝撃試験、長期静水圧試験及び繰り返し温度試験
一斉開放弁の二次側 漏れ試験、耐圧試験、破壊試験、水撃圧試験、曲げ試験、引張強度試験、押しつぶし試験、衝撃試験及び繰り返し温度試験
水噴霧消火設備及び泡消火設備の配管 一斉開放弁の一次側 漏れ試験、耐圧試験、破壊試験、水撃圧試験、曲げ試験、引張強度試験、押しつぶし試験、衝撃試験、長期静水圧試験及び繰り返し温度試験
一斉開放弁の二次側 漏れ試験、耐圧試験、破壊試験、水撃圧試験、曲げ試験、引張強度試験、押しつぶし試験、衝撃試験及び繰り返し温度試験

二 消火剤(水に浸潤剤、不凍液等を添加したものを含む。以下同じ。)を用いる消火設備の配管に係るものにあっては、耐薬品性試験に合格するものであること。
三 屋外に露出して設けられるもの(紫外線に暴露された場合の防護措置を講じているものを除く。)にあっては、耐候性試験に合格するものであること。
四 火災時に熱を受けるおそれがある部分に設けられるものにあっては、標準耐熱性試験に合格するものであること。ただし、スプリンクラー設備であって湿式の流水検知装置が設けられているものの管等が天井部分に設置される場合において、火災時に熱を受けるおそれがある部分が自動式の消火設備の有効範囲内にあるときは、当該管等が軽易耐熱性試験に合格することをもって足りるものであること。
五 高難燃ノンハロゲン性を有するものにあっては、高難燃性試験、発煙濃度試験及び燃焼時発生ガス試験に合格するものであること。

第四 気密試験
気密試験は、次により行うものとする。
一 試験方法
試験方法は、管等に最高使用圧力の一・五倍の空気圧を三分間加えること。
二 判定
気密試験の結果の判定は、漏れを生じないものを合格とすること。

第五 漏れ試験
漏れ試験は、次により行うものとする。
一 試験方法
試験方法は、管等に〇・一メガパスカルの水圧力を三分間加えること。
二 判定
漏れ試験の結果の判定は、漏れを生じないものを合格とすること。

第六 耐圧試験
耐圧試験は、第五に定める試験に合格した管等に対して、次により行うものとする。
一 試験方法
試験方法は、管等の内部に空気が残らないように水を満たし、直管部中央の外径を測定した後、最高使用圧力の一・五倍の水圧力を三分間加えること。
二 判定
耐圧試験の結果の判定は、ひび、割れ、漏れ又は脱管を生ぜず、かつ、圧力を開放した後に測定した外径が、加圧する前に測定した外径より一パーセント以上増減しないものを合格とすること。

第七 破壊試験
破壊試験は、第五及び第六に定める試験に合格した管等に対して、次により行うものとする。
一 試験方法
試験方法は、管等の内部に空気が残らないように水を満たし、当該管等にひび、割れ、漏れ又は脱管が生じるまで、一分間で最高使用圧力の四倍となる加圧の割合で水圧力を上げること。ただし、最高使用圧力の四倍以上で、かつ、十メガパスカル以上の水圧力を加えた場合であっても、当該管等にひび、割れ、漏れ又は脱管が生じないときは、当該圧力を一分間加えること。
二 判定
破壊試験の結果の判定は、ひび、割れ、漏れ又は脱管を生じたときの圧力が最高使用圧力の四倍を超えるものを合格とすること。ただし、前号ただし書の場合においては、ひび、割れ、漏れ又は脱管を生じないものを合格とすること。

第八 水撃圧試験
水撃圧試験は、次により行うものとする。
一 試験方法
試験方法は、管等の内部に空気が残らないように水を満たし、当該管等を固定した状態で零メガパスカルから最高使用圧力の三・五倍の圧力(管等の容積が変化した場合にあっては、元の容積に対する圧力)となるまでの圧力変動を毎秒一回の割合で百回加えた後において、第五及び第六に定める方法の試験を実施すること。
二 判定
水撃圧試験の結果の判定は、ひび、割れ、漏れ又は脱管を生じないものを合格とすること。

第九 曲げ試験
曲げ試験は、次により行うものとする。
一 試験方法
試験方法は、管等を最大支持間隔の二倍の間隔で支持し、内部に空気が残らないように水を満たし、最高使用圧力を加えた状態で、最大支持間隔と等しい長さの管に充てんする水の重量に等しい荷重を当該管等の中央の部分に一分間加えること。
二 判定
曲げ試験の結果の判定は、ひび、割れ、漏れ又は脱管を生じないものを合格とすること。

第一〇 引張強度試験
引張強度試験は、次により行うものとする。
一 試験方法
試験方法は、管等の長手方向に、破断又は降伏するまで引張荷重を加えること。この場合において、延性を有するものの試験における試験速度は、JIS(工業標準化法(昭和二十四年法律第百八十五号)第十七条第一項の日本工業規格をいう。以下同じ。)K七一一三(プラスチックの引張試験方法)に準じたものであること。
二 判定
引張強度試験の結果の判定は、破断又は降伏するときの引張荷重が一キロニュートン以上のものを合格とすること。

第一一 押しつぶし試験
押しつぶし試験は、次により行うものとする。
一 試験方法
試験方法は、管等を温度二度の雰囲気中に二十四時間放置し、その状態を保持したまま鋼製平板と鋼製治具(幅四十一ミリメートル、高さ二十五ミリメートル以上のもので、管等を置く面を半径三・二ミリメートルに丸み付けをしたものに限る。)との間に挟んで一キロニュートンの荷重(延性を有する材質のものにあっては、概ね一分間に十三ミリメートルの速度による荷重)を加えた状態を五分間保持した後において、第五及び第六に定める方法の試験を実施すること。
二 判定
押しつぶし試験の結果の判定は、ひび、割れ、漏れ又は脱管を生じないものを合格とすること。

第一二 衝撃試験
衝撃試験は、次により行うものとする。
一 試験装置
試験装置は、次に適合するものであること。
(一) 重錘は、鋼製で質量〇・五キログラム、直径二十五ミリメートルの円柱状平底形であって、角が丸みを有するものであること。
(二) 試験装置は、JISK六七四二(水道用硬質塩化ビニル管)のHIVPの試験装置に準じたものであること。
二 試験方法
試験方法は、管等を温度零下十八度、零度及び二十度の雰囲気中にそれぞれ二十四時間放置し、その状態を保持したまま管等の両端をゴムバンドで受け台に固定し、重錘を、管にあっては高さ一・五メートル、管継手にあっては高さ〇・七五メートルの位置から落下させた後、第五及び第六に定める方法の試験を実施すること。この場合において、管継手の試験における衝撃位置及び衝撃方向は、JISK六七四三(水道用硬質塩化ビニル管継手)のHITSの耐衝撃性試験方法に準じること。
三 判定
衝撃試験の結果の判定は、ひび、割れ、漏れ又は脱管を生じないものを合格とすること。

第一三 長期静水圧試験
長期静水圧試験は、次により行うものとする。
一 試験方法
試験方法は、管等の内部に空気が残らないように水を満たし、最高使用圧力の水圧力を加えた状態で温度五十度の雰囲気中に千時間放置すること。
二 判定
長期静水圧試験の結果の判定は、当該試験を実施した管等で、第五及び第六に定める方法の試験に合格したものを合格とすること。

第一四 繰り返し温度試験
繰り返し温度試験は、次により行うものとする。
一 試験方法
試験方法は、管等の内部に空気が残らないように水を満たし、最高使用圧力の水圧力を加えた状態で温度二度の雰囲気中に二十四時間放置した後、温度四十度の雰囲気中に二十四時間放置する試験を五回繰り返すこと。
二 判定
繰り返し温度試験の結果の判定は、当該試験を実施した管等で、第五及び第六に定める方法の試験に合格したものを合格とすること。

第一五 耐薬品性試験
耐薬品性試験は、次により行うものとする。
一 試験方法
試験方法は、管等の試験片で、JISK七一一四(プラスチックの耐薬品性試験方法)に準じたものを温度二十三度プラスマイナス二度に保持した恒温装置内に七日間静置すること。この場合において、試験液は当該管等を使用する消火設備に用いる消火剤の原液及び水溶液とし、二十四時間ごとに試験液をかき混ぜて濃度を均一にすること。
二 判定
耐薬品性試験の結果の判定は、JISK七一一四(プラスチックの耐薬品性試験方法)に準じて算出した試験片の質量変化及び体積変化が、それぞれ〇・五パーセント以上増減しないものであり、かつ、当該試験片に変色を生じないもの又は当該試験片の変色が軽微なものを合格とすること。

第一六 耐候性試験
耐候性試験は、次により行うものとする。
一 試験方法
試験方法は、管等の試験片で、JISK七一一三(プラスチックの引張試験方法)に準じたものをJISB七七五三(サンシャインカーボンアーク灯式耐光性及び耐候性試験機)又はJISB七七五四(キセノンアークランプ式耐光性及び耐候性試験機)に適合した試験機を使用して、当該試験機の光源に六千時間暴露された後、JISK七一一三(プラスチックの引張試験方法)に準じた引張試験を実施すること。
二 判定
耐候性試験の結果の判定は、形状及び寸法の変化がなく、かつ、暴露された後の引張強度が暴露される前の引張強度以上のものを合格とすること。

第一七 標準耐熱性試験
標準耐熱性試験は、次により行うものとする。
一 試験方法
試験方法は、スプリンクラー設備の配管であって乾式又は予作動式の流水検知装置及び一斉開放弁の二次側に用いるもの並びに水噴霧消火設備又は泡消火設備の配管であって一斉開放弁の二次側に用いるものにあっては、管等の内部に空気が残らないように乾燥空気を満たし、最高使用圧力となるように空気圧を上げ、その他の配管にあっては、管等の内部に空気が残らないように水を満たし、最高使用圧力となるように水圧力を上げ、当該圧力を加えた状態で、JISA一三〇四(建築構造部分の耐火試験方法)の標準曲線に準じて三十分間加熱した後において、第五及び第六に定める方法の試験を実施すること。
二 判定
標準耐熱性試験の結果の判定は、ひび、割れ、漏れ又は脱管を生じないものを合格とすること。

第一八 軽易耐熱性試験
軽易耐熱性試験は、次により行うものとする。
一 試験装置
試験装置は、次に適合するものであること。
(一) 試験室は、幅十メートル以上、奥行き十メートル以上、高さ四・五メートル以上のもので、床面から二・七メートルの高さに天井が設けられていること。
(二) 試験室は無風の状態であること。
(三) 試験室の天井に、感度の種別が二種、有効散水半径が二・三メートル、標示温度が七十二度のスプリンクラーヘッドを三・二五メートル間隔で四個正方配置すること。
(四) 別図の火災模型を用いること。
二 試験方法
試験方法は、管等の内部に空気が残らないように水を満たし、最高使用圧力の水圧力を加えた状態で、試験室の天井に正方配置した四個のスプリンクラーヘッドの中心に露出して設置し、当該管等の直下に置いた火災模型に点火し、当該火災模型をスプリンクラー設備により鎮火した後において、第五及び第六に定める方法の試験を実施すること。
三 判定
軽易耐熱性試験の結果の判定は、ひび、割れ、漏れ又は脱管を生じないものを合格とすること。

第一九 高難燃性試験
高難燃性試験は、次により行うものとする。
一 試験方法
試験方法は、長さ二・四メートルの管についてJISC三五二一(通信ケーブル用難燃シース燃焼性試験方法)に準じた燃焼試験を実施すること。
二 判定
高難燃性試験の結果の判定は、管の上端まで燃焼していないものを合格とすること。

第二〇 発煙濃度試験
発煙濃度試験は、次により行うものとする。
一 試験体
試験体は、管等と同一の材料の縦七十六ミリメートル、横七十六ミリメートル、厚さ〇・五ミリメートルプラスマイナス〇・一ミリメートルのシートで、加熱表面以外の部分をアルミ箔で覆ったものであること。
二 試験装置
試験装置は、次に適合するものであること。
(一) 試験箱は、内面に腐食を防止する措置を施した金属で造られたものとすること。
(二) 輻射加熱炉は、直径七十六ミリメートルの開口部を有する電気炉であること。
(三) 試験体ホルダーは、試験体が容易に着脱できるものであって、試験体の縦六十五ミリメートル、横六十五ミリメートルの範囲を加熱することができるものであること。
三 試験方法
試験方法は、次によること。
(一) 試験体と同じ大きさのけい酸カルシウム板等を裏面に付した試験体を試験体ホルダーに取付け、試験箱の内部において、輻射加熱炉により試験体中央部の直径約三十八ミリメートルの範囲に一平方センチメートル当たり平均二・五ワットの輻射エネルギーを放射して二十分間加熱し、この間の光の最小透過率を測定すること。
(二) 試験は、それぞれ別の試験体を用いて三回行うこと。
四 判定
発煙濃度試験の結果の判定は、次の式により求めた発煙速度の平均が百五十以下であるものを合格とすること。
Ds=V/(A・L)log10 100/T
Dsは、発煙速度
Vは、試験箱内容積(単位 立方ミリメートル)
Aは、試験体の加熱表面積(単位 平方ミリメートル)
Lは、光路長(単位 ミリメートル)
Tは、光の最小透過率(単位 パーセント)

第二一 燃焼時発生ガス試験
燃焼時発生ガス試験は、次により行うものとする。
一 試験体
試験体は、管等と同一の材料二グラムを細かく裁断したものであること。
二 試験装置
試験装置は、次に適合するものであること。
(一) 空気ボンベは、JISK〇〇五五(ガス分析装置校正方法通則)のゼロガス相当の乾燥空気を用いること。
(二) 燃焼皿は、加熱により気体を発生し、又は吸収しないものであること。
(三) ガス洗浄容器は、水素イオン濃度指数五以上七以下の水百七十ミリリットルを満たした内径五十ミリメートル以上六十ミリメートル以下の容器であること。この場合において、石英管から排出される気体を内径四ミリメートル以上六ミリメートル以下のガラス管で水面下五十ミリメートルの位置に導くことができるものであること。
三 試験方法
試験方法は、次のとおりとすること。
(一) 七百五十度以上八百五十度以下に加熱した石英管の中央に、試験体をのせた燃焼皿を置き、空気ボンベの乾燥空気を一時間当たり十リットルプラスマイナス三リットルの流量で石英管の一端から供給し、他端からガス洗浄容器へ排出すること。
(二) ガス洗浄容器内の水素イオン濃度指数を乾燥空気の供給を開始してから三十分間測定すること。
(三) 試験は、それぞれ別の試験体を用いて三回行うこと。
四 判定
燃焼時発生ガス試験の結果の判定は、ガス洗浄容器内の水素イオン濃度指数の最小値の平均が、三・五以上のものを合格とすること。

第二二 表示
管等には、次の各号に掲げる事項を見やすい箇所に容易に消えないように表示するものとする。
一 製造者名又は商標
二 製造年
三 最高使用圧力
四 等価管長
五 最大支持間隔
六 気密試験、長期静水圧試験、標準耐熱性試験又は軽易耐熱性試験に合格しているものにあっては、その旨
七 消火剤を用いることができるものにあっては、用いることができる消火剤の種類
八 高難燃ノンハロゲン性を有する管等にあっては、その旨

  附 則
この告示は、平成十三年四月一日から施行する。

別図(第十八第一号(四)関係)