通知・通達

消防危第58号 危険物規制事務に関する執務資料(屋外タンク貯蔵所及び一般取扱所関係)の送付について

                             消防危第58号
                             平成11年6月15日

 
 各都道府県消防主管部長 殿
 
                         消防庁危険物規制課長

 
  危険物規制事務に関する執務資料(屋外タンク貯蔵所及び一般取扱所関係)の送付について


 危険物規制事務に関する執務資料を送付するので執務上の参考にされたい。
 また、貴管下市町村に対してもこの旨示達され、危険物行政の運用に遺漏のないようご指導願いたい。
 なお、本資料中においては、法令名等及び用語について次のとおり略称を用いたので承知されたい。
 
1 法令名等
  消防法(昭和23年法律第186号) --------------------------------------法
  危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)----------------------令
  危険物の規制に関する政令及び消防法施行令の一部を改正する政令
                   (昭和52年政令第10号)52年改正令
  危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号) ------------------規則
  危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令
          (平成6年自治省令第30号)---------------------6年改正規則
  危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示
            (昭和49年自治省告示第99号)----------------------告示
  危険物の規制に関する政令及び消防法施行令の一部を改正する政令等の施行について
  (昭和52年3月30日付け消防危第56号) ------------------------56号通知
  危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令等の施行について
              (平成6年9月1日付け消防危第73号)---------73号通知
  準特定屋外タンク貯蔵所に係る技術基準等に関する運用について
          (平成11年3月30日付け消防危第27号)------------27号通知
 
2 用語
  52年改正令の施行(昭和52年2月15日)の際、現に法第11条第1項前段の規定による設置に係る許可を受け、又は当該許可の申請がされていた特定屋外タンク貯蔵所で、その構造及び設備が令第11条第1項第3号の2又は第4号に定める技術上の基準に適合していなかったもの--------旧法タンク
  旧法タンクのうち、その構造及び設備が52年改正令附則第3項各号に定める技術上の基準に適合しているもの新基準に適合する--------旧法タンク
  旧法タンク以外の特定屋外タンク貯蔵所-------------------------------新法タンク
 
1 屋外タンク貯蔵所関係
 
 (1) 共通関係
 
  問 屋外タンク貯蔵所のタンク本体のみを建て替える際の申請は、法第11条第1項後段に規定する変更の許可によるものとしてよいか。
 
  答 建て替え後の屋外貯蔵タンクの直径(横型のタンクにあっては、たて及び横の長さをいう。この答において同じ。)及び高さが建て替え前の屋外貯蔵タンクの直径及び高さと同規模以下である場合は、お見込みのとおり。
 
 (2) 特定屋外タンク貯蔵所関係
 
  問1 「特定屋外貯蔵タンク内部の腐食を防止するためのコーティングに関する指針について」(平成6年9月1日付け消防危第74号)に定める「コーティングに関する指針」に基づき特定屋外貯蔵タンクに、ガラスフレークコーティング又はガラス繊維強化プラスチックライニングを行う場合の下地処理に際して、ブラスト面の表面粗さは標準板法(KTAコンパレーター等)によりRz30~100μmとして差し支えないか。
 
  答 お見込みのとおり。
 
  問2 特定屋外タンク貯蔵所の保安検査のうち底部の板厚検査については、「危険物規制事務に関する執務資料(特定屋外タンク貯蔵所関係)の送付について」(平成7年3月30日付け消防危第29号)中1(1)によってきたが、今後は、次のとおり取り扱うこととしてよいか。
    (1) 検査に係る特定屋外貯蔵タンクが旧法タンクである場合
      旧法タンクに係る底部板厚検査については、56号通知により示されている箇所を測定し、測定板厚が3.2mm以上(新基準に適合する旧法タンクにあっては、併せて6年改正規則附則第7条第2項第2号の保有水平耐力の規定を満たす厚さ以上)であれば法令上は「技術上の基準に適合している」こととなるが、設計板厚の90%以下である箇所の周囲における測定板厚平均値が設計板厚の80%以下となっている場合又は当該箇所の測定板厚最小値が過去の腐食率から次期保安検査時までに板厚が4.5mm未満になると認められる場合には、「屋外タンク貯蔵所の地震対策について」(昭和54年12月25日付け消防危第169号)により示されている屋外タンク貯蔵所の地震対策に関する保安指針に準じ、アニュラ板、底板の補修を指導する。
    (2) 検査に係る特定屋外貯蔵タンクが新法タンクである場合
      新法タンクに係る底部板厚検査については、56号通知により示されている箇所を測定し、告示第4条の17に規定する最小厚さ(以下「最小厚さ」という。)以上(規則第20条の4第2項第1号の2の保有水平耐力の規定が適用されるものにあっては、併せて保有水平耐力の規定を満たす厚さ以上)であることが必要であるが、最小厚さを満たしていない場合であっても、次の条件のすべてに適合する場合には、火災予防上支障がないと認め、令第23条の規定を適用する。
     ア 最小厚さの90%以下である箇所の周囲における測定板厚平均値が最小厚さの80%を超えている。
     イ 最小厚さからの板厚の減少が3mmを超えていない。
     ウ 規則第20条の4第2項第1号の2の保有水平耐力の規定に適合すると認められる。
 
  答 (1)及び(2) いずれもお見込みのとおり。
 
  問3 容量1万キロリットル以上の特定屋外貯蔵タンクに接続するサンプリング配管、ドレン配管等は使用時に必ず係員がバルブ直近に配置されるので、危険物を移送する配管以外の配管とみなしてよいか。
 
  答 お見込みのとおり。
 
問4 特定屋外タンク貯蔵所に関する下表の左欄の項目について、右欄に示す運用を行って差し支えないか。

  項           目

   運                               用

 地盤の液状化指数を3箇所以上のボーリングデータから算出する場合の取り扱いについて

 各ボーリングデータより当該タンク地盤の層序が明らかになり、各ボーリングデータが当該タンク地盤の性状を表している場合には、液状化指数の総合判断として平均値を用いる。

 地盤の液状化判定に用いる地盤の動的せん断強度(R)について

 動的せん断強度は、告示第74条に規定する式で求めるほか、地盤の詳細な土質試験(動的試験)により求めてもよい。

 73号通知の別添1「補修基準」中の図1における「※印寸法」の範囲について

 ※印寸法は溶接線止端間距離を示している。

 

 73号通知の別添1「補修基準」中のタンク附属物取付用当板の板厚について

 アニュラ板の板厚が底板の板厚より厚い場合において、タンク附属物取付用当板が、アニュラ板及び底板の溶接継手線上に取り付けられる場合の当該当板の板厚は、当該当板の保護の対象が主にアニュラ板であるか底板であるかにより判断する。

  マンホール及びノズルの補強板等のタンクの機能上必要なものの「補修基準」の適用について
 

 マンホール及びノズルの補強板等のタンク機能上必要なものであれば、73号通知の別添1「補修基準」中の図2の規定は適用しない。

 

  答 お見込みのとおり。
 
(3) 準特定屋外タンク貯蔵所関係
 
  問1 準特定屋外タンク貯蔵所のタンク本体並びに基礎及び地盤の変更とはどのような範囲の変更をいうのか。
 
  答 タンク本体については、側板最下段の全周取替、基礎及び地盤については液状化のおそれのある地盤に外傍RCリング基礎を設置する等、当該変更に際して設置時と同様の応力等の検討を要する変更をいう。
 
  問2 準特定屋外タンク貯蔵所に関する下表の左欄の項目について、右欄に示す運用を行って差し支えないか。

  項           目

   運                               用

 準特定屋外タンク貯蔵所の風荷重に対する滑動の検討について
 

 開放点検時等の空液時の滑動対策がとられているのならば、準特定屋外タンク貯蔵所の風荷重に対する滑動の検討において、払い出しノズルで払い出しのできない危険物(デッドストック)の重量を滑動に対する抵抗力に算入する。

 準特定屋外貯蔵タンクへの73号通知中の別添1「補修基準」の適用について

 「補修基準」中の分類が「×」とされている補修については、準特定屋外貯蔵タンクについても適用する。
 

 調査に関しての地盤の範囲について
 

 27号通知中の第1、1 調査に関する事項で「タンク1基当たり、地盤内の1箇所以上の」とあるが、この場合の地盤内とは告示第4条の22の3に規定する範囲とする。

 3カ所以上のボーリングデータから土質定数を決定する場合について



 

 27号通知中の第1、1 調査に関する事項でタンクを包含する地盤外の3箇所以上のボーリングデータに基づき土質定数を決定できるのは、地盤層序が明らかな場合である。
この場合の「包含する」とは、タンク全体を含むことが望ましいが、少なくともタンク中心がボーリング箇所を結んだ図形の内側にある状態をいう。なお、この場合のボーリング箇所の間隔は、最大で70m程度とする。

 基礎の局部すべりを検討するために行った土質試験結果を複数のタンクへ適用する場合について
 

 27号通知中の第1、1 調査に関する事項で「局部すべりを検討する範囲内の土質定数を求めることを原則とし、タンク1基当たり1箇所以上の試験を行う」とあるが、、基礎の施工条件が同一と認められる範囲を3カ所以上の試験結果から想定し適用することができる。

 液状化のおそれのある地盤について
 

 液状化のおそれのある地盤とは、砂質土であって、告示第4条の22の6に定める各号のいずれかに該当する地質の地盤をいう。

 一体構造の鉄筋コンクリートリング基礎について

 

 液状化のおそれのある地盤に設置することのできる基礎構造のうち、側板直下に設置された一体構造の鉄筋コンクリートリング基礎及びタンク外傍に設置された一体構造の鉄筋コンクリートリング基礎における一体構造とは、円周方向の鉄筋が連続した鉄筋コンクリート構造であり、ブロック構造は該当しない。

 砕石層を設けた場合の盛土基礎の上面と地下水位の間隔について
 

 盛土基礎の上面は、地下水位との間隔を2m以上確保することとされているが、厚さが1m以上、かつ、平板載荷試験値(K30値)が20kgf/cm以上である砕石層を設ける場合は、盛土基礎上面と地下水位との間隔は、1m以上確保すればよい。

計算沈下量の算定位置について

 計算沈下量の算定は、側板下端部での沈下量を計算する。

 規則第20条の3の2第2項第2号
ロに規定する地盤における支持力の確認を行う面について

 基礎構造底面における支持力を確認する。 ただし、置き換え等の地盤改良を行った場合には、改良底面における支持力も確認する。
 

 適合確認計算書における「タンク設置範囲」について

 27号通知中の別紙3「準特定屋外タンク貯蔵所の適合確認計算書(その3)」6、2)の「タンク設置範囲」は、告示第4条の22の2に規定する範囲とする。

 良く締め固められた砕石、砂の強度について

 良く締め固められた砕石、砂とは、平板載荷試験値(K30値)がそれぞれ20kgf/cm3程度、10kgf/cm3程度をいう。

 既設タンク基礎の安全性評価の方法について
 

 既設タンク基礎の安全性評価は、通常「準特定屋外タンク貯蔵所の適合確認計算書(その3)」に沿って確認するが、別途基礎の構造解析を行い確認してもよい。
 なお、この場合には、限界状態を考えた耐力照査でよい。

 27号通知中の第1、3(3)イの液状化判定資料の照査 について

 

 液状化判定資料の想定震度を照査する場合には、当該タンクの地盤条件から決まる設計水平震度(27号通知中の第1、3(2)のKs)に相当するものを考えればよい。また、地盤の種別が不明な場合においては、200ガルと考えて差し支えない。
 

 
  答 お見込みのとおり。
 
  問3 準特定屋外タンク貯蔵所の基礎及び地盤の改良工法又は完成検査について、個々のタンクの実態に応じて、高度の専門技術的判断が必要となる場合は、危険物保安技術協会の技術援助の活用を指導しても差し支えないか。
 
  答 お見込みのとおり。
 
  問4 危険物保安技術協会への審査委託費の予算への計上について、準特定屋外タンク貯蔵所に係る設置許可申請又は変更許可申請の見通しが立ちにくいがどうすればよいか。
 
  答 当該申請に速やかに対応できるよう、予め関係部局と十分な協議が行われるよう配意されたい。
 
2 一般取扱所関係
 
 問1 従前、同一の事業所内にあった一般取扱所の危険物配管に関して、同一事業所内に新たな合弁会社等を設立することにより、下図に示すように当該合弁会社等の敷地を100mを超えて通過することとなる場合、当該合弁会社等の保安管理等が従前と同様一元的に行われるのであれば、当該危険物配管については新たな移送取扱所として規制するのではなく、既設の一般取扱所のまま規制して差し支えないか。
 


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  答  お見込みのとおり。
 
 問2 隣接する複数の事業所間で、業務提携等により、原料、中間体等を相互利用しており、各事業所の危険物施設間を下図に示すように新たに配管で連結する場合、保安管理体制が一元的に行えるのであれば、当該配管について移送取扱所として規制するのではなく、既設の危険物施設の付属配管又は一般取扱所として規制して差し支えないか。
 
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  答  お見込みのとおり。