通知・通達

消防予第254号 消防法施行規則の一部を改正する省令の施行について

消防予第254号
平成11年9月29日
 
 各都道府県消防主管部長 殿
 
消防庁予防課長
 
消防法施行規則の一部を改正する省令の施行について
 
消防法施行規則の一部を改正する省令(平成11年自治省令第34号。以下「改正省令」という。)が平成11年9月29日に公布された。
今回の改正は、「公共工事コスト縮減対策に関する行動指針」(平成9年4月閣僚会議決定)に基づく排煙設備の建築基準法との整合の一環として、消防法施行規則(以下「規則」という。)に規定する排煙設備の設置免除要件及び排煙設備に関する基準の細目について、全面的な見直しを図ること等を目的として行われたものである。
貴職におかれては、下記事項に留意のうえ、その運用に遺憾のないよう格段の配慮をされるとともに、貴管下市町村に対してもこの旨通知され、よろしく御指導願いたい。
 
 
第1 改正事項
 1 排煙設備の設置免除要件の見直し
    改正省令による改正前の規則(以下「旧規則」という。)においては、排煙設備の設置免除要件として排煙上有効な開口部が設けられている場合が定められていたが、?@当該開口部要件について建築基準法と整合化が図られるとともに、?A建築基準法の設置免除要件を踏まえ2つの要件が追加されたこと(改正省令による改正後の規則(以下「新規則」という。)第29条関係)。
 2 排煙設備に関する基準の細目の見直し
    旧規則においては、排煙設備に関する基準の細目について具体的な設置・維持方法は特段規定されていなかったが、?@消防隊の消火活動において必要な機能、性能等の明確化を図りつつ、?A建築基準法との整合化が図られたこと(新規則第30条関係)。
(1) 排煙口について、防煙区画ごとに設けることとされるとともに、その設置方法、構造、性能等が規定されたこと(新規則第30条第1号関係)。
(2) 給気口について、消火活動拠点ごとに設けることとされるとともに、その設置方法、構造、性能等が規定されたこと(新規則第30条第2号関係)。
(3) 風道について、その設置方法、構造、性能、ダンパーを設ける場合の要件等が規定されたこと(新規則第30条第3号関係)。
(4) 起動装置について、?@手動起動装置にあっては設置単位、設置方法、表示等、?A自動起動装置にあっては起動要件等がそれぞれ規定されたこと(新規則第30条第4号関係)。
(5) 排煙機及び給気機について、点検に便利で、かつ、火災等の災害による被害を受けるおそれが少ない箇所に設けることとされたこと(新規則第30条第5号関係)。
(6) 排煙設備の性能について、?@機械排煙を行う防煙区画にあっては排煙機の性能(単位時間当たりの空気の排出量)、?A自然排煙を行う防煙区画にあっては直接外気に接する排煙口の面積が規定されるとともに、?B消火活動拠点の給気性能が規定されたこと(新規則第30条第6号関係)。
(7) 電源について、規則第24条第3号(=常用電源に係る結線方法等)の規定の例により設けることとされたこと(新規則第30条第7号関係)。
(8) 非常電源について、規則第12条第1項第4号(=自家発電設備、蓄電池設備等の設置・維持基準)の規定の例により設けることとされたこと(新規則第30条第8号関係)。
(9) 操作回路の配線について、規則第12条第1項第5号(=配線の耐熱措置)の規定の例により設けることとされたこと(新規則第30条第9号関係)。
(10)高層の建築物、大規模な建築物等に設置される排煙設備については、防災センター等に操作盤・総合操作盤を設けることとされたこと(新規則第30条第10号関係)。
(11)風道、排煙機、給気機及び非常電源には、規則第12条第1項第9号に規定する措置(=耐震措置)を講ずることとされたこと(新規則第30条第11号関係)。
 3 その他
    その他所要の規定の整備が行われたこと。
 
第2 施行期日等
 1 施行期日
    改正省令は、平成11年10月1日から施行することとされたこと(改正省令附則第1項関係)。
 2 経過措置
    平成11年10月1日において現に存する防火対象物若しくはその部分又は現に新築、増築、改築、移転、修繕若しくは模様替えの工事中の防火対象物若しくはその部分における排煙設備のうち、新規則第29条及び第30条の規定に適合しないものに係る技術上の基準については、これらの規定にかかわらず、なお従前の例によることとされたこと(改正省令附則第2項関係)。
 3 運用上の留意事項
(1) 今回の一連の政省令改正(平成11年政令第42号及び改正省令)により、消防法に規定する排煙設備の技術基準は、建築基準法と基本的に整合化が図られたこと。この場合において、整合化した事項の運用については、従来どおり建築基準法の例によることとしてさしつかえないこと。
    一方、排煙設備の主な設置目的は、?@消防法にあっては消防隊の安全・円滑な消火活動の確保、?A建築基準法にあっては在館者の安全・円滑な初期避難の確保であり、両法の趣旨が異なること等から、次の点については、特に差異が設けられていること。
    ア 建築基準法では、一定の区画・内装制限を行った部分に係る排煙設備については、設置が免除されているが、?@煙が滞留しやすい地階・無窓階において、?A盛期火災における安全・円滑な消火活動を確保するため、消防法では設置免除の対象外としている。
    イ 建築基準法では、排煙機又は給気機と接続していない煙突状の風道も認められているが、消防法では、消火活動上必要な風量を確実に担保するため、風道は排煙機又は給気機と接続されている必要がある(新規則第30条第3号ロ)。
    ウ 消防法では、風道にダンパーを設ける場合について、排煙設備の機能を確保するための要件を規定している。特に、消火活動拠点については、自動閉鎖装置を設けたダンパーの設置を禁止している(新規則第30条第3号ホ)。
    エ その他、消防法では、消防用設備等として必要な要件を補足している(新規則第30条第5号の規定による排煙機・給気機の被災防止、同条第11号の規定による風道等への耐震措置等)。
(2) 排煙方式については、いわゆる「機械排煙」(排煙機を用いて強制的に排煙を行う方式)と「自然排煙」(直接外気に接する開口部から自然に排煙を行う方式)の2種類が主に想定されていること。また、給気方式についても、「機械給気」(給気機を用いて強制的に給気を行う方式)と「自然給気」(直接外気に接する開口部から自然に給気を行う方式)の2種類が想定されていること。
    なお、新規則第30条第1号イただし書の規定は、いわゆる「加圧排煙」(当該防煙区画を加圧することにより、内部の煙を排除するとともに、外部からの煙の流入を防止する方式)を想定したものであること。
(3) 新規則第29条第1号に掲げる設置免除要件は、「自然排煙」の例によるものであるが、当該開口部は常時開放されているものであり、排煙に際し特段の操作等を要しないなど設備的な体をなしていないため、排煙設備とは異なるものとして位置づけられていること。また、同条第3号に掲げる設置免除要件は、性能規定化等に対応することを目的として設けられたものであり、おって当該規定に基づく消防庁告示を定める予定であること。
(4) 排煙設備については、前(1)から(3)までによるほか、技術基準の運用について、別途通知する予定であること。