通知・通達

消防危第30号 危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令等の施行について

消防危第30号
平成12年3月21日
 
 各都道府県消防主管部長 殿
 
消防庁危険物規制課長
 
危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令等の施行について
 
危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令(平成12年自治省令第11号)及び危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示の一部を改正する件(平成12年自治省告示第38号)が、本日公布され、平成12年10月1日(一部の事項については公布の日)から施行されることとなりました。
今回の改正は、「規制緩和推進3か年計画(改定)」(平成11年3月30日閣議決定)に基づき、貯蔵最大数量が1万キロリットル未満の特定屋外タンク貯蔵所の内部点検についてその周期等を延長すること、平成12年4月1日から危険物規制に係る事務が自治事務となることに伴い、現在消防庁の通達に示されている地下埋設タンク等、地下埋設配管及び移動タンク貯蔵所の定期点検の方法を省令及び告示に規定すること、規制緩和の観点から、危険物の貯蔵容器又は運搬容器の基準について所要の措置を講ずることをその内容とするものです。
貴職におかれては、下記事項に留意の上、その運用に十分配慮されるとともに、貴都道府県内の市町村に対してもこの旨周知されるようお願いします。
なお、本通知中においては、法令名について次のとおり略称を用いたのでご承知おき願います。
    消防法(昭和23年法律第186号)……法
    危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)……令
    危険物の規制に関する政令及び消防法施行令の一部を改正する政令(昭和52年政令第10号)……52年政令
    危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令(平成12年自治省令第11号)……改正省令
    改正省令による改正後の危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)……規則
    危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示の一部を改正する件(平成12年自治省告示第39号)……改正告示
    改正告示による改正後の危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示(昭和49年自治省告示第99号)……告示
 
 
第1 屋外タンク貯蔵所の内部点検の時期等に関する事項
(1) 貯蔵最大数量が1万キロリットル未満の特定屋外タンク貯蔵所の内部点検の周期を10年から13年に延長するとともに、当該屋外貯蔵タンクに規則第62条の2の2に規定する保安のための措置が講じられており、あらかじめ、その旨を市町村長等に届け出た場合には、次回の内部点検までの期間を15年に延長すること(規則第62条の5第1項)。
(2) 新基準の特定屋外タンク貯蔵所(52年政令の施行の際、現に法第11条第1項前段の規定による設置に係る許可を受け、又は当該許可の申請がされていた特定屋外タンク貯蔵所のうち、改正省令の施行の際現にその構造及び設備が令第11条第1項第3号の2及び第4号に定める技術上の基準に適合しないもの(以下「旧基準の特定屋外タンク貯蔵所」という。)で、52年政令附則第3項各号に掲げる基準のすべてに適合するものをいう。)については、内部点検の周期を10年から12年に延長するとともに、保安のための措置が講じられているものについては、下記の区分に応じ、次回の内部点検までの期間を延長すること(改正省令附則第2項)。
 一 規則第62条の2の2第1号に規定する保安のための措置が講じられており、あらかじめ、その旨を市町村長等に届け出た場合(以下「一号措置」という。) 15年
 二 規則第62条の2の2第2号に規定する保安のための措置が講じられており、あらかじめ、その旨を市町村長等に届け出た場合(以下「二号措置」という。) 14年
 三 規則第62条の2の2第1号(イを除く。)に規定する保安のための措置及び特定屋 外貯蔵タンクの内部の腐食を防止するためのコーティング(エポキシ系塗装又はタールエポキシ系塗装に限る。)が講じられており、あらかじめ、その旨を市町村長等に届け出た場合(以下「特例措置」という。) 13年
(3) 旧基準の特定屋外タンク貯蔵所のうち、52年政令附則第3項各号に掲げる基準に適合しないものに係る内部点検の周期については、従前の例(10年)によるものであること(改正省令附則第4項)。
(4) 規則第62条の5第1項括弧書に規定する届出は、規則別記様式第33又は別記様式第34の届出書によって行わなければならないこと(規則第62条の5第2項、別記様式第 33及び別記様式第34)。
(5) 規則第62条の7に規定する点検記録は、26年間(規則第62条の5第1項括弧書の期間の適用を受けた場合にあつては30年間、一号措置の場合にあつては30年間、二号措置の場合にあつては28年間、特例措置の場合にあつては26年間)保存しなければならないこと。
    ただし、旧基準の特定屋外タンク貯蔵所のうち、52年政令附則第3項各号に掲げる基準に適合しないものに係る内部点検の点検記録の保存期間については、従前の例(20年)によるものであること(規則第62条の8第1号、改正省令附則第3項)。
 
なお、屋外タンク貯蔵所の内部点検の周期の時期等に係る運用については、別途通知します。
 
 
第2 地下埋設タンク等、地下埋設配管及び移動タンク貯蔵所の定期点検に関する事項
1 地下埋設タンク等の定期点検
(1) 製造所及び一般取扱所のうち危険物を取り扱うタンク(地盤面下に設置されたものに限る。以下「地下埋設タンク」という。)を有するもの、地下タンク貯蔵所並びに給油 取扱所のうち専用タンク又は廃油タンク等(令第17条第1項第5号に規定する廃油タンク等をいう。以下同じ。)(以下「専用タンク等」という。)を有するもの(以下「地 下埋設タンク等を有する製造所等」という。)に係る定期点検は、規則第62条の4の 規定によるほか、告示で定めるところにより、次に掲げる地下埋設タンク等を有する製造所等の区分に応じ、タンク本体及び設備の漏れの点検を行わなければならないこと(規則第62条の5の2第1項)。
    一 製造所
    イ 地下埋設タンク(令第9条第1項第20号ハにおいてその例によるものとされる令第13条第2項第1号イ又はロに掲げる措置が講じられているものを除く。)
    ロ 地下埋設タンク(令第9条第1項第20号ハにおいてその例によるものとされる令第13条第2項第1号ロに掲げる措置が講じられているものに限る。)と間げき を有するように被覆した強化プラスチック製の外殻(当該間げきに当該タンクの漏れを検知するために液体が満たされているものを除く。)
    二 一般取扱所
    イ 地下埋設タンク(令第19条第1項において準用する令第9条第1項第20号ハにおいてその例によるものとされる令第13条第2項第1号イ又はロに掲げる措置が講じられているものを除く。)
    ロ 地下埋設タンク(令第19条第1項において準用する令第9条第1項第20号ハにおいてその例によるものとされる令第13条第2項第1号ロに掲げる措置が講じられているものに限る。)と間げきを有するように被覆した強化プラスチック製の 外殻(当該間げきに当該タンクの漏れを検知するために液体が満たされているものを除く。)
    三 地下タンク貯蔵所
    イ 地下貯蔵タンク(令第13条第2項第1号イ又はロに掲げる措置が講じられているものを除く。)
    ロ 地下貯蔵タンク(令第13条第2項第1号ロに掲げる措置が講じられているものに限る。)と間げきを有するように被覆した強化プラスチック製の外殻(当該間げ きに当該タンクの漏れを検知するために液体が満たされているものを除く。)
    四 給油取扱所
    イ 専用タンク等(令第17条第1項第6号イ又は同条第2項第2号においてその例によるものとされる令第13条第2項第1号イ又はロに掲げる措置が講じられているものを除く。)
    ロ 専用タンク等(令第17条第1項第6号イ又は同条第2項第2号においてその例によるものとされる令第13条第2項第1号ロに掲げる措置が講じられているものに限る。)と間げきを有するように被覆した強化プラスチック製の外殻(当該間げ きに当該タンクの漏れを検知するために液体が満たされているものを除く。)
(2) (1)の点検は、地下埋設タンク等を有する製造所等について令第8条第3項の完成検査済証(法第11条第1項後段の規定による変更の許可(以下「変更の許可」という。)に係るものについては、当該地下埋設タンク、地下貯蔵タンク、専用タンク等(以下「地下埋設タンク等」という。)又は規則第62条の5の2第1項第1号ロ、第2号ロ、第3号ロ若しくは第4号ロに規定する外殻(以下「外殻」という。)の変更の許可に係るものに限る。)の交付を受けた日又は直近において地下埋設タンク等若しくは外殻について(1)の点検を行った日から1年を超えない日までの間に1回以上行わなければならないこと(規則第62条の5の2第2項)。
(3) (1)の点検は、次のいずれかの方法又はこれと同等の方法により行わなければならな いこと(告示第71条)。
一 ガス加圧法 地下埋設タンク等に窒素ガスを封入し、20キロパスカルの圧力となるように加圧し、加圧終了後10分間静置した後、50分間の圧力の降下が2キロパスカル以下であること。
二 液体加圧法 地下埋設タンク等に液体を封入し、20キロパスカルの圧力となるように加圧し、加圧終了後10分間静置した後、20分間の圧力の降下が2キロパスカル以下であること。
三 微加圧法 地下埋設タンク等に窒素ガスを封入し、2キロパスカルの圧力となるように加圧し、加圧終了後15分間静置した後、15分間の圧力の降下が0.06キロパスカル以下であること。
四 微減圧法 地下埋設タンク等を2キロパスカル以上10キロパスカル以下の範囲で減圧し、減圧終了後地下タンクの容量に応じて定める時間(容量20キロリットル未満のものにあつては30分間以上、容量20キロリットル以上100キロリットル未満のものにあつては60分間以上)の測定において、圧力上昇値が、減圧値及び危険物の蒸気圧に応じて次の表に定める範囲内であること。










 

 
圧力上昇値(単位 kPa)
減圧値 2kPa減圧値 4kPa減圧値 10kPa


危険物の蒸気
圧 (単位 kPa) 
 

13以上
53未満

 
G:0.95未満G:1.10未満G:2.90未満
G:0.95以上1.00以下
かつ
T:0.04以下
G:1.10以上1.20以下
かつ
T:0.08以下
G:2.90以上3.10以下
かつ
T:0.20以下

0.4以上
13未満

 
G:0.45未満G:0.55未満G:1.40未満
G:0.45以上.0.50以下
かつ
T:0.04以下
G:0.55以上0..60以下
かつ
T:0.08以下
G:1.40以上1.60以下かつ
T:0.20以下
0.4未満P:0.04以下P:0.08以下P:0.20以下










 
 備考
一 Gは、測定時間が30分以上の場合は減圧終了時と30分後の圧力上昇値、測定時間が60分以上の場合は減圧終了時と60分後の圧力上昇値   
二 Tは、測定時間が30分以上の場合は減圧終了後30分後と40分後の圧力上昇値、測定時間が60分以上の場合は減圧終了後60分後と70分後の圧力上昇値
三 Pは、測定時間が30分以上の場合は減圧終了後10分後と30分後の圧力上昇値、測定時間が60分以上の場合は減圧終了後30分後と60分後の圧力上昇値
 
2 地下埋設配管の定期点検
(1) 製造所等のうち地盤面下に設置された配管(以下「地下埋設配管」という。)を有するものに係る定期点検は、規則第62条の4の規定によるほか、告示で定めるところにより、令第8条第3項の完成検査済証(変更の許可に係るものについては、当該地下埋設配管の変更の許可に係るものに限る。)の交付を受けた日又は直近において当該地下埋設配管の漏れの点検を行つた日から1年を超えない日までの間に1回以上当該地下埋設配管の漏れの点検を行わなければならないこと(規則第62条の5の3)。
(2) 地下埋設配管の漏れの点検は、次のいずれかの方法又はこれと同等の方法により行わなければならないこと(告示第71条の2)。
一 ガス加圧法 地下埋設配管に窒素ガスを封入し、20キロパスカル(移送取扱所の地下埋設配管にあつては最大常用圧力。次号において同じ。)の圧力となるように加 圧し、加圧終了後10分間静置した後、50分間(危険物を移送するための配管の延長が1キロメートルを超える移送取扱所の地下埋設配管にあつては、50分間に配管の延長が1キロメートルを増すごとに1時間を加えた時間)の圧力の降下が2キロパスカル以下であること。
二 液体加圧法 地下埋設配管に液体を封入し、20キロパスカルの圧力となるように加圧し、加圧終了後10分間静置した後、20分間(危険物を移送するための配管の延長が1キロメートルを超える移送取扱所の地下埋設配管にあつては、20分間に配管の延長が1キロメートルを増すごとに30分間を加えた時間)の圧力の降下が2キロパスカル以下であること。
三 微加圧法 地下埋設配管に窒素ガスを封入し、2キロパスカルの圧力となるように加圧し、加圧終了後15分間静置した後、15分間の圧力の降下が0.15キロパスカル以下であること。
四 微減圧法 地下埋設配管を2キロパスカル以上10キロパスカル以下の範囲で減圧し、減圧終了後30分間以上の測定において、圧力上昇値が、減圧値及び危険物の蒸気圧に応じて次の表に定める範囲内であること。
   






 

 
圧力上昇値(単位 kPa)
減圧値 2kPa減圧値 4kPa減圧値 10kPa
危険物の蒸気圧(単位
 kPa)

 

0.4以上
53未満

 
P:0.04未満P:0.08未満P:0.20未満
P:0.04以上.0.08以下
かつ
T:0.02以下
P:0.08以上0..16以下
かつ
T:0.04以下
P:0.20以上0.40以下かつ
T:0.10以下
0.4未満P:0.04以下P:0.08以下P:0.20以下






 
 備考
一 Pは、減圧終了後10分後と30分後の圧力上昇値
二 Tは、減圧終了後30分後と40分後の圧力上昇値
 
3 移動タンク貯蔵所の定期点検
(1) 移動タンク貯蔵所に係る定期点検は、規則第62条の4の規定によるほか、告示で定めるところにより、令第8条第3項の完成検査済証(変更の許可に係るものについては、当該移動貯蔵タンクの変更の許可に係るものに限る。)の交付を受けた日又は直近にお いて当該移動貯蔵タンクの漏れの点検を行つた日から5年を超えない日までの間に1回以上当該移動貯蔵タンクの漏れの点検を行わなければならないこと(規則第62条の5の4)。
(2) 移動貯蔵タンクの漏れの点検は、次に掲げる移動貯蔵タンクの区分に応じ、いずれかの方法又はこれと同等の方法により行わなければならないこと(告示第71条の3)。
    一 アルキルアルミニウム等を貯蔵し、又は取り扱う移動タンク貯蔵所の移動貯蔵タンク
    イ ガス加圧法 移動貯蔵タンクのタンク室に窒素ガスを封入し、1メガパスカルの圧力となるように加圧し、加圧終了後10分間圧力が降下しないこと。
    ロ 液体加圧法 移動貯蔵タンクのタンク室に液体を封入し、1メガパスカルの圧力となるように加圧し、加圧終了後10分間圧力が降下しないこと。
    二 前号に掲げる移動貯蔵タンク以外の移動貯蔵タンク
    イ ガス加圧法 移動貯蔵タンクのタンク室に窒素ガスを封入し、20キロパスカルの圧力となるように加圧し、加圧終了後20分間静置した後、圧力及び温度の変化を測定し、次の式により求めた温度補正圧力降下が0.2キロパスカル以下であること。
    △P40 =P20-P60・T20/T60
    △P40は、四十分間の温度補正圧力降下(単位 Pa)
    20は、加圧終了後20分後の絶対圧力(単位 Pa)
    60は、加圧終了後60分後の絶対圧力(単位 Pa)
    20は、加圧終了後20分後の温度(単位 K)
    60は、加圧終了後60分後の温度(単位 K)
    ロ 液体加圧法 移動貯蔵タンクのタンク室に液体を封入し、20キロパスカルの圧力となるように加圧し、加圧終了後10分間静置した後、圧力の変化を測定し、次の式により求めた圧力の変動率が0.05以下であること。
    R=(P10-P60)/P10      
    Rは、圧力の変動率
    10は、加圧終了後10分後の圧力(単位 Pa)
    10は、加圧終了後60分後の圧力(単位 Pa)
 
4 定期点検を行う者
    規則第62条の5の2から第62条の5の4までの規定による点検については、当該各条の告示で定めるところによる点検の方法に関する知識及び技能を有する危険物取扱者又は危険物施設保安員が行わなければならないこと(規則第62条の6第1項括弧書)。
    ただし、危険物取扱者の立会いを受けた場合は、当該各条の告示で定めるところによる点検の方法に関する知識及び技能を有する危険物取扱者以外の者が点検を行うことができること(第62条の6第2項括弧書)。
 
5 点検記録の保存期間
    点検記録は、3年間(規則第62条の5の4の規定による移動貯蔵タンクの漏れの点検に係る点検記録は10年間)保存しなければならないこと(規則第62条の8第2号及び第3号)。
 
なお、地下埋設タンク等、地下埋設配管及び移動タンク貯蔵所の定期点検の運用については、別途通知します。
 
 
第3 危険物の貯蔵容器又は運搬容器の基準に関する事項
1 動植物油類の貯蔵容器又は運搬容器関係
    ゴムその他の合成樹脂製の容器で、腐食、摩耗等により容易に劣化せず、かつ、収納する危険物の内圧及び取扱い時の荷重によつて当該容器に生じる応力に対して安全なもの(鋼製のコンテナに収納されているものに限る。)を、第4類の危険物(動植物油類)の貯蔵容器又は運搬容器(運搬容器として用いる場合には、運搬時の荷重によつて当該容器に生じる応力に対して安全なものに限る。)として認めること(告示第68条の2の2第4号ロ、第68条の3第4号)。
 
2 ニトロセルロースの貯蔵容器又は運搬容器関係
    第5類の固体の危険物のうちニトロセルロース(25%以上の水で湿性としたもの、窒素量が12.6%以下であって、アルコールの含有率が25%以上のもの又は窒素量が12.6%以下のもの(可塑剤及び顔料との混合物を含む。)に限る。)を収納する最大収容重量が225キログラム以下のファイバドラム(プラスチック内容器付きのもの又は防水性のものに限る。)を、危険物の貯蔵容器又は運搬容器として認めること(告示第68条の2の2第6号、第68条の3第6号)。
 
 
第4 施行期日
第1及び第3の改正事項については公布の日、第2の改正事項については平成12年10月1日から施行するものとされたこと(改正省令附則第1項、改正告示附則)。