通知・通達

消防予第288号 消防法施行規則の一部を改正する省令について(通知)


消防予第288号
平成12年12月22日
 
 
各都道府県消防主管部長 殿
 
 
消 防 庁 予 防 課 長
 
 
消防法施行規則の一部を改正する省令について(通知)
 
 
 消防法施行規則の一部を改正する省令(平成十二年自治省令第五十一号。以下「改正省令」という。)が、平成十二年十一月二十日に公布され、平成十三年一月一日から施行されることとなりました。
 今回の改正は、政府において、行政の関与を必要最小限にすること等を目的に「規制緩和推進3か年計画」の策定など様々な施策を展開してきているところであり、このような趣旨に沿うよう、消防法令上の防炎表示制度、消防用設備等の検査制度及び消防設備点検資格者制度について、行政の透明性の向上、行政事務の効率化、制度を活用する者の負担の軽減及び消費者への正しい情報の提供等を目的として、行われたものです。
 貴職におかれましては、下記事項に留意の上、その運用に十分配慮されるとともに、貴都道府県内の市町村に対してもこの旨周知されるようお願いします。
 

 
第一 防炎表示制度に関する事項
 1 防炎表示等

(1) 改正省令による改正前の消防法施行規則(以下「旧規則」という。)においては、防炎物品に附する防炎性能を有するものである旨の表示は、消防庁長官の認定を受けた者でなければ附することができず、消防庁長官は、申請者が旧規則第四条の四第三項に基づき定められた「防炎表示を附する者の認定の基準」(昭和四十八年消防庁告示第九号)に適合しているかどうかの審査を行った上で当該認定をすることとされていたが、当該制度が着実に定着していることから、規制緩和の要請を踏まえ、行政の関与を必要最小限にすることを目的に、「認定」制度から「登録」制度に改正することとしたこと。
 なお、登録制度に移行することに伴い、「防炎表示制度の運用について」(昭和五十四年三月三十一日付け消防予第五十七号)を廃止する等所要の改正を行う予定であること(改正省令による改正後の消防法施行規則(以下「新規則」という。)第四条の四第一項関係)。
(2) 消防庁長官に登録を受けようとする者は、申請書に消防庁長官が定める登録の基準に適合していることを証明する書類を添付して申請することとしたこと(新規則第四条の四第二項関係)。
(3) 消防庁長官は登録をするにあたって、火災予防に一義的な責任を有する消防機関が防炎物品の製造者等に関する情報を把握していることがのぞましいことから、所轄の消防長に登録をする旨の通知をすることとしたこと。また、当該通知を受けた消防長は、登録を受けようとする者の消防庁長官が定める登録の基準への適合性について意見を述べることができることとしたこと(新規則第四条の四第三項関係)。 
(4) 消防庁長官は登録又は登録の取消しをしたときは公示することとしたこと(新規則第四条の四第七項関係)。
(5) 認定制度から登録制度に改正したことに伴い、防炎表示の様式を改正することとしたこと(新規則別表第一関係)。

 2 防炎性能の確認

(1) 消防庁長官の登録を受けた者は、防炎対象物品又はその材料に防炎表示を付して販売等しようとするとき、本来、当該防炎対象物品又はその材料が一定の防炎性能を有しているものであることについて自主的に確認することが必要であるが、製造者等の中には第三者による確認により防炎物品への消費者の信頼性を担保することを目的とする者や防炎対象物品又はその材料が防炎性能を有しているかどうかの確認を第三者に委託することが効率的な者がいることが想定されることから、製造者等の確認に加えて、又は製造者等の代わりに、防炎対象物品又はその材料の防炎性能を確認する指定確認機関制度をもうけることとしたこと。
 この場合において、防炎性能の確認を行った指定確認機関を消費者に対して明らかにすることを期待すると考えられることから、防炎表示に自らの名称を記載する代わりに指定確認機関の名称を記載することができることとしたこと(新規則第四条の五第一項関係)。
(2) 防炎対象物品又はその材料が防炎性能を有することについて指定確認機関の確認を継続的に受けようとする者は、申請の際に、指定確認機関が発行する証明書等その旨を証明する書類を提出すれば、消防庁長官が定める登録の基準に適合していることを証明する書類の一部を提出する必要がないとしたこと(新規則第四条の五第二項関係)。

 3 指定確認機関

(1) 指定確認機関の指定は、申請により行うこととしたこと(新規則第四条の六第一項関係)。
(2) 申請書には次に掲げる事項を記載した書類を添付すること。なお、?Bに掲げる事項について変更しようとするときは、あらかじめその旨を届け出ること(新規則第四条の六第二項及び第四項関係)。
?@ 定款又は寄附行為
?A 役員の氏名
?B 確認の業務に係る手数料その他消防庁長官が定める事項
(3) 法人であって、消防庁長官が定める指定の基準を満たしていれば、指定確認機関の指定を受けることができること(新規則第四条の六第三項関係)。 
(4) 指定確認機関は、帳簿の備え付け・保存、消防庁長官の求めに応じた確認の業務に関する必要な報告、確認の業務の休廃止の届出を行う必要があること(新規則第四条の六第五項~第七項関係)。
(5) 消防庁長官は、指定確認機関の確認の業務が適正に行われていないと認めるときは、指定確認機関に対し、期間を定めて確認の業務の停止を命じ、又は指定を取り消すことができることとしたこと(新規則第四条の六第八項関係)。
(6) 消防庁長官は、指定をしたとき、確認の業務の休廃止の届出があったとき、又は確認の業務の停止若しくは指定の取消しをしたときは、その旨を公示することとしたこと(新規則第四条の六第九項関係)。

 4 その他
   その他所要の規定の整備が行われたこと。
 
第二 消防用設備等の検査制度に関する事項
 1 消防用設備等の認定

    (1) 一定規模以上の防火対象物に消防用設備等を設置した者は、消防法(昭和二十三年法律第百八十六号。以下「法」という。)第十七条の三の二に基づき、当該消防用設備等が設備等技術基準に適合していることを確認し、消防長等による設置時の検査(以下「設置時検査」という。)を受ける必要があるが、新規則において指定認定機関も消防用設備等又はこれらの部分である機械器具の設備等技術基準の全部又は一部への適合性を確認すること(認定)を可能としたこと。これにより、設置者の確認の事務負担の軽減と消防機関の設置時検査の簡略化に資するものであること。
     ただし、設備等技術基準のうち、現場に設置されて初めて確認することができる設置場所、設置個数等の基準については、一般的には消防機関が検査する必要があることから、認定の対象から外れることになること。
     なお、設備等技術基準とは、法第十七条第一項の政令若しくはこれに基づく命令等に基づく技術上の基準であり、通知による技術的助言としての基準は含まれないものであること。また、これらの部分である機械器具とは、消防用設備等の構成部品である噴射ヘッド、耐火電線、自家発電設備等を指すものであること(新規則第三十一条の四第一項関係)。
    (2) 設置時検査の際に、消防用設備等又はこれらの部分である機械器具が指定認定機関の認定を受けていることが外見上明らかなように、指定認定機関が認定を行ったときは、消防用設備等又はこれらの部分である機械器具が設備等技術基準の全部又は一部に適合している旨の表示を当該消防用設備等又はこれらの部分である機械器具に付すことができることとしたこと(新規則第三十一条の四第二項関係)。
    (3) 設置時検査の際、消防長等は指定認定機関の認定を受けた消防用設備等又はこれらの部分である機械器具については、認定を受けた部分に関し、設備等技術基準に適合しているものとみなすこととしたこと。
     これに伴い、消防長等は、設置時検査の際、設置された消防用設備等又はこれらの部分である機械器具に所定の表示が付されていることを確認すれば、性能を確認するための試験(気密試験、耐圧試験等)を個別に行う必要はなくなることになること。ただし、一般的には、設置場所、設置個数等については検査する必要があること(新規則第三十一条の三第三項関係)。

 2 指定認定機関

    (1) 指定認定機関の指定は、申請により行うこととしたこと。(新規則第三十一条の五第一項関係)
    (2) 法人であって、消防庁長官が定める指定の基準を満たしていれば、指定認定機関の指定を受けることができること。(新規則第三十一条の五第二項関係)
    (3) その他指定確認機関の規定を準用することとしたこと(新規則第三十一条の五第三項関係)。 

 3 その他
   その他所要の規定の整備が行われたこと。
 
第三 消防設備点検資格者制度に関する事項
 1 消防設備点検資格者
   法第十七条の三の三に規定する自治大臣が認める資格を有する者(消防設備点検資格者)は、従来、「消防法施行令第三十六条第二項に定める防火対象物における消防用設備等を点検する資格を有する者を定める件」(昭和五十年自治省告示第八十九号)で規定されていたが、行政手続きの一層の透明化、消防設備点検資格者講習の充実・多様化を図ることを目的として新規則により規定することとしたこと。

     (1) 新規則において、消防設備点検資格者は、次のいずれかに該当する者で、指定講習機関が行う講習の課程を修了し、当該指定講習機関が発行する免状の交付を受けている者としたこと。
     なお、次のいずれかに該当する者については、消防法施行令第三十六条第二項に定める防火対象物における消防用設備等を点検する資格を有する者を定める件の第一(消防設備点検資格者)に規定していた内容と変更がないことに留意すること(新規則第三十一条の六第五項関係)。
      ?@ 法第十七条の六に規定する消防設備士
      ?A 電気工事士法(昭和三十五年法律第百三十九号)第三条に規定する電気工事士
      ?B 建設業法(昭和二十四年法律第百号)第二十七条並びに建設業法施行令(昭和三十一年政令第二百七十三号)第二十七条の三及び第二十七条の八に規定する管工事施工管理技士
      ?C 水道法(昭和三十二年法律第百七十七号)第十二条及び水道法施行令(昭和三十二年政令第三百三十六号)第三条に規定する水道布設工事監督者の資格を有する者
      ?D 建築基準法第十二条第一項又は第二項に規定する建設大臣が定める資格を有する者
      ?E 建築士法(昭和二十五年法律第二百二号)第二条第二項に規定する一級建築士又は同条第三項に規定する二級建築士
      ?F 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による大学若しくは高等専門学校、旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)による大学又は旧専門学校令(明治三十六年勅令第六十一号)による専門学校において機械、電気、工業化学、土木又は建築に関する学科を修めて卒業した後消防用設備等の工事又は整備について一年以上の実務の経験を有する者
      ?G 学校教育法による高等学校若しくは中等教育学校又は旧中等学校令(昭和十八年勅令第三十六号)による中等学校において機械、電気、工業化学、土木又は建築に関する学科を修めて卒業した後消防用設備等の工事又は整備について二年以上の実務の経験を有する者
      ?H 消防用設備等の工事又は整備について五年以上の実務の経験を有する者    
      ?I 前各号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると消防庁長官が認める者

 (2) 消防設備点検資格者は、次のいずれかに該当するときは、その資格を失うこととしたこと(新規則第三十一条の六第六項関係)。

      ?@ 成年被後見人又は被保佐人となつたとき。
      ?A 禁錮(こ)以上の刑に処せられたとき。
      ?B 法に違反し、罰金の刑に処せられたとき。
      ?C 消防用設備等の点検を適正に行つていないことが判明したとき。
      ?D 資格、学歴、実務の経験等を偽つたことが判明したとき。
      ?E 消防庁長官が定める期間ごとに指定講習機関の講習を修了し、当該指定講習機関が発行する免状の交付を受けなかつたとき。

 2 指定講習機関

    (1) 指定講習機関の指定は、申請により行うこととしたこと(新規則第三十一条の七第一項関係)。
    (2) 法人であって、消防庁長官が定める指定の基準を満たしていれば、指定講習機関の指定を受けることができること(新規則第三十一条の七第二項関係)。
    (3) その他指定確認機関の規定を準用することとしたこと(新規則第三十一条の七第三項関係)。 

 3 その他
   その他所要の規定の整備が行われたこと。
 
第四 施行期日等
 1 施行期日
   改正省令は、平成十三年一月一日から施行することとされたこと(改正省令附則第一条関係)。
 2 経過措置

    (1) 改正省令の施行の際現に旧規則第四条の四第一項第一号の規定により認定を受けている者は、改正省令の施行の日(以下「施行日」という。)において、新規則第四条の四第一項第一号の規定により登録を受けた者とみなすこととしたこと(改正省令附則第二条関係)。
    (2) 改正省令の施行の際現に防炎物品に付されている旧規則別表第一の防炎表示の様式は、新規則別表第一の防炎表示の様式とみなすこととしたこと(改正省令附則第三条関係)。
    (3) 改正省令の施行の際現に消防用設備等の点検に関し必要な知識及び技能を修得することができる講習に相当するものとして消防庁長官が認める講習を修了し、当該講習を行う機関が発行する免状の交付を受けている者(免状が失効した者を除く。)は、施行日において新規則第三十一条の六第五項に規定する消防設備点検資格者とみなすこととしたこと(改正省令附則第四条関係)。

 3 その他

    (1) 新規則で消防庁長官に委任されている事項については、別途消防庁長官告示を制定すること。
    (2) 今回の消防法施行規則の改正に伴い、関係する通知等の見直しを行い、今後通知する予定であること。