通知・通達

消防危第40号 製造所及び一般取扱所に係る保安距離及び保有空地について

消防危第40号
平成13年3月29日
 
 各都道府県消防主管部長 殿
 
                    消防庁危険物保安室長
 
 
製造所及び一般取扱所に係る保安距離及び保有空地について
 
先般、規制緩和推進3か年計画(改訂)(平成11年3月30日閣議決定)を受けて設置された「石油コンビナートに係る保安四法の合理化・整合化促進に関する実務者検討委員会」において、石油コンビナート等災害防止法(昭和50年法律第84号)第2条第2項に規定する石油コンビナート等特別防災区域に設置される製造所及び一般取扱所における、危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号。以下「政令」という。)第9条第1項第1号ニに規定する距離(以下「高圧ガス施設との保安距離」という。)及び同項第2号に規定する空地(以下「保有空地」という。)に係る基準の特例について、安全性を損なわないことを前提に検討が実施されました。
この内容を踏まえ、下記のとおり高圧ガス施設との保安距離及び保有空地の取り扱いに係る運用を定めましたので、貴職におかれては、その運用に遺漏のないよう配慮されるとともに、貴都道府県内の市町村長に対してもこの旨周知されるようお願いします。
 
 
1  高圧ガス施設との保安距離について
    高圧ガス施設との保安距離については、当該施設との位置関係等から安全上支障がないと判断できる場合には、政令第23条を適用して緩和することが可能であること。
    なお、位置関係等から安全上支障がないと判断できる場合の例としては次の場合が考えられること。
(1) ア及びイに適合している場合
ア 主な工程が連続していること。
イ 施設間に、延焼を防止できる耐火構造の壁又は隔壁があること。なお、新たに隔壁を設置(保有空地内への設置は認められないこと。)する場合においては、既設の消火設備で有効に包含できなくなる部分が生じないようにする必要があること。
(2) 高圧ガス施設が保安目的のみの高圧ガス(不活性ガス)施設で、保安距離を保たなければならない製造所又は一般取扱所の専用施設である場合。
 
2 保有空地内を他の施設の配管が通過することについて
次の(1)及び(2)のいずれにも適合している場合には、政令第23条を適用し、保有空地に他の施設の配管を通過させることを認めて差し支えないこと。
 (1) 消防活動等に支障がないと認められる場合
ア 他の施設の配管が、配管架台に整理して設置されていること。
イ 他の施設の配管が設置される配管架台は、次の(ア)及び(イ)に適合するものであること。
    (ア) 消防活動等に支障となる位置に設けられていないこと。
      例としては、配管架台の支柱、ブレース(筋交い)等の位置が消防活動の支障とならないよう考慮して設置されている場合があること。
    (イ) 危険物の規制に関する規則(昭和34年自治省令第55号。以下「規則」という。)第13条の5第2号(ただし書きを除く。)に定める措置が講じられていること。
      ただし、規則第13条の5第2号本文と同等以上と認められる措置を講じた場合はこの限りではない。
      同等以上と認められる設備の例としては、当該架台に、散水設備を保有空地内に存する配管架台全体を包含するように設ける場合があること。
ウ 他の施設の配管の流体は、次の(ア)から(ウ)のものと接触した場合において、危険な反応を起こさないものであること。
    (ア) 当該製造所又は一般取扱所において貯蔵し、又は取り扱う物質
    (イ) 当該製造所又は一般取扱所に適用する消火剤
    (ウ) 保有空地内に存する配管の流体
エ 他の施設の配管の流体が液体の危険物(固体の危険物を液状にして移送する場合等を含む。)の場合は、有効に消防活動を行うことができる措置が講じられていること。
    有効に消防活動を行うことができる例としては、当該配管架台の外側に、消防活動に使用するための空地を確保する場合等があること。
 (2) 他の施設の配管が、万一当該製造所又は一般取扱所の災害により破損した場合において、当該他の施設に火災又は爆発等の悪影響を与えないと判断できる場合
    悪影響を与えない例としては、当該配管の破損に伴う関連施設の安全停止等の対策が講じられている場合があること。