通知・通達

消防危第50号国際輸送用積載式移動タンク貯蔵所の取扱いに関する指針について

消防危第50号
平成13年4月9日
 
 
 各都道府県消防主管部長 殿
 
 
消防庁危険物保安室長
 
 
国際輸送用積載式移動タンク貯蔵所の取扱いに関する指針について
 
 国際輸送用のタンクコンテナを車両に積載する移動タンク貯蔵所の取扱いについては、「国際輸送用積載式移動タンク貯蔵所の取扱いに関する運用基準について」(平成4年6月18日付け消防危第53号消防庁危険物規制課長通知。以下「53号通知」という。)により運用をお願いしているところです。
 今般、危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令(平成13年総務省令第45号)により、国際海事機関が採択した危険物の運送に関する規程に定める基準に適合している移動貯蔵タンク(タンクコンテナ)に係る積載式移動タンク貯蔵所については、一定の消防法令の技術基準に適合しているものとされました。
 また、国際間の流通の一層の円滑化を図る観点から、タンクコンテナに係る完成検査等の事務の簡素化及び合理化並びに手続の迅速化を図る必要があります。
 これらのことから、53号通知による運用基準を見直し、新たに標記について別紙のとおり定めましたので、執務上の参考とされるとともに、貴管内市町村に対しても、この旨周知されるようご配意願います。
 なお、これに伴い53号通知は廃止します。
別紙
 
国際輸送用積載式移動タンク貯蔵所の取扱いに関する運用基準
 
1 定義
  国際輸送用積載式移動タンク貯蔵所とは、国際海事機関(International Maritime Organisation(IMO))が採択した危険物の運送に関する規程(International Maritime Dangerous Goods Code(IMDGコード))に定める基準に適合している旨を示す表示板(IMO表示板)が貼付されている移動貯蔵タンク(以下「タンクコンテナ」という。)を積載する移動タンク貯蔵所をいう。
 
2 許可
(1)許可の単位
   国際輸送用積載式移動タンク貯蔵所に対する移動タンク貯蔵所としての許可件数は、当該国際輸送用積載式移動タンク貯蔵所の車両の数と同一であること。
(2)許可に係る手続
 設置者が、国際輸送用積載式移動タンク貯蔵所の車両に同時に積載することができるタンクコンテナの数以上の数のタンクコンテナ(以下「交換タンクコンテナ」という。)を保有し、かつ、当該車両に交換タンクコンテナを積載しようとする場合の手続は次によること。
  ア 積載式移動タンク貯蔵所としての設置許可を受ける前
    (ア) 交換タンクコンテナを含めて当該国際輸送用積載式移動タンク貯蔵所の設置許可を要すること。なお、設置許可申請は、交換タンクコンテナが入港する前に受け付けて差し支えないこと。
    (イ) 貯蔵する危険物の品名及び最大貯蔵数量が、タンクコンテナを積載するたびに異なることが予想される場合は、貯蔵することが予想されるすべての品名及び貯蔵最大数量を危険物の品名及び貯蔵最大数量として、設置許可を要すること。
    (ウ) 許可申請にあたって添付を要するタンクコンテナの構造及び設備に係る書類は、当該タンクコンテナの国際基準への適合性が既に確認されていることにかんがみ、タンクコンテナに係る海上輸送に責任のある各国政府機関又はこれに代わる機関の許可書等の写し等、必要最小限にとどめること。
イ 積載式移動タンク貯蔵所としての設置許可を受けた後
     保有しようとする交換タンクコンテナが、IMDGコードに適合するものであり、かつ、車両及び交換タンクコンテナの緊結装置に適合性がある場合は、交換タンクコンテナの追加を、軽微な変更工事として取り扱って差し支えないこと。従って、変更許可及び完成検査は要しないものであること。
     なお、交換タンクコンテナのIMDGコードへの適合性、車両及び交換タンクコンテナの緊結装置の適合性及び貯蔵する危険物を資料(注)の提出(郵送、ファックス等)により確認すること。この場合、不明な点があれば、事業者等に確認すること。
    注:タンクコンテナに係る海上輸送に責任のある各国政府機関又はこれに代わる機関の許可書の写し、車両及び交換タンクコンテナの緊結装置に係る規格(JIS、ISO等)等が確認できる書類及び貯蔵する危険物を明示した書類をいう。 
   
3 完成検査
(1)完成検査に係る手続
  ア 手続の迅速化
    (ア) 完成検査申請は、タンクコンテナの入港前に、設置許可申請と同時に受け付けて差し支えないこと。また、完成検査の実施日はあらかじめ関係者と調整し、タンクコンテナが入港後速やかに行われるようにすること。
    (イ) 完成検査済証の交付は、「完成検査済証等の交付手続の迅速化について」(平成10年5月20日付け消防危第54号消防庁危険物規制課長通知)を参考に、迅速に行うこと。
(2)完成検査の方法
ア 完成検査は、タンクコンテナを車両に積載した状態で行うこと。この場合、タンクコンテナについては、IMO表示板の確認及びタンクコンテナに漏れ、変形がなく健全な状態であることの確認にとどめることができること。車両については、標識、掲示板、緊結装置の確認を行うこと。
イ 同時に複数の交換タンクコンテナに係る完成検査を行う場合は、緊結装置に同一性がある場合は、代表する一つのタンクコンテナを積載した状態で行って差し支えないこと。
ウ タンクコンテナの輸入時に行う完成検査は、危険物を貯蔵した状態で行って差し支えないものであること。
 
4 その他
(1)移動タンク貯蔵所として許可を受けた国際輸送用積載式移動タンク貯蔵所のタンクコンテナは、その緊結装置が他の積載式移動タンク貯蔵所の車両の緊結装置に適合性を有する場合には、当該車両にも積載することができること。この場合において、当該タンクコンテナは、当該他の積載式移動タンク貯蔵所の移動貯蔵タンクとみなされるものであること。
(2)国際輸送用積載式移動タンク貯蔵所のタンクコンテナには、危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第15条第1項第17号に定める危険物の類、品名及び最大数量を表示する設備及び危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第24条の8第8号に定める表示がタンクコンテナごとに必要であるが、当該設備又は表示は、当該タンクコンテナを積載する国際輸送用積載式移動タンク貯蔵所の車両に掲げることができること。
(3)国際輸送用積載式移動タンク貯蔵所のタンクコンテナの車両、貨車又は船舶への荷積み又は荷卸しに伴う当該タンクコンテナの取扱いは、当該積載式移動タンク貯蔵所の危険物の貯蔵に伴う取扱いと解されること。
(4)国際輸送用積載式移動タンク貯蔵所の車両からタンクコンテナを荷卸しした後において再びタンクコンテナを積載するまでの間、当該車両を通常の貨物自動車としての用途に供する場合は、当該積載式移動タンク貯蔵所について消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第12条の6に定める用途廃止の届出を要することなく、当該車両を貨物自動車の用途に供することができるものであること。
(5)国際輸送用積載式移動タンク貯蔵所のタンクコンテナを車両、貨物、船舶等を利用して輸送し、輸送先で他の車両に積み替える場合に、輸送先の市町村において許可を受けた積載式移動タンク貯蔵所がない場合は、当該タンクコンテナと他の車両とで一の国際輸送用積載式移動タンク貯蔵所として設置許可を受けることができるものとし、完成検査については、タンクコンテナを車両に固定した状態での外観検査により行うもので差し支えないものであること。
(6)積載式移動タンク貯蔵所としての許可を受けた後、国際輸送用積載式移動タンク貯蔵所において貯蔵する危険物の品名及び最大貯蔵数量を変更しようとする場合は、法第11条の4に定める届出を要すること。