通知・通達

消防危第95号 顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所における静電気対策について(通知)

消防危第95号
平成13年8月13日
 
 各都道府県消防主管部長 殿
 
消防庁危険物保安室長       
 
顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所における静電気対策について(通知)
 
 平成13年4月に顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所(セルフスタンド)において、火災が2件(別添1)発生しました。いずれの火災も、給油する前に自動車の給油口のキャップを緩めた際、噴出したガソリン蒸気に引火したものです。自動車周辺での火気の使用等が見られないため、火災の原因は静電気による引火の可能性が高いと見られています。
 セルフスタンドについては、危険物の規制に関する規則第28条の2の5第5号ロの規定に基づき、顧客用固定給油設備及び顧客用固定注油設備の給油ホース等の直近その他の見やすい箇所に、その使用方法を表示することとされています。また、これに関連して、「顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所に係る運用について(平成10年3月13日付け消防危第25号。以下「25号通知」という。)」においては、給油開始から終了までの一連の機器の操作方法と併せて、「火気厳禁」、「給油中エンジン停止」、「ガソリンの容器への注入禁止」等保安上必要な事項を併せて記載することとされています。
 今般、セルフスタンドで静電気によるものと思われる火災が発生したことから、セルフスタンドを利用する顧客に対して、一層の安全確保を図るため、下記のとおり25号通知を改正し、静電気対策に係る事項を加えましたので通知します。また、石油連盟及び日本ガソリン計量機工業会においては、別紙1のセルフスタンドにおける事故の未然防止のための注意書きの文案を作成しており、これをセルフスタンドに掲示することとしています。
 貴職におかれては、貴管内の市町村に対してもこの旨周知され、よろしく御配慮願います。
 なお、別添2のとおり、社団法人日本自動車工業会に自動車の給油口付近において静電気に起因して発生するおそれのある火災の防止策について依頼しています。
 

 
 本文第2.5(2)を次のように改正する。




 

 使用方法の表示は、給油開始から終了までの一連の機器の操作を示すとともに、「火気厳禁」、「給油中エンジン停止」、「ガソリンの容器への注入禁止」等保安上必要な事項を併せて記載すること。なお、懸垂式の固定給油設備等にあっては、近傍の壁面等に記載すること。




 

 使用方法の表示は、給油開始から終了までの一連の機器の操作を示すとともに、「火気厳禁」、「給油中エンジン停止」、「ガソリンの容器への注入禁止」、「静電気除去」等の保安上必要な事項を併せて記載すること。なお、懸垂式の固定給油設備等にあっては、近傍の壁面等に記載すること。
 


別紙1
 
セルフスタンド用注意書き文案
 

事故の未然防止のために

 ○給油前に必ず自動車のドア・窓をお閉めください。

 ○静電気除去のため、作業前には必ず自動車の金属部分に触れてください。

 ○給油作業は必ず お一人で行ってください。

 ○給油口付近に お子様が近づかないように注意してください。

 ○その他、ガソリンスタンド内に掲示されている注意事項を守ってください。
 


別添1
セルフスタンドにおける火災事故の概要

   発生場所

兵庫県神戸市

新潟県長岡市

   発災日時

平成13年4月15日9時22分

平成13年4月30日16時15分

   相対湿度

49%

50%


   焼損程度
 

車両の給油口一部焼損

 

車両の給油口付近焼損

操作者:右前腕、唇?沒x熱傷









 

車      種

マツダデミオ

三菱シャリオグランディス

年   式   等

平成10年

平成10年

排   気   量

1,500cc

2,350cc

走  行  距 離

20,715キロメートル

約42,000キロメートル

タンク内燃料残量

ほぼ空(メーターはEに近い)

ほぼ空(メーターはEに近い)







 運転手等の行動








 

?@所定の位置に車を止めた。
?Aエンジンを切った。
?B給油口カバーを開けた(運 転席のスイッチ)。
?C助手席の人が車を降りた(ド アは閉めていない)。
?D助手席の人が給油口カバー を大きく開いた。
?E助手席の人ではキャップが 回らないため、運転手が車 を降りた(ドアは閉めてい ない)。
?F運転手がキャップを途中ま で回したところで出火。

 

?@所定の位置に車を止めた。
?Aエンジンを切った。
?B給油口カバーを開けた(運転 席のスイッチ)。
?C運転手が車を降りた(ドアは 閉めている)。
?Dガソリンスタンドの従業員が 給油口カバーを大きく開いた。
?E運転手がキャップを4分の1 ほど回したところで出火。





 


別添2
消防危第94号
平成13年8月13日
 
 社団法人日本自動車工業会
 副 会 長
 専務理事 鈴木 孝男 殿
 
 
消防庁危険物保安室長       
 
 
自動車給油口における静電気防止対策について(依頼)
 
 平成13年4月に顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所(セルフスタンド)において、火災が2件(別添1)発生しました。いずれの火災も、給油する前に自動車の給油口のキャップを緩めた際、噴出したガソリン蒸気に引火したものです。自動車周辺での火気の使用等が見られないため、火災の原因は静電気による引火の可能性が高いと見られています。
 消防庁では、最近、セルフスタンドの数が急激に増加していることにかんがみ、この種の事故を未然に防止するために、セルフスタンドを利用する顧客に対して、静電気対策について注意喚起を行うこととしていますが、同時に、自動車の給油口付近において静電気に起因して発生するおそれのある火災の防止策について、構造上の対策を実施していただくことがより有効であると考えています。
 つきましては、貴工業会の会員において、自動車の給油口付近の静電気対策を徹底していただくようお願いいたします。