通知・通達

消防危第112号 危険物の規制に関する政令の一部を改正する政令等の施行について

消防危第112号
平成13年10月11日
 
 
 各 都 道 府 県 知 事  殿
 
 
消 防 庁 長 官
 
 
危険物の規制に関する政令の一部を改正する政令等の施行について
 
 
 消防法の一部を改正する法律(平成13年法律第98号。以下「改正法」という。)の施行期日を定める政令(平成13年政令第299号)が平成13年9月14日に公布され、改正法のうち危険物の品名の追加に関する事項が平成13年12月1日、引火性液体の性状を有する危険物の引火点の範囲の上限を定めることに関する事項が平成14年6月1日から、それぞれ施行されることとなりました。また、これに伴い、危険物の規制に関する政令の一部を改正する政令(平成13年政令第300号。以下「改正令」という。)が平成13年9月14日をもって、危険物の規制に関する規則等の一部を改正する省令(平成13年総務省令第136号。以下「改正省令」という。)が平成13年10月11日をもって、それぞれ公布され、改正法にあわせて施行されることとなりました。
 今回の改正は、ヒドロキシルアミン若しくはヒドロキシルアミン塩類又はこれらのいずれかを含有する物品(以下「ヒドロキシルアミン等」という。)に係る製造所等の位置、構造及び設備の技術上の基準の特例に関する事項、指定可燃物の範囲に関する事項、高引火点危険物の範囲に関する事項、専用タンクの容量制限に関する事項、放射線透過試験に関する事項及び動植物油類の品名から除外されるものの規定に関する事項等をその内容とするものです。
 貴職におかれては、下記事項に留意の上、その運用に十分配慮されるとともに、貴都道府県内市町村に対してもこの旨周知されるようお願いします。
 なお、本通知中においては、改正後の法令名について、次のとおり略称を用いております。
 消防法(昭和23年法律第186号)…… 法
 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)…… 令
 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)…… 規則
 
 
第1 ヒドロキシルアミン等に係る製造所等の位置、構造及び設備の技術上の基準の特例に関する事項
改正法により危険物の品名に追加されたヒドロキシルアミン等の特性を踏まえ、ヒドロキシルアミン等を貯蔵し、又は取り扱う製造所等の位置、構造及び設備の技術上の基準について、以下のとおり、一般の基準を超える特例が定められたこと(規則第13条の7、第13条の10、第16条の5、第16条の7、第22条の2の5、第22条の10、第24条の2の6、第24条の2の8、第24条の9の2、第28条の54第4号及び第28条の66)。
(1) 温度の上昇による危険な反応を防止するための措置を講ずること。
    危険な反応を防止するための措置としては、例えば、温度制御装置の設置又は緊急冷却装置の設置が必要である。
(2) 鉄イオン等の混入による危険な反応を防止するための措置を講ずること。
    鉄イオン等には、鉄、銅などの金属のイオンが含まれる。
    危険な反応を防止するための措置としては、例えば、ゴム、ガラス等による内面コーティング、繊維強化プラスチック等の非金属材料の使用又はステンレス鋼等の鉄イオン等が溶出しにくい金属材料の使用による鉄イオン等溶出防止措置にあわせて、鉄イオン等の濃度を定期的に測定する装置の設置が必要である。
(3) 製造所及び一般取扱所について、(2)に加え、ヒドロキシルアミン等の濃度の上昇による危険な反応を防止するための措置を講ずること。
    危険な反応を防止するための措置としては、例えば、ヒドロキシルアミン等の濃度を定期的に測定する装置の設置又はヒドロキシルアミン等の濃度が一定以上の濃度となった場合に緊急に希釈する装置の設置が必要である。
(4) 第一種自己反応性物質の性状を有するヒドロキシルアミン等を取り扱う製造所又は一般取扱所について、必要な保安距離を保つこと。また、施設の周囲に土盛り又は塀を設けること。
 
第2 指定可燃物の範囲に関する事項
  引火性液体の性状を有する物品で引火点250度以上のもの(改正法により危険物から除外されたもの)が、指定可燃物に追加されたこと(令別表第4備考第7号)。
 
第3 高引火点危険物の範囲に関する事項
  「規制改革推進3か年計画」(平成13年3月30日閣議決定)を踏まえ、高引火点危険物の引火点の下限が100度とされこと(令第9条第2項、規則第13条の6第1項)。
また、高引火点危険物施設の特例について、以下のとおり、特例が追加されたこと。
(1) 建築物の窓及び出入口(延焼のおそれのある外壁に設けるものを除く。)に、不燃材料又はガラス(網入ガラス以外のガラスを含む。)で造られた戸を設けることができるとされたこと(規則第13条の6第3項、第16条の2の4第2項、第16条の2の5第2項、第22条の2第3項第4号、第28条の61第3項及び第28条の62第3項)。
(2) 屋外にある液体危険物タンクの防油堤(20号防油堤)について、高さの制限に係る規定は適用しないとされたこと(規則第13条の6第3項、第28条の61第3項及び第28条の62第3項)。
(3) 屋外貯蔵タンクの支柱について、不燃材料造で足りるとされたこと(規則第22条の2第3項)。
 
第4 専用タンクの容量制限に関する事項
 「規制緩和推進3か年計画(再改定)」(平成12年3月31日閣議決定)を踏まえ、給油取扱所に設置される専用タンクについて、容量制限が撤廃されたこと(令第17条第1項第5号)。
 
第5 放射線透過試験に関する事項
日本工業規格の改正に伴い、放射線透過試験において、欠陥に算定しないブローホール等の長径を場合分けする際の境界となる母材の厚さが20mmとされたこと(規則第20条の7第2項第3号)。
 
第6 動植物油類の品名から除外されるものの規定に関する事項
1 規制の合理化を図るため、危険物の規制に関する政令の一部を改正する政令(平成11年政令第3号)の施行に伴い準特定屋外貯蔵タンクとして規制されることとなったものについて、貯蔵保管されている物品が動植物油類から除かれるための貯蔵保管の要件が緩和されたこと(規則第1条の3第7項第1号)。
2 規制の合理化を図るため、容器に貯蔵保管されている物品が動植物油類から除かれるための貯蔵保管の要件が緩和されたこと(規則第1条の3第7項第2号及び危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令(平成元年自治省令第5号)附則第3条の2)。
 
第7 施行期日等
1 施行期日
  改正令及び改正省令は、平成13年12月1日から施行するとされたこと。ただし、指定可燃物の範囲に関する事項、高引火点危険物の範囲に関する事項及び動植物油類の品名から除外されるものの規定に関する事項の改正規定は、平成14年6月1日から施行するとされたこと(改正令附則第1条及び改正省令附則第1条)。
2 経過措置等
(1) ヒドロキシルアミン等に係る製造所等の位置、構造及び設備の技術上の基準に関する経過措置
     新規対象の製造所等(ヒドロキシルアミン等が危険物の品名に追加されたことに伴い、新たに許可を受けなければならないこととなる既存の施設をいう。以下同じ。)及び既設の製造所等(既に許可を受けて設置されている製造所等のうち、ヒドロキシルアミン等が危険物の品名に追加されたことに伴い、適用される位置、構造及び設備に係る技術上の基準に変更があるものをいう。以下同じ。)について、一定の位置、構造及び設備の技術上の基準に関する経過措置が講じられたこと(改正令附則第2条第1項から第3項まで及び第7項、第3条から第7条、第8条第1項並びに第9条第1項並びに改正省令附則第2条(新規対象の製造所等)、改正令附則第2条第4項から第6項まで並びに第8項及び第9項、第8条第2項並びに第9条第2項及び第3項(既設の製造所等))。
     なお、経過措置の適用に際して、以下の点に留意すること。
    ア 新規対象の製造所等
    (ア) 平成14年5月31日までに設置の許可を受けることを要すること(改正法附則第3条)。
    (イ) 原則として、次に掲げる基準に適合している必要があること。
      a 屋内のものにあっては室内が不燃材料で覆われ、開口部には防火設備が設けられていること、屋外のものにあっては周囲に1m以上の幅の空地を保有する等延焼の防止上有効な措置を講じたものであること、危険物を取り扱う配管にあっては十分な強度を有し、かつ、漏れない構造であること、
      タンクにあっては鋼板その他の金属板で造られ(地下にあるタンクにあっては鋼板その他の金属板又は強化プラスチックで造られていること。)、かつ、漏れない構造であること等、製造所等の区分ごとに定められた基準に適合していること。
      b 平成13年12月1日における指定数量の倍数を超えないこと。
    (ウ) 保安距離の基準、移動タンク貯蔵所に係る基準、消火設備の基準及び屋外貯蔵タンクの周囲に設ける防油堤に係る基準について、経過措置を講じる期間が定められていること。
    イ 既設の製造所等
    (ア) 平成14年5月31日までに変更の許可を受けることを要し、かつ、許可を受けるまでは技術上の基準に不適合の状態が猶予されること(改正法附則第3条及び第4条)。
    (イ) 原則として、次に掲げる基準に適合している必要があること。
      a 危険物を取り扱う配管にあっては十分な強度を有し、かつ、漏れない構造であること、タンクにあっては鋼板その他の金属板で造られ(地下にあるタンクにあっては鋼板その他の金属板又は強化プラスチックで造られていること。)、かつ、漏れない構造であること。
      b 平成13年12月1日における指定数量の倍数を超えないこと。
    (ウ) 消火設備の基準について、経過措置を講じる期間が定められていること。
    (エ) ヒドロキシルアミン等が危険物の品名に追加されたことに伴い、新たに製造所に該当することとなる既存の一般取扱所について、製造所として許可を受けたものとみなされること。
(2) 消防法施行令に関する経過措置
    ア 引火点250度以上のものが危険物の品名から除外されたことに伴い、製造所等としての許可を受けることを要しないこととなる既存の防火対象物等について、消火器等に係る技術上の基準に関する経過措置が講じられたこと(改正令附則第10条第1項)。
    イ ヒドロキシルアミン等が危険物の品名に追加されたことに伴い、新たに少量危険物を貯蔵し、又は取り扱うこととなる既存の防火対象物等について、消火器及び簡易消火用具に係る技術上の基準に関する経過措置が講じられたこと(改正令附則第10条第2項)。
(3) 運搬容器の表示に関する経過措置
    ヒドロキシルアミン等が危険物の品名に追加されたことに伴い、ヒドロキシルアミン等を運搬する既存の容器について、外部に行う表示に関する経過措置が講じられたこと(改正省令附則第3条)。
(4) 実務経験に関する経過措置
    新規対象の製造所等について、甲種危険物取扱者又は乙種危険物取扱者(当該製造所等で6月以上従事しているものに限る。)が、製造所等における6月以上の危険物取扱いの実務経験がなくとも、平成14年11月30日までの間は、当該製造所等の危険物保安監督者となることができるとされたこと(改正省令附則第4条)。
(5) 届出の様式等
     引火点250度以上のものが危険物の品名から除外されたこと及びヒドロキシルアミン等が危険物の品名に追加されたことに伴う諸届出(改正法附則第5条及び第6条)の様式等が定められたこと(改正省令附則第5条)。
(6) 罰則に関する経過措置
     改正令及び改正省令の施行前にした行為並びに改正令附則においてなお従前の例によることとされる場合における改正令の施行後にした行為に対する罰則の適用について、なお従前の例によるとされたこと(改正令附則第11条及び改正省令附則第6条)。