消防危第17号 連続板厚測定方法による特定屋外貯蔵タンク底部の板厚測定に関する運用について
消防危第17号
平成14年1月22日 各都道府県消防主管部長 殿 消防庁危険物保安室長
連続板厚測定方法による特定屋外貯蔵タンク底部の板厚測定に関する運用について
特定屋外タンク貯蔵所の内部点検等に係る新技術による検査方法に関する運用については、「特定屋外タンク貯蔵所の内部点検等の検査方法に関する運用について」(平成12年8月24日付け消防危第93号、以下「93号通知」という。)により示しているところですが、このたび、超音波探傷法を用いた連続板厚測定方法について運用の細部を含めて見直しを行った結果、今後、下記により運用することとしましたので、貴都道府県内市町村に対してもこの旨連絡され、危険物行政の適切な運用が行われるようご配意願います。 なお、超音波探傷法を用いた連続板厚測定方法以外の新技術を用いた連続板厚測定方法に関する運用についても、追って通知する予定であるので申し添えます。 本通知中においては、法令名等及び用語について次のとおり略称を用いたので御承知願います。 1 法令名等 危険物の規制に関する政令及び消防法施行令の一部を改正する政令 (昭和52年政令第10号) ---------- 52年改正政令 危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令 (平成6年自治省令第30号) ----------------- 6年改正規則 危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示 (昭和49年自治省告示第99号) ------------- 告示 危険物の規制に関する政令及び消防法施行令の一部を改正する政令等の施行について (昭和52年3月30日付け消防危第56号) --------------- 56号通知 屋外タンク貯蔵所の地震対策について (昭和54年12月25日付け消防危第169号) --------------- 169号通知 2 用語 56号通知又は169号通知に示す測定箇所を測定する方法 ------------------- 定点測定による板厚測定方法 新技術を用いた連続板厚測定装置により、コーティング上からタンク底部の板の厚さを連続的に測定する方法 ------------------- 連続板厚測定方法 超音波探傷法を用いた連続板厚測定方法によるタンク底部の板の厚さ測定において、 その測定結果を連続測定とみなすことのできる測定ピッチ ---------連続測定ピッチ 連続測定ピッチ以下の測定間隔により連続的に行う板厚測定 ------ 精密測定 連続測定ピッチを超え30mmピッチ以下の測定間隔により連続的に行う板厚測定 準精密測定 52年改正政令の施行(昭和52年2月15日)の際、現に法第11条第1項前段の規定による設置に係る許可を受け、又は当該許可の申請がされていた特定屋外タンク貯蔵所で、その構造及び設備が政令第11条第1項第3号の2又は第4号に定める技術上 の基準に適合していなかったもの -------------------- 旧法タンク 旧法タンク以外の特定屋外タンク貯蔵所 -------------------- 新法タンク 記
1 超音波探傷法を用いた連続板厚測定方法について新技術による検査方法のうち、超音波探傷法を用いた連続板厚測定方法による特定屋 外貯蔵タンク底部の板厚測定は、次によるものとする。 (1) 精密測定による連続板厚測定方法 精密測定による連続板厚測定方法にあっては、連続板厚測定装置を用いて、当該連続板厚測定装置の連続測定ピッチ以下の測定間隔で、別図1に示す「タンク底部板厚の精密測定による連続板厚測定方法」により、タンク底部の連続板厚測定を行うこと。
この場合において、旧法タンクにあっては設計板厚に対して、また、新法タンクにあっては告示第4条の17に規定する最小厚さ(以下「最小厚さ」という。)に対して、それぞれ90%以下である測定値が得られた箇所については、当該箇所を中心に半径300mmの範囲における測定板厚の平均値を求めること。 (2) 準精密測定による連続板厚測定方法 準精密測定による連続板厚測定方法にあっては、連続板厚装置を用いて、30mmピッチ以下の測定間隔で、別図2に示す「タンク底部板厚の準精密測定による連続板厚測定方法」により、タンク底部の連続板厚測定を行うこと。
この場合において、旧法タンクにあっては設計板厚に対して、また、新法タンクにあっては最小厚さに対して、それぞれ90%以下である測定値が得られた箇所については、当該箇所を中心に半径300mmの範囲を(1)の精密測定による連続板厚測定方法で測定すること。 (3) 連続板厚測定方法により測定ができない部分の板厚測定方法 加熱コイル、タンク支柱又はルーフサポート等が設けられていることなどにより、(1)及び(2)に示す連続板厚測定方法では測定ができない部分にあっては、定点測定による板厚測定方法によって板厚測定を行うこと。
超音波探傷法を用いた連続板厚測定方法によりコーティング上からのタンク底部の板厚を測定した場合の測定結果については、93号通知第1、3に示す標準的な評価基準により評価するものとする。
3 超音波探傷法を用いた連続板厚測定方法を用いる場合の留意事項 特定屋外タンク貯蔵所の所有者、管理者又は占有者が、当該タンクの内部点検を超音波探傷法を用いた連続板厚測定方法により行う場合には、当分の間、連続板厚測定装置の性能、測定要領及び測定者の技能等について、次によりあらかじめ確認されたいこと。
(1) 連続板厚測定装置の性能 超音波探傷法を用いた連続板厚測定装置の性能は、別添1「超音波探傷法を用いた連続板厚測定装置に関する性能確認要領」により確認すること。
(2) 連続板厚測定要領 超音波探傷法を用いた連続板厚測定要領は、別添2「超音波探傷法を用いた連続板厚測定装置によるタンク底部の板厚測定要領書に記載すべき事項」に従い作成されたものであることを確認すること。
(3) 測定者の技能等 超音波探傷法を用いた連続板厚測定装置を使用して測定作業を行う者が有する技能等は、次のすべての事項を確認することにより判断できるものであること。
ア 社団法人日本非破壊検査協会が認定する超音波検査2種技術者又はこれと同等以上の技能を有すること。
イ 超音波探傷法を用いた連続板厚測定装置の取り扱いに必要な知識及び技能を有していること。 ウ 特定屋外貯蔵タンクのコーティングに関する知識のほか、タンクの構造、底部の腐食形態及び変形等に関する知識を有していること。 4 定点測定による板厚測定に超音波探傷法を用いた連続板厚測定装置を活用する場合に ついて 定点測定による板厚測定方法によりタンク底部の板厚測定を行う場合において、測定板厚が設計板厚又は最小厚さの90%以下である箇所の周囲について詳細測定を行う場合など、超音波探傷法を用いた連続板厚測定装置を活用し、部分的に連続板厚測定方法による板厚測定を実施しても差し支えないものであること。
5 既発通知の一部改正について 新技術による検査方法を用いたタンク底部の検査方法については、93号通知により、検査に使用し得る装置、標準的な検査要領及び検査結果の評価等について総括的に示したところであるが、超音波探傷法を用いた連続板厚測定方法の見直しに伴い、93号通知第1、3を次のように改める。
3 測定結果の評価 連続板厚測定方法によりコーティング上からのタンク底部の板厚を測定した場合の測定結果についての標準的な評価は、次のとおりとすること。
(1) 旧法タンクの場合 旧法タンクの底部板厚の測定結果については、連続板厚測定方法による測定板厚の最小値が3.2mm以上(新基準に適合する旧法タンクにあっては、併せて6年改正規則附則第7条第2項第2号の保有水平耐力の規定を満たす厚さ以上)であることが必要であること。
なお、応力の集中するアニュラ部にあっては、測定板厚が設計板厚の90%以下である箇所を中心に半径300mmの範囲における測定板厚平均値が設計板厚の80%以下となっている場合又は当該箇所の測定板厚最小値が過去の腐食率から次期開放時までに板厚が4.5mm未満になると認められる場合には、当該部分の補修を行うことが望ましいものであること。 (2) 新法タンクの場合 新法タンクの底部板厚の測定結果については、連続板厚測定方法による測定板厚の最小値が最小厚さ以上(規則第20条の4第2項第1号の2の保有水平耐力の規定が適用されるものにあっては、併せて保有水平耐力の規定を満たす厚さ以上)であることが必要であること。
ただし、最小厚さを満たしていない場合であっても、次の条件のすべてに適合する場合には、火災予防上支障がないと認め、政令第23条の規定を適用して、アニュラ板又は底板の補修を行わなくても差し支えないものであること。
ア 最小厚さからの板厚の減少が、3.0mmを超えていないこと。 93号通知第2に示す新技術による検査方法を用いたタンク底部の溶接部の試験に係る運用の細部については、実用機としての底部溶接部探傷装置が製作された段階で、別途通知するものであること。
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