通知・通達

消防救第160号 メディカルコントロール体制の整備促進について(通知)



消 防 救 第 160号
平成14年7月23日


都道府県消防主管部長 殿



消防庁救急救助課長      




メディカルコントロール体制の整備促進について(通知)


 標記については、本日付けで「メディカルコントロール協議会の設置促進について」(消防救第159号・医政発第0723009号消防庁次長・厚生労働省医政局長連名通知)を発出し、本年度中に各都道府県及び各地域におけるメディカルコントロール協議会の設置を完了すること等について格段の御配慮をお願いしたところです。また、このことについては、円滑な救急業務を遂行する上で極めて重要な事項であることから、これまでも「救急業務の高度化の推進について」(平成13年7月4日付け消防救第204号救急救助課長通知)等により、積極的に推進してきたところであります。
 つきましては、特に下記事項に留意して、メディカルコントロール体制の早期構築を積極的に進め、救急隊員の資質の向上を図り、地域における救命効果を一層高めるよう格段の配慮をお願いします。また、貴都道府県内市町村(消防の事務を処理する組合を含む。)に対して、この旨周知されるようお願いします。
 なお、本件については、厚生労働省とも協議済みでありますので、貴都道府県衛生主管部局、地域の医師会等とも十分協議され、救急業務の更なる高度化に努められるようお願いします。





 都道府県単位の協議会及びメディカルコントロール協議会の早期設置
 各地域におけるメディカルコントロール体制の構築を進めるため、その体制構築のための協議の場として調整機能を担う都道府県単位の協議会の設置及び実質的な調整を行う救命救急センター等中核的な救急医療機関を中心としたブロックごとのメディカルコントロール協議会の設置を早急に行うこと。
 メディカルコントロール協議会の担当範囲については、必ずしも2次医療圏とする必要はなく、救命救急センターの設置状況等を勘案し、複数の2次医療圏を単位として弾力的に決定すること。
 救急医療機関が偏在するなどの場合は、地域の実情に応じて都道府県単位の協議会がメディカルコントロール協議会を兼ねることも差し支えないこと。

 常時指示体制の整備
 救急救命士法施行規則第21条に定める特定行為を実施するにあたっては、医師の具体的な指示を受けることとされており、常時指示体制の整備は救急救命士を運用する際に必要不可欠なものである。未だ常時指示体制が不十分な消防本部については、救命救急センター等と連携を図り、早急な体制整備を図ること。

 事後検証体制の充実
 救急救命士の処置範囲の拡大にあたっては、とくに医学的観点からの事後検証を行い、救急救命士が実施した救急救命処置の質を保障する必要性が強く指摘されている。
 ついては、消防本部における事後検証だけでなく、医師による医学的観点からの事後検証を実施する体制を早急に整備すること。具体的には、救急活動記録票等を メディカルコントロールを担当する救急医療機関の医師に定期的に送付し、医学的観点からの事後検証を受ける体制を整えること。その際、客観的な事後検証が可能となるよう、救急活動記録票等の内容についても充実を図ること。さらに、各消防本部においては、継続的な事後検証の実施が担保されるよう、必要な予算措置を講じるとともに、救急医療機関との間で契約を締結する等に努めること。
 なお、事後検証のマニュアル、標準的な救急活動記録票等については現在、検討中であることを申し添える。

 再教育体制の充実
 救急救命士が行う高度な救急救命処置の質の更なる向上を図るため、病院実習及び症例研究等の再教育体制の充実を図ること。とくに病院実習については、継続的 な実施が担保されるよう、必要な予算措置を講じるとともに、各消防本部において救急医療機関との間で契約を締結する等に努めること。
 また、症例研究、シンポジウム等への積極的な参画について十分配慮すること。
 なお、再教育としての病院実習ガイドラインについても現在、検討中であることを申し添える。

 
その他
(1)  処置範囲拡大の今後の検討状況については、随時情報提供を行うこととしているので、その動きを注視すること。
(2)  都道府県単位の協議会やメディカルコントロール協議会等の進捗状況について、「救急業務の高度化の推進に係る実施計画の作成及び報告について」(平成13年7月19日付け消防救第218号救急救助課長通知)に基づき、消防庁に報告を行うこと。
(3)  救急救命士の養成、有資格者の活用及び高規格救急自動車の整備促進に努めること。特に、救急救命士有資格者がいるにもかかわらず、運用していない団体にあっては、早急に運用に向けた取組を進めること。