通知・通達

消防危第503号 危険物施設における立入検査及び違反是正の推進について

 消防危第503号
平成14年10月23日


各都道府県消防主管部長 殿


消防庁危険物保安室長    
     




危険物施設における立入検査及び違反是正の推進について




 近年、危険物施設の事故件数が増加傾向にあること等から、消防庁では危険物施設の事故防止対策を推進しており、その一環として効果的、重点的な立入検査及び違反処理のあり方について検討を行ってきました。
 また、本年4月26日に公布された「消防法の一部を改正する法律」(平成14年法律第30号)では、措置命令等を発した場合の公示の義務付け、行政代執行に係る規定の整備など、危険物施設の違反処理に関する規定の整備充実が図られました。
 このような状況を踏まえ、危険物施設の立入検査及び違反処理を効果的に行い、事故の未然防止を図ることを目的として「危険物施設立入検査マニュアル」及び「危険物施設違反処理マニュアル」等を作成しました。  
 ついては、下記の事項に留意のうえ、危険物施設の立入検査、違反是正、保安確保等に活用されるとともに、貴都道府県内の市町村に対してもこの旨周知されるようお願いします。






 趣旨等
(1) 趣旨
 「危険物施設立入検査マニュアル」及び「危険物施設違反処理マニュアル」は、消防機関における執務上の参考に供するため、標準的な立入検査及び違反処理の方法等をとりまとめたものであり、これらを活用した効果的で重点的な立入検査及び違反処理の実施により、事故の未然防止を図ることを目的とするものであること。
 消防機関における円滑かつ的確な業務の支援を図るため、危険物施設における事故の発生状況、違反処理の状況等に基づき、立入検査・違反是正のポイント、措置命令等に関する参考資料を上記マニュアルと併せてとりまとめたこと。
 本マニュアル等の活用に当たっては、法令遵守や事故防止に関する自主的取組みの推進が図られるよう事業者への保安情報の提供、立入検査・違反是正の際の指導・助言等に留意されたいこと。
(2) 適用範囲
 本マニュアル等は、基本的に危険物施設を適用範囲とするものであり、消防法(以下「法」という。)第3章の規定に基づく立入検査・違反処理を対象としていること。
 したがって、危険物施設以外の防火対象物に関する立入検査・違反処理については、「『立入検査マニュアル』及び『違反処理マニュアル』の送付について」(平成14年8月30日消防安第39号。以下「防火対象物マニュアル」という。)によること。
 法第9条の2に規定する圧縮アセチレンガス等の貯蔵等の届出、法第9条の3に規定する指定数量未満の危険物(以下「少量危険物」という。)・指定可燃物の貯蔵又は取扱いについては、法第3章に包含される事項ではないため、その立入検査・違反処理は基本的に防火対象物マニュアルによるものであるが、「立入検査時のチェックポイント」及び「違反処理基準」に関しては、危険物施設との類似性を勘案し、本通知において示していること(2(4)参照)。
 マニュアル等の構成・内容
(1)  危険物施設立入検査マニュアル(別添1
 立入検査の的確かつ円滑な実施に資することを目的とするものであり、「検査手順」、「実施事項」及び「解説等」で構成されている。「検査手順」をフローチャートにより示し、その具体的な「実施事項」を検査手順に沿って整理し、立入検査に当たっての留意点や法令の解釈等について「解説等」において記述している。
(2)  危険物施設違反処理マニュアル(別添2
 「違反処理要領」と「違反処理基準」により構成されている。「違反処理要領」は、違反処理の迅速かつ的確な実施に資することを目的とするものであり、「処理手順」、「処理事項」及び「解説等」で構成されている(危険物施設立入検査マニュアルと同様)。「違反処理基準」は、違反処理の厳正、公平な実施に資することを目的とするものであり、警告、命令、許可の取消しへの移行の判断等を具体的事例を挙げて示している。
(3)  事故要因分析を踏まえた立入検査・違反是正のポイント(別添3
 最近の危険物施設の事故統計において火災の発生件数・発生率が大きく、一件当たりの被害も大きい一般取扱所を火災事故防止の推進に関する当面の最重点対象施設として捉え、事故要因分析に基づく立入検査・違反是正におけるポイントを整理したものである。
(4)  その他(CD-ROM配布分)
 危険物施設
(ア)   立入検査時のチェックポイント
 危険物施設の区分に応じて、立入検査時における着眼項目、チェック方法等を記載したものである。
(イ)  製造所等に対する使用停止命令等の状況一覧
 毎年度実施している危険物規制事務調査に基づき、製造所等に対する使用停止命令及び許可の取消しに関するデータ(平成7年度から平成13年度)を集計したものである。
(ウ)  製造所等の緊急使用停止命令の状況一覧
 毎年度実施している危険物規制事務調査に基づき、製造所等に対する緊急使用停止命令に関するデータ(平成7年度から平成13年度)を集計したものである。
(エ)  告発概要一覧
 平成13年度に実施した消防法違反に関する告発概要調査結果に基づき、過去に消防機関が行った危険物に係る告発事案を集計したものである。
 少量危険物、指定可燃物
(ア)  立入検査時のチェックポイント
 少量危険物・指定可燃物に係る立入検査時における着眼項目、チェック方法等を記載したものである。
(イ)  違反処理基準
 少量危険物・指定可燃物に係る違反処理を実施するための処理基準等を示したものである。
 その他
(1)  法第12条の3第1項の規定に基づく緊急使用停止命令について解除要件を示したこと(危険物施設違反処理マニュアル 第1 6(9))。
(2)  事故要因分析を踏まえた立入検査・違反処理のポイントについては、火災事故防止の推進に関する当面の最重点対象施設として捉えられる一般取扱所に関して本通知別添3に示しているが、漏えい事故も含め他の危険物施設についても継続的に分析・整理を行い、適宜情報提供していく予定であること。
(3)  「危険物施設立入検査マニュアルについて」(平成3年5月23日付け消防危第43号)及び「危険物施設立入検査マニュアル(移送取扱所等)について」(平成4年2月5日付け消防危第9号)は廃止すること。