通知・通達

消防危第4号 移動タンク貯蔵所等に対する立入検査結果について

 消防危第4号
平成15年1月15日



 各都道府県消防主管部長 殿

消防庁危険物保安室長
移動タンク貯蔵所等に対する立入検査結果について




 平成14年11月中に実施をお願いした移動タンク貯蔵所等に対する立入検査の実施結果を別添1及び別添2のとおりとりまとめたので送付します。
 これによると、移動タンク貯蔵所等の基準不適合車両の割合は、最近の5年間で最も高くなっています。
 移動タンク貯蔵所に対する指導については、従前から「移動タンク貯蔵所に係る消防法の一部改正等に伴う立入検査及び命令の運用について」(昭和61年12月26日付け消防危第120号)により御尽力いただいているところですが、さらに立入検査結果中の不適合項目等を踏まえた別記の留意事項に重点をおいて、なお一層の指導の徹底をお願いします。
 なお、この結果等については、別添3のとおり(社)全日本トラック協会、(社)タンクトラック協会及び日本貨物運送協同組合連合会にも通知し、注意を喚起しているので参考のため添付します。
 なお、貴都道府県内の市町村に対してもこの旨連絡されるようお願いします。


別記

1 移動タンク貯蔵所を所有、管理する関係者に対する留意事項
(1)  移動タンク貯蔵所の設備、維持管理に関する事項
 移動タンク貯蔵所の定期点検を実施し、その結果を車両に備え付けておくこと。
 特に水圧試験を5年以内の期間ごとに1回以上実施すること。
 電気設備、接地導線の不良箇所(断線等)がないように維持管理に努めること。
 貯蔵する危険物に係る表示及び標識を適正に掲げるとともに維持管理に努めること。
 必要な消火設備(消火器は2個以上)を設置するとともに維持管理に努めること。
(2)  貯蔵、取扱い及び移送に関する事項
 乗車する危険物取扱者の危険物取扱者免状の交付年月日又は保安講習を受けた年月日を確認するなどにより、危険物取扱者に計画的に保安講習を受講させること。
 危険物取扱者の乗車及び危険物取扱者免状の携帯を移送前に確認すること。
 移送前の点検及び移送に際しての細心の注意を励行すること等、移送の基準の遵守を徹底すること。
 特にマンホールのふたや底弁の閉め忘れ等に注意すること。
 完成検査済証、点検記録等備付けを要する書類を常時車両に備え付けておくこと。
(3)  その他
 イエローカードの携行を徹底すること。
2 危険物の運搬車両を所有、管理する関係者に対する留意事項
(1)  指定数量以上の危険物を運搬する車両には標識及び消火器を設置するとともに点検等を行い維持管理に努めること。
(2)  運搬前に、法令に定められた積載方法によっているかどうかの確認を徹底すること。
(3)  イエローカードの携行を徹底すること。

別添1 

移動タンク貯蔵所の立入検査結果

1 総括表

 

実施場所 実施
消防
機関数
実施
場所数
移動タンク貯蔵所 危険物運搬車両 警察機関
との
協力状況
実施車両数 不適合車両数 無許可車両数 不適合車両数等 実施
車両数
不適合
車両数
認識状況不良車両数
  うち他行政庁 (a) うち他行政庁 (b) うち他行政庁 (a+b) うち他行政庁
道路上 700 988 3,949 2,427 960 542 12 7 972 549 455 112 6 975
   
13
常置場所 455 5,735 13,201 41 2,485 12 29 1 2,514 13        
危険物の積みおろし場所 88 362 1,306 414 200 75 1 1 201 76 158 24 0  
その他 278 822 9,071 57 1,724 3 16 1 1,740 4 335 18 0  
合計
874
7,907 27,527 2,939 5,369 632 58 10 5,427 642 948 154 6  

(注) (1)  実施場所の区分において、走行中の車両を道路に接した空地等に誘導して立入検査を実施した場合は、「道路上」での実施の区分とした。
   (2)  「不適合車両」とは、移動タンク貯蔵所にあっては、貯蔵、取扱いの技術上の基準、位置、構造、設備の技術上の基準及び移送の基準等に関し、危険物運搬車両にあっては、運搬の基準に関し、1件以上不適合が認められる車両をいう。
    (3)  「無許可車両」とは、無許可貯蔵又は無許可変更に係る車両をいう。
    (4)  移動タンク貯蔵所の不適合車両数又は無許可車両数の「うち他行政庁」の欄は、立入検査において基準不適合を指摘した行政庁以外の行政庁によって許可された車両数でうち数である。
    (5)  ※の「実施消防機関数」の合計欄は、延べ数ではなく実数である。


2 最近5年間の立入検査実施車両数及び基準不適合車両数の推移

  移動タンク貯蔵所 危険物運搬車両 合計
年度 実施車両数 不適合車両数等 不適合率(%) 実施車両数 不適合車両数等 不適合率(%) 実施車両数 不適合車両数等 不適合率(%)
平成10年度 27,306 5,004 18.33 1,344 209 15.55 28,650 5,213 18.20
平成11年度 27,382 5,282 19.29 1,207 203 16.82 28,589 5,485 19.19
平成12年度 28,242 4,981 17.64 1,077 161 14.95 29,319 5,142 17.54
平成13年度 27,841 5,461 19.61 1,070 156 14.58 28,911 5,617 19.43
平成14年度 27,527 5,427 19.72 948 154 16.24 28,475 5,581 19.60

(注)「不適合車両数等」には、無許可車両数を含む。


3 基準不適合車両の項目別内訳

項目 不適合車両数 増減数
14年度 13年度
移動タンク貯蔵所 貯蔵、取扱の基準不適合
(法10条3項)
許可品目以外の貯蔵(令24条1号) 42 40 2
貯蔵、取扱いの不備による漏えい等(令24条8号、令26条1項7号) 62 74 -12
完成検査済証等備付け義務違反(令26条1項9号) 659 765 -106
その他の貯蔵、取扱の基準違反(令24条~27条(上記の各項号を除く)) 233 222 11
小計 996 1,101 -105
設備等の基準維持義務違反
(法12条1項)
常置場所に係る基準不適合(令15条1項1号) 85 106 -21
タンク本体に係る基準不適合
(令15条1項2号、3号、7号、8号)
塗料の剥離発錆 344 306 38
変形、破損 24 30 -6
  漏えい有 1 1 0
その他 61 61 0
附属装置に係る基準不適合
(令15条1項4号(防波板を除く。)、5号、6号)
変形、破損 57 41 16
機能不良 106 96 10
その他 89 104 -15
配管、弁等に係る基準不適合
(令15条1項9~12号)
変形、破損 50 56 -6
  漏えい有 2 3 -1
機能不良 211 177 34
その他 184 210 -26
電気設備、接地導線の不良等(令15条1項13号、14号) 782 834 -52
表示、標識の未掲示等
(令15条1項17号)
未掲示、不足 87 102 -15
その他 523 619 -96
消火器の未設置等
(令20条)
未設置、不足 118 121 -3
その他 807 861 -54
その他の設備等の基準不適合(令15条1項(上記各号を除く)) 571 697 -126
積載式移動タンク貯蔵所の特例基準不適合(令15条2項) 4 1 3
給油タンク車の特例基準不適合(令15条3項) 0 0 0
アルキルアルミニウム等の移動タンク貯蔵所の特例基準不適合(令15条4項) 1 0 1
小計 4,104 4,422 -318
移送の基準不適合
(法16条の2)
危険物取扱者無乗車(法16条の2・1項) 20 32 -12
運転要員不足(令30条の2・2号) 3 3 0
危険物取扱者免状不携帯(法16条の2・3項) 88 94 -6
その他の移送基準に係る不適合(令30条の2・1号及び3~5号) 27 14 13
小計  138 143 -5
定期点検に係る義務違反(法14条の3の2) 1,943 2,087 -144
  水圧試験未実施 842 840 2
危険物取扱者の保安講習義務違反(法13条の23) 752 759 -7
合計 7,933 8,512 -579
危険物運搬車両 運搬容器の技術上の基準不適合(令28条) 8 7 1
運搬の基準不適合
(法16条)
積載方法基準不適合(令29条) 収納、表示不適合(令29条1号、2号) 8 27 -19
  漏えい有 0 0 0
積載不適合(令29条3号、4号、7号) 37 42 -5
被覆不適合(令29条5号) 1 1 0
混載不適合(令29条6号) 1 0 1
   小計 47 70 -23
運搬方法基準不適合
(令30条)
標識
(令30条1項2号)
未掲示、不足 17 18 -1
その他 23 26 -3
消火器
(令30条1項4号)
未設置、不足 33 28 5
その他 56 66 -10
その他 23 12 11
   小計 152 150 2
合計 213 227 -14



別添2

第1 検査結果に基づく不適合項目
 1 違反の多い項目 *1
(1) 移動タンク貯蔵所関係 *2
  定期点検に係る義務違反    ・・・・・・・・・・・
(うち、水圧試験未実施             
1,943件(7.1%) 
842件 (3.1%))     
  消火器の未設置等        ・・・・・・・・・・・
(うち、消火器の未設置、不足          
925件 (3.4%)
118件 (0.4%))
  電気設備、接地導線の不良等  ・・・・・・・・・  782件 (2.8%)
  危険物取扱者の保安講習義務違反・・・・・・・・  752件 (2.7%)
  完成検査済証等の備付け義務違反・・・・・・・・  659件 (2.4%)
  表示、標識の未掲示等     ・・・・・・・・・・・
(うち、表示、標識の未掲示、不足        
610件 (2.2%)
87件 (0.3%))
 (2) 危険物運搬車両関係
  消火器の未設置等        ・・・・・・・・・・・ 
(うち、消火器の未設置、不足          
89件(9.4%)
33件 (3.5%))
  標識の未掲示、不足等      ・・・・・・・・・・ 
(うち、標識の未掲示、不足
40件 (4.2%)
17件(1.8%))
  積載方法不適合         ・・・・・・・・・・・  37件(3.9%)
 2 前1以外の主な違反項目
(1) 移動タンク貯蔵所関係
  タンク本体の塗料の剥離発錆   ・・・・・・・・・  344件(1.3%)
  配管、弁等の変形、破損、機能不良 ・・・・・・・ 261件(0.9%)
  附属装置の変形、破損、機能不良 ・・・・・・・・ 163件(0.6%)
  危険物取扱者免状不携帯     ・・・・・・・・・・  88件(0.3%)
  常置場所に係る基準不適合    ・・・・・・・・・・ 85件(0.3%)
  貯蔵、取扱いの不備による漏えい等  ・・・・・・
(うち、マンホールの蓋不適合         
62件(0.2%)
27件 (0.1%))
(2) 危険物搬送車両関係
  収納、表示不適合     ・・・・・・・・・・・・・・  8件(0.8%)
  運搬容器の技術上の基準不適合 ・・・・・・・・  8件(0.8%)
第2 イエローカードの携行状況 *3
 1 移動タンク貯蔵所           携行率 97.8% (402台/411台)
    2    危険物運搬車両            携行率 83.3% ( 55台/ 66台)
  *1 違反の多い項目は最近の5年間変わっていない。
  *2 立入検査実施車両数に対する割合を示す。
  *3 調査対象は危険物の移送、運搬中の車両であって、ガソリン、灯油、軽油、重油、廃油、動植物油類に係るものを除く。


別添3

消防危第4号
平成15年1月15日

 

(社)全日本トラック協会会長  
(社)タンクトラック協会会長 殿
日本貨物運送協同組合連合会会長  

 

消防庁危険物保安室長

移動タンク貯蔵所等に対する立入検査結果等について    

 

 今般、消防庁において、平成14年11月中に全国の消防機関が一部警察機関の協力の下に実施した移動タンク貯蔵所及び危険物運搬車両の立入検査結果を、別添1及び別添2のとおりとりまとめました。
 これによると、移動タンク貯蔵所等の基準不適合車両の割合は、最近の5年間で最も高くなっています。基準不適合車両に対しては、既に関係消防機関による指導等の必要な措置が行われたところですが、貴団体におかれても違反項目の傾向が例年変わっていない状況等を勘案され、貴団体会員に対し別記の点について周知徹底して下さるようお願いします。

(別添略)