通知・通達

消防予第55号 令別表第一の改正に伴う消防法令の運用について

消防予第55号
平成15年2月21日


各都道府県消防主管部長 殿

         消防庁予防課長



令別表第一の改正に伴う消防法令の運用について



 消防法施行令(昭和36年政令第37号。以下「令」という。)の一部を改正する政令の施行については、「消防法施行令の一部を改正する政令等の施行について」(平成14年8月2日消防予第227号及び消防安第35号)により通知したところですが、令別表第一の運用に際しては、下記事項に留意の上、その適正を期されるようお願いします。
 なお、貴都道府県内の市町村に対してもこの旨周知されるようお願いします。





第1  令別表第一(2)項ハに関する事項
 令別表第一(2)項ハについての基本的な考え方について
 従前、いわゆる風俗店のうち飲食を伴わず、蒸気浴場等にも該当しないような営業形態のいわゆる性風俗施設(性感マッサージ、イメージクラブ等)については、令別表第一(1)項から(14)項までに掲げる用途に該当しないことから、一般の事務所と同じ令別表第一(15)項として取り扱われていた。しかしながら、性風俗施設の多くは個室において客に接触する役務を提供しており、また、店舗内の照明は一般的に薄暗く、加えて利用者が不特定多数の者である等、火災時には逃げ遅れによる人命危険がきわめて高いことから、現行の令別表第一(2)項に掲げる用途として位置付け、特定防火対象物に含めることとしたものである。
 令別表第一(2)項ハ「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号。以下「風営法」という。)第2条第5項に規定する性風俗関連特殊営業を営む店舗」の取扱いについて
(1)  風営法第2条第5項に規定する「性風俗関連特殊営業」とは、次のアからオまでに掲げるもののいずれかに該当するものをいうものであること。
  
 店舗型性風俗特殊営業(風営法第2条第6項に規定するもの)
 無店舗型性風俗特殊営業(風営法第2条第7項に規定するもの)
 映像送信型性風俗特殊営業(風営法第2条第8項に規定するもの)
 店舗型電話異性紹介営業(風営法第2条第9項に規定するもの)
 無店舗型電話異性紹介営業(風営法第2条第10項に規定するもの)
(2)  (1)に掲げるもののうち、令別表第一(2)項ハに規定する「性風俗関連特殊営業を営む店舗」とは、店舗形態を有する性風俗関連特殊営業のことをいい、店舗形態を有しない性風俗関連特殊営業は含まれないものであり、原則的に(1)アに掲げる店舗型性風俗特殊営業及び(1)エに掲げる店舗型電話異性紹介営業がこれに該当するものであること。
(3)  店舗型性風俗関連特殊営業のうち、ソープランド(令別表第一(9)項イ)、ストリップ劇場(令別表第一(1)項イ)、ラブホテル及びモーテル(令別表第一(5)項イ)、アダルトショップ(令別表第一(4)項)等、既に令別表第一(1)から(14)項までに掲げる各用途に分類されているものについては、令別表第一(2)項ハとして取り扱わないものであること。
(4)  店舗型性風俗特殊営業とは、次のアからカまでに掲げるもののいずれかに該当するものをいうものであること。
 浴場業(公衆浴場法(昭和23年法律第139号)第1条第1項に規定する公衆浴場を業として経営することをいう。)の施設として個室を設け、当該個室において異性の客に接触する役務を提供する営業(風営法第2条第6項第1号に規定するもの)
(具体例)ソープランド
 個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業(アに該当する営業を除く。)(風営法第2条第6項第2号に規定するもの)
(具体例)ファッションヘルス、性感マッサージ、イメージクラブ、SMクラブ
 専ら、性的好奇心をそそるため衣服を脱いだ人の姿態を見せる興行その他の善良の風俗又は少年の健全な育成に与える影響が著しい興行の用に供する興行場(興行場法(昭和23年法律第137号)第1条第1項に規定するものをいう。以下同じ。)として、次の(ア)から(ウ)までに掲げる風営法施行令(昭和59年政令第319号。以下「風営令」という。)で定めるものを経営する営業(風営法第2条第6項第3号に規定するもの)
(ア)  ヌードスタジオその他個室を設け、当該個室において、当該個室に在室する客に、その性的好奇心をそそるため衣服を脱いだ人の姿態又はその映像を見せる興行の用に供する興行場(風営令第2条第1号に規定するもの)
(具体例)ヌードスタジオ、個室ビデオ
(イ)  のぞき劇場その他個室を設け、当該個室の隣室又はこれに類する施設において、当該個室に在室する客に、その性的好奇心をそそるため衣服を脱いだ人の姿態又はその映像を見せる興行の用に供する興行場(風営令第2条第2号に規定するもの)
(具体例)のぞき劇場
(ウ)  ストリップ劇場その他客席及び舞台を設け、当該舞台において、客に、その性的好奇心をそそるため衣服を脱いだ人の姿態又はその姿態及びその映像を見せる興行の用に供する興行場(風営令第2条第3号に規定するもの)
(具体例)ストリップ劇場(成人映画を上映する映画館は除く。)
 専ら異性を同伴する客の宿泊(休憩を含む。以下同じ。)の用に供する風営令第3条第1項で定める施設を設け、当該施設を当該宿泊に利用させる営業(風営法第2条第6項第4号に規定するもの)
(具体例)ラブホテル、モーテル、レンタルルーム
 店舗を設けて、専ら、性的好奇心をそそる写真、ビデオテープその他の物品で風営令第4条で定めるものを販売し、又は貸し付ける営業(風営法第2条第6項第5号に規定するもの)
(具体例)アダルトショップ、アダルトビデオレンタルショップ
 アからオまでに掲げるもののほか、店舗を設けて営む性風俗に関する営業で、善良の風俗、清浄な風俗環境又は少年の健全な育成に与える影響が著しい営業として風営令で定めるもの(法第2条第6項第6号に規定するもの)
(具体例)現在までのところ風営令に定めはない。
(5)  店舗型電話異性紹介営業とは、店舗を設けて、専ら、面識のない異性との一時的の性的好奇心を満たすための交際(会話を含む。)を希望する者に対し、会話(伝言のやり取りを含むものとし、音声によるものに限る。)の機会を提供することにより異性を紹介する営業で、その一方の者からの電話による会話の申込みを電気通信設備を用いて当該店舗内に立ち入らせた他の一方の者に取り次ぐことによって営むもの(その一方の者が当該営業に従事する者である場合におけるものを含む。)をいう。(風営法第2条第9項に規定するもの)
(具体例)テレフォンクラブ
(6)  キャバレー(令別表第一(2)項イ)、待合(令別表第一(3)項イ)等の風営法第2条第1項に規定する風俗営業に該当するものは、そもそも令別表第一(2)項ハには当たらないこと。
(7)  性風俗関連特殊営業を営む場合は、営業所の所在地を管轄する公安委員会に届出をする必要があるが、当該防火対象物が令別表第一(2)項ハに該当するための要件は、あくまでも営業形態であり、必ずしも当該届出を要件とするものではないこと。
(8)  省令第5条第1項第1号に規定する店舗は、令別表第一(4)項に類似するもので電話以外の情報通信に関する機器(映像機器等)を用いて異性を紹介する営業を営む店舗であり、いわゆるセリクラ(店舗形態を有するものに限る。)のことをいうものであること。又、省令第5条第1項第2号に規定する店舗は、異性以外の客に接触する役務を提供する営業を営む店舗のことをいうものであること。
第2  令別表第一(5)項イに関する事項
 令別表第一(5)項イの基本的な考え方について
 最近の社会実態、経済活動の変化、娯楽の形態の変化、性風俗関連産業の変化等により、従来の宿泊を主たる目的としたホテル、旅館、宿泊所等の他に、マッサージ、レンタルルーム等で、主たる目的は宿泊以外のものであっても、副次的な目的として宿泊サービスを提供している施設については令別表第一(5)項イに掲げる防火対象物となることを明確化したものである。
令別表第一(5)項イ「その他これらに類するもの」の取扱いについて
(1)  令別表第一(5)項イ「その他これらに類するもの」に該当するか否かの判定については、実際に宿泊が可能であるかどうか立入検査等により状況を確認することになるが、次のアからエまでに掲げる条件等を勘案する必要があること。
 不特定多数の者の宿泊が継続して行われていること。
 ベッド、長いす、リクライニングチェア、布団等の宿泊に用いることが可能な設備、器具等があること。
 深夜営業、24時間営業等により夜間も客が施設にいること。
 施設利用に対して料金を徴収していること。
(2)  令別表第一(6)項イ(病院、診療所又は助産所)、同項ロ(老人福祉施設、有料老人ホーム等)、令別表第一(9)項イ(蒸気浴場、熱気浴場等)、令別表第一(11)項(神社、寺院、教会等)等は、副次的に宿泊の用に供する施設を有する場合もあるが、それぞれの用途としての火災危険性に着目して対応することで十分であり、令別表第一(5)項イが対象とする不特定多数の者が利用する施設とは性格が異なることから、原則として令別表第一(5)項イに掲げる防火対象物としては取り扱わないこと。ただし、寺院の宿坊等であって不特定多数の者が利用しており、かつ、当該用途部分の独立性が強く、専らその用に供されている場合は、令別表第一(5)項イとして取り扱うべき場合もあること。
第3  留意事項
 本通知中で挙げた具体例の中の多くは、用語の定義がなく、世間一般に通用している俗称を用いているため、用途の判定に当たっては名称のみで判定することなく、名称、営業形態、サービスの内容等の要件を総合的に判断して用途を判定する必要があることに留意されたい。