通知・通達

消防救第73号 医政指発第0326002号 メディカルコントロール体制の充実強化について

消防救第73号
医政指発第0326002号
平成15年3月26日


各都道府県消防主管(部)局長 殿
衛生主管(部)局長 殿


消防庁救急救助課長



厚生労働省医政局指導課長



メディカルコントロール体制の充実強化について



  標記については、「メディカルコントロール協議会の設置促進について」(平成14年7月23日付け消防庁次長、厚生労働省医政局長通知)等においてお願いしたところです。
 本年3月26日付けの救急救命士法施行規則の改正により、平成15年4月1日から、救急救命士の行う救急救命処置として包括的指示下での除細動の実施を認めることとなったところ、こうした処置範囲拡大の前提として、事後検証の実施を含めたメディカルコントロール体制の充実強化が不可欠となっております。
 加えて、今後、平成16年7月を目途として、必要な講習、実習を受けた救急救命士に医師の具体的指示の下で気管挿管の実施を限定的に認める方向で準備作業を進めているところであり、将来に向けて、常時指示体制の充実、救急救命士の資質向上に向けた研修体制の確保等、メディカルコントロール体制の更なる充実が求められることとなります。
 ついては、下記の事項に十分に留意し、救急救命士制度の円滑な運用を図られるようお願いします。
 また、貴都道府県内市町村(消防の事務を処理する組合を含む。)及び関係団体等に対しこの旨周知願います。







 メディカルコントロール体制の構築
救急業務の更なる高度化を図るためには、メディカルコントロール体制を構築することが必要であり、都道府県メディカルコントロール協議会及び地域メディカルコントロール協議会の適切な運用を図り、常時指示体制、事後検証体制及び再教育体制の一層の充実等に努めること。
   (1) 都道府県メディカルコントロール協議会
 都道府県メディカルコントロール協議会は、都道府県消防主管部局・衛生主管部局、都道府県医師会、都道府県内の救命救急センターの代表者、都道府県内の消防機関等で構成され、地域のメディカルコントロール体制間の調整や、地域メディカルコントロール協議会からの報告に基づき指導、助言等の役割を担うこと。
   (2)地域メディカルコントロール協議会
 地域メディカルコントロール協議会は、救命救急センター等中核となる救急医療機関を中心に、常時指示体制が包括している地域を単位として設置することが望ましい。
 地域メディカルコントロール協議会は、都道府県消防主管部局・衛生主管部局、消防機関、郡市区医師会、救急医療に精通した医師等で構成され、病院前救護にかかる消防機関と医療機関の連絡調整、業務のプロトコール、マニュアル等の作成、常時指示体制の整備、検証医の選定及び事後検証票の作成等を含めた事後検証体制の確保、並びに救急救命士の資質向上のための研修機会の確保に関する支援等の役割を担うこと。
 
 事後検証体制の整備
包括的指示下での除細動及び医師の具体的指示を必要とする救急救命処置等を実施した場合には、メディカルコントロール体制の下で事後検証を実施すること。
   (1)事後検証票の活用
 事後検証票には、観察結果、時間経過等必要事項を正確に記載するとともに、心電図記録を添付すること。なお、事後検証票については、「救急業務高度化推進委員会」において、標準的な事後検証票(別添1参照)を作成したところであるので、十分に活用されたい。
   (2)事後検証結果の活用等 
 事後検証の結果については、定期的に地域メディカルコントロール協議会へ報告すること。
 また、地域メディカルコントロール協議会は、必要に応じて、事後検証内容を調査する等により客観性を担保することが望ましい。
 検証医は、救命救急センターに勤務している等の救急医療に精通した医師であること。
 メディカルコントロール協議会は、検証結果等の協議内容を踏まえ、業務プロトコール、マニュアル等について適宜、見直しを行うこととするとともに、各消防機関においては協議結果について救急業務の高度化のため活用を図ること。
 包括的指示下での除細動の実施に当たっての留意事項
 平成15年4月1日から、救急救命士における包括的指示による除細動の実施を認めることとなったところであるが、実施に当たっては次の事項に留意すること。
   (1)プロトコールに沿った実施
 プロトコールについては、「包括的指示下での除細動に関する研究会」において検討されたものを十分に活用するとともに(別添2参照)、必要に応じて地域メディカルコントロール協議会で見直し等を行うよう努めること。
 救急救命士は、プロトコールに習熟した上で、プロトコールに沿って早期除細動に努め、救命効果の向上を図ること。
   (2)所要の知識の習得
 包括的指示下で除細動を実施する救急救命士は、救急救命士の国家試験に合格した
者であって、包括的指示下での除細動に関する講習(4時間以上)を修了している者とすることとし、今後の養成課程の見直しにより、包括的指示下での除細動の実施に関する教育を修了することとなる者を除き、同様であること。
   (3)事後検証体制の確立
 包括的指示下での除細動については、地域メディカルコントロール協議会が設置され、事後検証体制が確保されていることが前提であり、こうした条件の成就した地域において実施されるものであること。
 なお、地域メディカルコントロール協議会が未設置の地域において、都道府県メディカルコントロール協議会が事後検証を実施する場合については、包括的指示下での除細動を行うこととして差し支えないが、こうした地域においてもできるだけ早期に地域メディカルコントロール協議会を設置するよう努めること。
  (別添1,2は略)