通知・通達

消防救第178号 医政発第0728010号 メディカルコントロール体制の整備について

消防救第178号
医政発第0728010号
平成15年7月28日


各都道府県知事 殿


消防庁次長


厚生労働省医政局長

メディカルコントロール体制の整備について



 メディカルコントロール体制の整備については、「救急救命士の業務のあり方等に関する検討会」報告書において、救急救命士の業務拡大を行っていく上での前提とされており、円滑な救急業務を遂行する上で極めて重要な事項であることから、「メディカルコントロール協議会の設置促進について」(平成14年7月23日付け消防庁次長・厚生労働省医政局長連名通知)等により、格段の配慮をお願いしてきたところです。
 平成15年4月1日から救急救命士法施行規則の改正により、救急救命士の行う救急救命処置として包括的指示下での除細動の実施が認められましたが、メディカルコントロール体制の整備が必ずしも十分でないこと等から、未だ包括的指示下での除細動が実施できていない地域も見受けられます。
 また、平成16年7月を目途として、必要な講習、実習を受けた救急救命士に医師の具体的指示の下で気管挿管の実施を認める方向で準備作業を行っているところであり、今後、救急救命士の業務の更なる高度化に向けて、常時指示体制の充実、事後検証体制の充実、研修体制の確保等、メディカルコントロール体制の更なる充実が求められることとなります。なお、薬剤投与の問題についても、ドクターカーにおいてデータを収集し、安全性・有効性等の検証作業を実施しているところです。
 ついては、下記の事項に十分に留意し、救急救命士制度の円滑な運用に向けて、メディカルコントロール体制の一層の充実を図るようお願いします。
 また、貴都道府県内市町村(消防の事務を処理する組合を含む。)及び関係団体等に対しこの旨周知願います。





包括的指示下での除細動の早期実施
 早期除細動については、救命効果の向上に大きく寄与するものであることから、「包括的指示下での除細動」を実施できていない地域においては、早期実施を目指し、事後検証体制を確立するなどメディカルコントロール体制の整備を図ること。
救急医の養成・確保
 メディカルコントロール体制の整備・充実にあたっては、救急医の養成・確保を図ることが必要であり、関係部局等で十分に連携を図りながら取組みを推進すること。
 なお、これに関連し、自治医科大学の卒業生について、へき地等の医療体制が充実しているなどの事情を有する都道府県においては、救急医として活用することも可能であるとされていること。
気管挿管の講習実施体制の確保
 気管挿管については、平成16年7月実施を目指し、現在追加講習カリキュラムの作成及び養成校における教育カリキュラムの見直し等の作業を進めているところであり、今年度末から救急救命士の既資格者に対する所要の講習の実施が可能となる見込みである。ついては、各消防学校における気管挿管の講習の準備を進め、その体制の確保を図ること。併せて、講習に引き続き実施される病院実習については、厚生労働省の「救急救命士病院実習受入促進事業」を活用することとし、医療機関における実習体制の確保を図ること。
薬剤投与の研究・検証
 救急救命士が行うとした場合の薬剤の有効性と安全性については、現在ドクターカーにおいてデータを収集し、心拍の再開に必要となる最小限の薬剤の使用に関する研究・検証を行っているところであり、今年中を目途にこれらの研究・検証の結果をできるだけ早く得ることとしているので、その動向を注視すること。


包括的指示による除細動の効果(政令市)