通知・通達

消防消第46号 消防危第22号 ごみ固形化燃料等関係施設の安全対策について

消防消第46号
消防危第22号
平成16年2月23日


各都道府県消防主管部長 殿


消防庁消防課長  



消防庁危険物保安室長  



ごみ固形化燃料等関係施設の安全対策について



 平成15年8月に三重県が設置運営するごみ固形化燃料(以下「RDF」という。)の焼却発電施設である「三重ごみ固形燃料発電所」のRDF貯蔵槽において火災・爆発が起こり、消防職員2名が死亡する等の事故が発生しました。
 消防庁においては、この事故の重大性に鑑み、学識経験者、関係行政機関の職員等で構成される「ごみ固形化燃料等関係施設の安全対策調査検討会」を設置しました。
 この検討会では、同種施設の実態及び事故発生状況の把握並びに同種施設の安全対策について調査検討を実施し、再発防止のための安全対策が提言されたところです。
 現在、消防庁においては、検討会の提言を受けて、RDF等の指定可燃物への指定を行うとともに、RDF等指定可燃物等に係るハード面の安全対策に関する市町村条例への委任規定を追加する消防法令の改正等を行うこととしています。
 貴都道府県におかれましても、同種事故の再発防止を図るため、RDF等関係施設の実態把握に努めるとともに、当面、検討会で提言された別紙の安全対策について、関係施設に対し周知徹底を図られるようお願いします。
 とりわけ、三重ごみ固形燃料発電所と類似した大規模な貯蔵槽を保有する施設について、特に十分なご配慮をお願いします。
 また、貴都道府県内市町村に対してもこの旨周知して頂きますようよろしくお願いします。
 なお、別途、「ごみ固形化燃料等関係施設の安全対策調査検討報告書」を配布しますので、ご活用をお願いします。






別紙


ごみ固形化燃料等に係る安全対策


「ごみ固形化燃料等関係施設の安全対策調査検討報告書」抜粋

 RDF等製造時の安全対策
 RDFの性状は、標準情報(TR)により規定されているが、酸化反応や微生物発酵等を防止するために必要な性状管理を徹底する体制を確保することにより、発熱を防止する必要がある。
 水分量管理
 水分量をTRで規定されている10%以下のできる限り低い管理値に抑え、発熱を防止する(性状チェックの頻度、サンプル数等のチェック方法等に応じ、安全率を考慮して管理することが重要)。
 壊れにくい形状の確保
 崩れた形状のRDF等は表面積が大きくなり発熱・発火し易くなるため、壊れにくい形状を確保する。
 RDF等保管時の安全対策
 保管時にRDF等の発熱を起こさないための、次の対策が必要である。
 高温状態での保管の禁止
 製造後のRDF等について、十分に冷却した後保管する。
 一定規模以上の集積の制限
 RDF等は、集積量が多くなる程発火危険性が高まることから、集積高さ等を制限することにより、発熱・発火しにくくするとともに、万が一、発熱・発火した場合においても消防活動が容易に行える集積量(これまでの消防活動実績を踏まえれば、当面集積高さは4~5m程度に限るべきと考えられる)に制限する。
 長期保管の回避
 RDF等の長期保管を行わないとともに、定期的(少なくとも3箇月に1回以上)に保管場所からの全量の掻き出しを実施する。 
 吸湿等防止
 雨水の浸入を防止し、通気・換気等の確保により周囲環境と比較して高温多湿状態となることを防止する。
 RDF等の異常の監視
 RDF等の状態を監視し、異常発生時に直ちに対応を図れるための体制を確保する必要がある。
 温度測定装置による温度の有効監視
 発熱等の異常を早期に発見する。
 可燃性ガス測定装置による可燃性ガス監視
 メタン、水素、一酸化炭素等の可燃性ガスの発生状況を有効に監視する。
 保管施設等の事故発生時の安全対策
 RDF等は、ひとたび発熱・発火すると、消火が非常に困難であることから、異常発熱時には貯蔵量等に応じ、次のような対策が迅速に図られる体制の確保が必要である。
 不活性ガス封入装置等による不活性雰囲気の確保
 RDF等を貯蔵槽等で貯蔵している場合、発熱・発火した際に酸素濃度を低下させるため、不活性ガス雰囲気とする。
 火設備、連結散水設備等による冷却・消火
 初期消火対策として、消火設備又は散水設備、大量放水を必要とする場合に備えて、消火設備等の補完設備として連結散水設備による対応を図る。
 保管施設等の消防活動上の対策
 事故発生時に迅速かつ容易に消火活動が行える貯蔵方式等とすることが必要である。
 効果的な消火対策の確保
 RDF等を貯蔵槽で保管する等十分に消火水がかかりにくい貯蔵形態の場合、例えばRDF等を水没させることができる構造等とする。
 RDF等の迅速な排出
 貯蔵槽等での火災態様により、RDF等を迅速に取り出して消火を行う。
 日常の安全管理体制
 上記1~5の安全対策のほか、日常の安全管理体制に係る対策の確保が必要である。
 安全管理要員の確保と教育・訓練
 専従の安全管理要員を確保し、当該安全管理要員に安全教育と災害時の対応について教育・訓練を実施する。
 従業員等の安全管理教育・訓練の徹底
 従業員についても専従の安全管理要員と同様に安全管理教育・訓練を実施する。
 消防機関、第三者機関等による安全性の確認
 RDF等関係施設の実態、貯蔵・取扱い方法等に応じたそれぞれの火災危険要因を関係者が事前に把握し、これに対応した安全対策を確保していくことが重要であり、この点について消防機関等も確認を行っていく必要がある。