通知・通達

消防予第24号 消防法施行令の一部を改正する政令の運用について

消防予第24号
平成16年2月6日


各都道府県消防主管部長 殿


消防庁予防課長



消防法施行令の一部を改正する政令の運用について



 消防法施行令の一部を改正する政令の公布については、「消防法施行令の一部を改正する政令等の公布について」(平成16年2月6日付け消防予第23号、消防安第10号及び消防救第24号)により通知したところですが、改正後の消防法施行令(以下「令」という。)の運用に際しては、下記事項に留意の上、その適正を期されるようお願いします。
 なお、貴都道府県内の市町村に対してもこの旨周知されるようお願いします。




第一  消防用設備等の種類に関する事項(令第7条関係)
 今般、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第17条第1項の技術上の基準として、令第29条の4の規定を設けたことに伴い、本条に第7項を追加し、令第29条の4第1項に規定する「必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等」を、法第17条第1項に規定する消防用設備等として位置づけたものであること。

第二  必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等の基準に関する事項(令第29条の4関係)
 法第17条第1項において、消防用設備等について、消火、避難その他の消防活動のために必要とされる性能を有するように、政令で定める技術上の基準に従って設置し、及び維持しなければならないとされたことを受け、新たに「必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等」に関する規定を設けたものであること。
 その運用に当たっての留意事項は、次のとおりとすること。
 令第2章第3節第2款から第6款まで(令第10条から第29条の3まで)の規定による消防用設備等を「通常用いられる消防用設備等」とし、「通常用いられる消防用設備等」と同等以上の防火安全性能を有すると消防長(消防本部を置かない市町村においては、市町村長。以下同じ。)又は消防署長が認める消防の用に供する設備、消防用水又は消火活動上必要な施設を「必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等」としたこと。
 消防用設備等に必要とされる防火安全性能を、1)「火災の拡大を初期に抑制する性能」、2)「火災時に安全に避難することを支援する性能」又は3)「消防隊による活動を支援する性能」としたこと。
 防火対象物の関係者が「通常用いられる消防用設備等」とは異なる消防の用に供する設備、消防用水及び消火活動上必要な施設(以下「消防の用に供する設備等」という。)を設置しようとする場合において、消防長又は消防署長が当該消防の用に供する設備等が「通常用いられる消防用設備等」と同等以上の防火安全性能を有すると認めるときは、防火対象物の関係者は、「通常用いられる消防用設備等」に代えて当該消防の用に供する設備等(「必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等」)を用いることができるものであること。
 「必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等」について、消防長又は消防署長が「通常用いられる消防用設備等」と同等以上の防火安全性能を有していることを確認する方法は、総務省令で定めること。
 現在、共同住宅に関して「通常用いられる消防用設備等」に代えて用いることができる「必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等」に係る総務省令について検討を行っているところであり、それ以外の設備等に係る総務省令についても、技術的知見が確立されたものから順次定めていく予定であること。
 防火対象物の関係者は、「必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等」を設置する場合は、「通常用いられる消防用設備等」と同等以上の防火安全性能を有するように設置し、及び維持しなければならないこと。
 このため、消防長又は消防署長は、法第4条第1項若しくは法第4条の2第1項に基づく立入検査、法第7条第1項に基づく同意、法第17条の3の2に基づく検査又は法第17条の3の3に基づく報告等の際には、当該設備等が必要とされる防火安全性能を有するように設置され、及び維持管理されていることを確認する必要があること。
第三  消防用設備等の基準の特例に関する事項(令第32条関係)
 防火対象物の関係者が、「通常用いられる消防用設備等」に代えて「予想しない特殊の消防用設備等その他の設備」を設置しようとするときは、従来は、令第32条後段部分の規定に基づき、消防長又は消防署長が、当該「予想しない特殊の消防用設備等その他の設備」を用いることにより、令第2章第3節第2款から第6款の規定による場合と同等以上の効力があると認めるときにおいては、当該規定は適用しないこととされていた。
 今般、令第29条の4に基づき、「通常用いられる消防用設備等」に代えて、総務省令で定めるところにより消防長又は消防署長が、必要とされる防火安全性能を有すると認める消防の用に供する設備等を用いることができることとし、総務省令が定められていない場合には、法第17条第3項に基づき必要な性能を有する特殊消防用設備等として総務大臣の認定を受けたものを用いることができることとされたことから、令第32条の規定のうち後段部分の「予想しない特殊の消防用設備等その他の設備」に係る部分を削除したものであること。
 一方、近年、防火対象物の多様化が進むとともに、規制改革等に柔軟に対応する必要性が高まってきたこと等を踏まえ、令第32条前段部分の規定について、従来「火災の発生及び延焼のおそれが著しく少なく、かつ、火災等の災害による被害を最少限度に止めることができると認めるとき」に限り適用することとしていたことを改め、「火災の発生又は延焼のおそれが著しく少なく、かつ、火災等の災害による被害を最少限度に止めることができると認めるとき」に適用することができるよう改正したものであること。

第四  適用が除外されない消防用設備等に関する事項(令第34条関係)
 法第17条の2の5第1項を受け、令第34条では、従来、消防用設備等について常に最新の技術上の基準に適合する必要があるものとして、防火対象物の構造部分に手を加えることなく設置又は変更ができる消防用設備等及び不特定多数の者が利用する施設又は文化財建造物等に設ける自動火災報知設備を定めて来たところである。
 今般、令第29条の4の規定を設けたことに伴い、「必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等」のうち、従来から本条に掲げられていた消防用設備等に類するものとして消防庁長官が定めるものについても、最新の技術上の基準に適合することが必要であるとしたものであること。

第五  消防設備士でなければ行ってはならない工事又は整備に関する事項(令第36条の2関係)
 令第36条の2では、消防用設備等については工事又は整備の際に不備により本来の機能が発揮されないおそれがあることから、消防設備士でなければ行ってはならない消防用設備等の工事又は整備について規定している。
 法第17条第3項において特殊消防用設備等を用いることができることとし、また、今般、令第29条の4により「必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等」を用いることができることとしたことに伴い、これらの設備等についても、従来、消防設備士の業務独占の対象とされていた消防用設備等に類するものとして消防庁長官が定めるものについては、消防設備士の業務独占の対象としたものであること。
 今後、特殊消防用設備等については法第17条第3項に基づき総務大臣が認定する際に、また、「必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等」については令第29条の4に基づき総務省令を定める際に、必要に応じ、消防庁長官がこれらの設備にかかる消防設備士の業務独占の対象を定めることになるものであること。

第六  検定対象機械器具等の範囲に関する事項(令第37条関係)
 法第21条の2では、消防の用に供する機械器具等のうち、一定の形状等を有しないときは火災の予防若しくは警戒、消火又は人命の救助等のために重大な支障を生ずるおそれのあるもので、あらかじめ検査を受ける必要があると認められるものについて、検定対象機械器具等として定めることとしている。
 法第17条第3項に基づく特殊消防用設備等については、個々の防火対象物ごとに当該特殊消防用設備等が「通常用いられる消防用設備等」と同等以上の性能を有し、かつ、設備等設置維持計画に従って設置し、及び維持するものとして総務大臣が認定することになるため、検定対象機械器具等から除くこととしたものであること。

第七  令別表第一(17)項に関する事項(令別表第一関係)
 文化財建造物は、国民にとってかけがえのない文化的財産であって、火災によってこれを失うことを防止すべき社会的要請が極めて高いものであるため、文化財建造物を令別表第一(17)項に掲げる防火対象物として位置付け、必要な防火安全上の措置を講ずることとしてきたところである。
 今般、文化財建造物又はその部分を飲食店・宿泊施設等として利用するもの、特定防火対象物の用途に供される施設が文化財建造物に指定されるもの等、文化財建造物の利用形態が多様化してきたことから、消防用設備等をはじめとした必要な防火安全上の措置を講ずることができるよう、法令上の根拠を設けたものであること。
 なお、本改正に伴い、消防用設備等の設置が新たに必要となる場合等の取扱いについては、「文化財建造物に係る消防用設備等の取扱いについて」(平成16年2月6日付け消防予第26号)を参考とされたいこと。
 また、文化財建造物に係るその他必要な事項については、改めて通知する予定であること。