消防危第29号
平成16年3月4日
各都道府県消防主管部長 殿
消防庁危険物保安室長                     
危険物事故防止基本方針・アクションプランの推進に関する地方連携について
近年、危険物施設における火災・漏えい事故の発生状況が過去最悪の水準を推移していることにかんがみ、「危険物事故防止の推進について」(平成15年5月30日付け消防危第56号)により通知した危険物事故防止基本方針・アクションプランに基づき、官民一体となった事故防止対策の推進をお願いしているところです。また、昨年12月には「危険物事故防止基本方針・アクションプランの推進に関する検討会」を全国3会場において開催し、地方連携のあり方等について検討を行ったところです。
今般、上記検討会の結果を踏まえ、危険物事故防止基本方針・アクションプランを踏まえた地方連携に関する留意事項等について下記のとおりとりまとめましたので、これを参考として貴都道府県における一層の官民連携の推進をお願いします。また、貴都道府県内の市町村に対しても、この旨周知されるようお願いします。
記
1 |
地方における官民連携の推進
(1) |
都道府県における取組みについて
ア |
都道府県危険物事故防止連絡会(別添1)等により、都道府県における官民連携を推進されたいこと。 |
イ |
危険物事故防止基本方針・アクションプランが、国レベルの官民連携の枠組みである「危険物等事故防止対策情報連絡会」においてとりまとめられた行動指針・計画であることを踏まえ、都道府県レベルにおいても、官民双方による自主的・積極的な取組みの推進が図られることが重要であること。 |
ウ |
このほか、「産業事故防止対策の推進について」(平成15年12月25日付け消防予第323号・消防危第133号)により通知したとおり、都道府県の労働安全部局、高圧ガス保安部局等の関係行政機関とも適宜連携を図られたいこと(行政機関相互の情報共有、必要に応じ都道府県危険物事故防止連絡会への参画等)。 |
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(2) |
市町村における取組みについて
ア |
危険物施設の関係者等と情報の共有化を図り、危険物事故防止基本方針・アクションプランに基づく共通の認識の下、具体的かつ効果的に危険物事故防止対策を推進されたいこと。
<取組みの例>
      |
○ |
個別の危険物施設の関係者との間で、保安情報の相互提供を適宜実施 |
  |
○ |
危険物施設における立入検査の際、事故情報を参考として検査を実施 |
  |
○ |
アクションプランにおける民間の取組事項について、個々の危険物施設における認識や実施状況等を適宜確認 |
  |
○ |
各種講習会の機会等を利用して、広く関連情報の提供を行うとともに、民間における取組みについて相互に紹介 等 |
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イ |
都道府県危険物事故防止連絡会等における検討内容等を踏まえつつ、当該市町村の実情に応じた取組みの推進が図られることが重要であること。 |
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2 |
危険物保安に係る行政機関相互の連携強化
(1) |
危険物事故防止ブロック連絡会議(別添2)を平成16年度から開催する予定であり、都道府県及び関係消防機関の参画をお願いしたいこと。 |
(2) |
危険物事故防止ブロック連絡会議の内容や1(1)による取組み等について、危険物担当者会議や事務連絡(書面によるものを含む。)等の機会をとらえ、都道府県内の市町村について周知を図ること。 |
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都道府県危険物事故防止連絡会について
1 |
趣旨
危険物事故防止基本方針・アクションプランに基づく取組みの一環として、地方における官民連携の推進を図るため、都道府県危険物事故防止連絡会を設置し、事故防止上有用な情報の交換、共通的な課題への対応策の検討、相互の取組みへの協力等を行う。
  |
<期待される効果等>
      |
○ |
  |
危険物保安の確保による人的・物的被害の防止・軽減(副次的に次のような効果) |
  |
  |
→ |
  危険物事業所:危険物事故による直接・間接の企業損失のリスク軽減、経営基盤安定化、社会的信用向上 |
  |
  |
→ |
  消防関係行政機関:重大事例、違反処理等への業務の重点化が可能 |
  |
○ |
  |
危険物保安に関する認識の向上 |
  |
  |
→ |
  施設単位や地域単位では認識しにくい潜在的危険性や安全対策の重要度が把握可能 |
  |
  |
→ |
  幅広い情報交換等により、危険物保安全体の中でのレベル、課題等の自己認識が可能 |
  |
○ |
  |
官民連携による効果的・効率的な取組みの推進 |
  |
  |
→ |
  各構成メンバーの取組みの有機的連携や相互活用による効率化が可能 |
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2 |
連絡会の構成
都道府県危険物事故防止連絡会は、当該地域の危険物関係の業界団体、研究機関、行政機関等で構成する。この場合において、地域の実情(危険物施設の種類・数、事故の発生状況、関係団体の編成状況等)に応じ、構成メンバーを適宜選定する。
  |
<構成メンバーの例>
        |
石油精製・流通業界、化学品製造・流通業界、物流業界、危険物ユーザー、関係団体、研究機関、消防関係行政機関(都道府県消防主管部局、消防機関代表)等 |
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3 |
連絡会の運営
(1) |
運営体制
都道府県消防主管部局(必要に応じて都道府県内の代表消防機関、危険物安全協会等と連携)が中心となって、連絡会の運営を行う。 |
(2) |
構成メンバー間の連携
ア |
構成メンバーによる会議を開催し、合同で実施すべき事項について情報交換、検討等を行う。 |
イ |
このほか、危険物事故防止に関して個別打ち合わせや電話連絡等を適宜行い、構成メンバー間で積極的かつ円滑な連携確保に努める。 |
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4 |
連絡会の実施事項(例)
(1) |
全体的事項
○ |
事故防止対策推進に係る共通認識の形成(アクションプランに基づく官民の取組事項に係る相互確認、保安情報の共有化等) |
○ |
アクションプランに基づき、当該地域の実情に即した危険物事故防止推進方策の検討~とりまとめ |
○ |
上記方策や事故情報等について各構成メンバーから個別事業所、消防機関等へ周知徹底 |
○ |
事故防止対策に関する実施状況の把握~必要に応じ改善策の検討 |
○ |
危険物事故防止ブロック連絡会議、業界団体における全国会合等を通じ、現場の状況について各構成メンバーから国全体へフィードバック etc. |
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(2) |
個別事項
○ |
危険物安全週間における推進行事をはじめ、危険物事故防止に係る行事等の周知、相互参画、連携・協力等 |
○ |
危険物事故情報の共有化
・ |
全国データの共有化(消防庁統計、業界統計、消防庁の関連報告書、危険物保安技術協会分析データ等) |
・ |
地域データの整理~共有化(都道府県における危険物事故の発生状況、重大事故に関するケーススタディー等) |
|
○ |
危険物事故防止に係る基準・制度見直しに関する情報共有(例:地下タンク・配管等の「漏れの点検」に係る見直し等) |
○ |
基準遵守状況に関する認識共有(立入検査結果に係る統計データ等) |
○ |
アクションプランの「重点項目」等に関する具体的取組み、連携等の推進
← 危険物事故情報、関連基準・制度の見直し等を反映 |
○ |
想定される大規模災害への対応(地震、津波等) |
○ |
危険物事故、消防法違反等と関連した社会的要請に係る対応(不正軽油に係る消防法違反、新燃料に係る安全性確保、給油取扱所におけるガソリンの適正販売確保等) etc. |
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* |
都道府県危険物事故防止連絡会の位置づけ等については、参考1(PDF)及び参考2(PDF)を参照 |
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危険物事故防止ブロック連絡会議について
1 |
趣旨
危険物事故防止に関する基本方針・アクションプランに基づく取組みの一環として、危険物保安に係る行政機関相互の連携強化を図るため、「危険物事故防止ブロック連絡会議」を開催し、事故防止上有用な情報の交換、共通的な課題への対応策の検討等を行う。
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2 |
会議の概要
全国を6つのブロック(→3参照)に区分し、当該ブロックごとに危険物事故防止に係る連絡会議を開催
(1) |
内容
○ |
危険物事故の発生状況等に関する情報交換(全国/ブロックの施設数及び事故件数に係る統計データ、事故分析、事故事例紹介etc.) |
○ |
アクションプランの実施状況に関する情報交換(立入検査~違反処理の実施状況、危険物保安に関する行事・広報等の実施状況、地方レベルの連携状況etc.) |
○ |
当該ブロックの危険物事故防止推進に関する戦略の検討(重点課題の抽出、対応策検討etc.) |
○ |
次回会議の予定(開催時期、開催地etc.) |
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(2) |
会議形式
ディスカッション形式で情報交換、検討等を実施(開催地の都道府県による進行) |
(3) |
参加者(20~30名/ブロック)
○ |
都道府県(危険物担当の課長級を予定) |
○ |
消防機関(危険物担当の課長級を予定)
→ 県庁所在地、政令市、その他危険物保安上の中核をなす消防機関 |
○ |
消防庁危険物保安室 |
○ |
危険物保安技術協会(KHK)危険物等事故防止技術センター |
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3 |
運営方法
(1) |
ブロックの区分
ブロック名 |
ブロックを構成する都道府県の範囲 |
北海道・東北 |
北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県 |
関東・甲信越 |
茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県 |
中部 |
富山県、石川県、福井県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県 |
近畿 |
滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県 |
中国・四国 |
鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県 |
九州 |
福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
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(2) |
ブロック会議の回数及び開催地
ア |
回数:当面、各ブロックごとに年1回開催の予定 |
イ |
開催地:次回開催地はブロック連絡会議で決定
<平成16年度の開催予定地>
          |
北海道・東北ブロック:宮城県(仙台市)、関東・甲信越ブロック:神奈川県(川崎市)中部ブロック:愛知県(名古屋市)、近畿ブロック:京都府(京都市)、中国・四国:広島県(広島市)、九州ブロック:福岡県(北九州市) |
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(3) |
開催までの流れ
ア |
消防庁危険物保安室から、開催予定地の都道府県の消防主管部局に対し、当該都道府県職員及び関係消防機関職員(→2(3)参照)の出席を通知により依頼
→ 都道府県経由で消防庁危険物保安室あて回答 |
イ |
上記依頼と並行的に、開催予定地の都道府県と事前打合せ(電話、FAX等を活用)
○ |
当日の議事次第、進行等 |
○ |
配付資料(統計データ、事例集etc.)及びその説明者の調整(地方分窓口:開催地の都道府県) |
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(4) |
ブロック内の連携
ブロック連絡会議後、都道府県単位で成果を管内全体にフィードバックし(例 県危険物担当者会議etc.)、共通の認識の下で取組みを推進 |
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* |
都道府県危険物事故防止連絡会の位置づけ等については、参考1(PDF)及び参考2(PDF)を参照 |
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