通知・通達

消防消第105号 地域防災体制の充実強化に向けた消防団員確保について(通知)

消防消第105号
平成16年4月28日


各都道府県消防防災主管部長 殿


消防庁消防課長  



地域防災体制の充実強化に向けた消防団員確保について(通知)


 消防団は、地域住民を中心とした組織であり、地域防災体制の中核的存在として、地域の安全・安心のため、今後とも大いに活躍することを期待されています。
 しかしながら、消防団は、近年の社会環境の変化等から、消防団員数の減少、消防団員の高齢化やサラリーマン化等の様々な課題に直面しており、平成15年3月の「新時代に即した消防団のあり方に関する検討委員会」(委員長:伊藤滋・早稲田大学教授)の報告においては、「消防団員数の確保」等が最重要課題として提言されたところです。
 消防庁では、地域防災力の充実強化のためには、「消防団員数の確保」に特に焦点を当てることが重要と考え、平成1511月から、「地域防災体制の充実強化に向けた消防団員確保のための調査検討会」を開催し、団員確保対策及び地域の実情を踏まえた組織・運営の充実・多様化等について検討を行ってきました。この間、各地域の消防団が置かれている状況を把握するため、都道府県、市町村及び消防団等に協力いただき、団員確保に関する問題点・要望及び実際に効果を上げている方策について、消防団等を対象とした実態調査を実施しました。
 このたび、同調査検討会において、実態調査等を踏まえ、議論・整理された検討結果が取りまとまり、報告書を本日公表しました。
 ついては、貴都道府県においては、特に下記事項に留意の上、団員の確保対策に積極的に取り組んでいただくようお願いします。併せて、地域の防災体制の整備に責任を持たれる市町村長がリーダーシップを発揮され、各施策の具現化にあたれるよう貴都道府県内市町村にこの旨を周知願います。
 なお、同調査検討会報告において検討事項とされた項目については、今年度新たな検討会を開催して、更に対応策を議論する予定としています。



   総消防団員数を確保するための取組み
(1 )  消防団員減少の原因分析と減少抑止策
   団員の減少に歯止めをかける観点から、都道府県、市町村は、各消防団の条例定数、実員数の動向に常に着目し、条例定数を維持するとともに、消防団と連携して地域の実態にあった団員確保方策を実施すること。

(2 )  市町村合併時における消防団員の定数の維持
   市町村合併時において、地域に必要な消防防災力には変化がないことから、合併後にどのような消防団の形態をとる場合であっても、地域防災力の維持・向上を図ることのできる団員数を維持確保すること。

   対象別の団員確保
(1 )  被雇用者(サラリーマン)団員を確保するための取組み
1)    消防団員雇用事業所と消防団との連携方策
   地元事業所と消防団、市町村との連携を強化するため、事業所への説明、事業所との交流など、事業所の理解を深める活動を推進すること。また、都道府県、市町村では、団員雇用事業所の表彰、広報等を実施し、団員の雇用を社会的にアピールし、企業イメージの向上に協力すること。
2)    勤務地を活動地域とする消防団員の入団促進
   昼間の地域防災力が居住者のみで確保することが難しい市町村においては、条例に勤務者も団員として任用できるよう明記し、勤務地においても団員として入団できるようにすることが必要であること。

(2 )  女性消防団員の確保方策
1)    女性採用消防団数の拡大
   市町村、消防団では、婦人防火クラブとの役割を明確にした上で、婦人防火クラブの中核的なメンバーの入団など、女性の入団を促進すること。また、女性が入団しやすい環境を整備するとともに、各分団への女性の配置、女性分団の設置など、女性の入団に配慮した組織の整備を図ること。
2)    女性消防団員の役割の拡大
   市町村、消防団は、災害活動、火災予防、地域防災等、様々な面で地域コミュニティとのつながりが深い女性団員が活動できる環境を整備すること。また、女性団員を地域の防災リーダーとして位置づけ、住民指導など、活動の場を提供すること。

   消防団員周知施策の強化
(1 )  消防団への理解を深める広報施策
   住民の消防団への理解を深めるため、消防団、市町村が連携し、防災フェアの開催やターミナル駅、ショッピングセンター等での広報活動の実施を推進すること。また、市町村は、消防団の災害活動、地域活動等を積極的に報道発表すること。

(2 )  対象を絞った周知活動
   都道府県、市町村が協力し、事業所向け周知活動、女性向け広報活動、若年層向け広報活動等、地域の実情を踏まえ、周知する対象を絞った活動を展開すること。

(3 )  消防団情報の提供と共有化
   市町村の作成支援による各消防団ホームページの充実、市町村・都道府県ホームページでの消防団活動の紹介等により、住民・団員が消防団情報にアクセスしやすい環境づくりを促進すること。

(4 )  自主防災組織等との連携方策
   市町村は、地域防災体制の中で消防団と自主防災組織の役割を明確にし、両組織の充実強化を図るとともに、災害対応、訓練等においては消防団がリーダー的役割を果たすことを明確にすること。


<添付資料>

   1   地域防災体制の充実強化に向けた消防団員確保の在り方について(概要)
-「地域防災体制の充実強化に向けた消防団員確保のための調査検討会」報告-


   2   地域防災体制の充実強化に向けた消防団員確保の在り方について
-「地域防災体制の充実強化に向けた消防団員確保のための調査検討会」報告-