通知・通達

消防予第93号 総合操作盤の基準及び設置方法に係る運用について

消防予第93号
平成16年5月31日


各都道府県消防主管部長 殿


消防庁消防課長     



総合操作盤の基準及び設置方法に係る運用について



   総合操作盤の基準を定める告示(平成16年5月31日消防庁告示第7号。以下「7号告示」という。)及び総合操作盤の設置方法を定める告示(平成16年5月31日消防庁告示第8号。以下「8号告示」という。)については、平成16年5月31日に公布され、「消防法施行規則の一部を改正する省令等の施行について」(平成16年5月31日付け消防予第86号)により通知しているところです。
   総合操作盤については、従来、操作盤の基準(平成9年消防庁告示第2号。以下「旧2号告示」という。)及び操作盤の設置免除の要件を定める件(平成9年消防庁告示第3号。以下「旧3号告示」という。)に基づき、操作盤に代えて設置されていたところですが、近年の操作盤及び総合操作盤の設置の状況を踏まえ、消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号。以下「規則」という。)を改正し、一定の規模以上の防火対象物に設置される屋内消火栓設備等の消防用設備等に係る総合操作盤を当該設備を設置している防火対象物の防災センター等に設けることとしたものです。
   今後、総合操作盤については下記のとおり運用することとしたので通知します。
   貴職におかれましては、下記事項に留意のうえ、その運用に十分配慮されるとともに、貴都道府県内の市町村に対してもこの旨周知されますようお願いします。


   7号告示について
(1)    総合操作盤の構造及び機能に関する事項(第2関係)
   総合操作盤は、複数の消防用設備等に係る監視、操作等により、防火対象物全体における火災の発生、火災の拡大等の状況を把握できる機能を有するもので、表示部、操作部、制御部、記録部及び附属設備で構成されるとともに、防火対象物の規模、利用形態、火災における人命安全の確保、防火管理体制及び消火活動の状況に応じて、円滑に運用できる機能を有するものであること。このことから、自動火災報知設備の受信機の機能が組み込まれていること又は受信機の機能を有していることが望ましいものであること。
(2)    予備電源又は非常電源に関する事項(第2、8関係)
   総合操作盤に附置される予備電源又は非常電源の容量は、火災時等に所要の活動等を行うために必要な時間中、当該総合操作盤を有効に作動できるものであること。この場合、総合操作盤の設置の対象となる防火対象物の規模が大きく、消防活動の困難性が高いことにかんがみ、総合操作盤は停電時においても概ね2時間以上複数の消防用設備等の監視、制御等を行えることが望ましいこと。
   なお、総合操作盤以外の部分(例えば、屋内消火栓設備のポンプ、自動火災報知設備の地区音響装置等)については、原則として、個々の消防用設備等の非常電源に係る規定において必要とされる容量以上の容量を有していれば足りるものであるが、火災の感知、避難誘導、消防用設備等の監視・制御等に係る部分については、火災時等に所要の活動等を行うために必要な時間有効に作動できるものとすることが望ましいこと。
(3)    表示機能に関する事項(第5関係)
   本告示において規定されていない設備等のシンボルマーク等については、別表第一で規定されている設備項目ごとのシンボル等と紛らわしくないものであれば、使用して差し支えないが、シンボルの意味する内容が容易にわかるように措置すること。
   なお、この場合において社団法人日本火災報知機工業会が「CRT等における防災設備等のシンボル運用基準」を定めているので、当該運用基準によるシンボルマーク等を用いることが望ましいこと。
(4)    警報機能に関する事項(第6、1関係)
   警報音又は音声警報音は、システム異常を示す警報と各消防用設備等の作動等の警報との区分、消防用設備等ごとの区分が明確となるよう、音声、鳴動方法等を適切に設定すること。
(5)    操作機能に関する事項(第7関係)
   操作スイッチについては、当該防火対象物に設置される消防用設備等の設置状況や使用頻度、操作パネルの構造等により、1対1対応の個別式、テンキーとスイッチの組合せ方式、CRTのライトペンやタッチパネル方式等の中から適切なものを選択すること。
(6)    制御機能(第10関係)
   システムの大規模化及び情報通信技術の導入に伴い、システム構成要素の異常及び故障が全体機能の障害につながる可能性があるため、その対応策を講じる必要があること。この場合において、電源、CPU等の機能分散を図ったハード構成、フェイルセーフを考慮した機能設定、自己診断機能等による異常や故障の早期発見、システム判断、ユニット交換等の方法により設置されていること。
(7)    消防隊活動支援機能(第12関係)
   消防隊への情報提供が円滑に行えるとともに、CRT等の表示が容易に理解できるよう設計されていること。
   なお、消防隊到着後においても原則として、総合操作盤に係る操作については、消防隊の指示により防災要員が行うこと。

   8号告示について
(1)    消防用設備等に係る監視、操作等を行う場所に関する事項(第3から第6関係)
   防災監視場所以外の場所である副防災監視場所、監視場所及び遠隔監視場所において、監視、操作等を行う場合の留意事項については、以下のとおりであること。
   副防災監視場所において監視、操作等を行う場合(第4関係)
(ア)    利用形態、管理区分、建築形態等から判断して、部分ごとに監視、操作等を行うことが適当と認められること。
(イ)    副防災監視場所に当該部分に設置されている消防用設備等の総合操作盤が設置されている場合にあっては、防災監視場所の総合操作盤には当該副防災監視場所において監視操作等がされている部分の火災が発生した旨及び発生場所に係る情報が的確に把握できる機能(火災発生に係る代表表示)があればよいとされていること。
(ウ)    防火対象物全体に係る火災発生時の必要な措置を含む所要の計画には、次に掲げる事項が含まれていることが必要であること。
a    防災監視場所と副防災監視場所の役割分担、代表指揮権、管理体制等
b    副防災監視場所が無人となった場合における管理体制
c    副防災監視場所において監視している部分で火災が発生した場合の火災確認(駆けつけ方法)、初期対応(通報連絡、避難誘導等)
(エ)    防災監視場所の防災要員及び副防災監視場所の要員等は、防災監視場所及び各副防災監視場所に設置される総合操作盤の監視、操作等に習熟していることが不可欠であり、規則第3条第8項に規定する防災センター要員の講習を受けた者を従事させることが必要であること。
(オ)    副防災監視場所には、一定時間以内に防災監視場所にいる防災要員が到着できることが必要とされるが、この場合における防火管理体制等については、「高層複合用途防火対象物における防火管理体制指導マニュアルについて」(平成3年5月14日付け消防予第98号)に準じた実効ある体制が確保されていることが必要であること。
(カ)    消防用設備等の操作が防災監視場所及び副防災監視場所の双方において行うことができる場合については、当該操作時点における操作の優先権を有する場所が明確に表示されること。
   監視場所において監視、操作等を行う場合(第5関係)
(ア)    監視対象物は、消防法施行令(昭和36年政令第37号。以下「令」という。)第8条の規定による区画がなされている場合を除き、当該対象物全体を一の監視対象とすること。この場合において、一の監視対象物の監視等は、一の監視場所において行うこと。
(イ)    監視対象物の位置、構造、設備等の状況から判断して、火災の発生及び延焼のおそれが著しく少なく、かつ、火災等の災害による被害を最小限に止めることができる場合には、当該監視対象物にスプリンクラー設備が設置されていなくてもよいとされているが、これには監視対象物が10階以下の非特定用途防火対象物であって、火気の使用がなく、多量の可燃物が存置されていない場合等が該当すること。
   なお、次の各号に掲げる部分については、スプリンクラー設備が設置されているものとして取り扱って差し支えないこと。
a    規則第13条第3項に掲げるスプリンクラーヘッドを設置することを要しない部分(規則第13条第3項第11号及び同第12号に掲げる部分を除く。)
b    令第12条に定める技術上の基準により、開放型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備が設置されている部分
c    令第12条に定める技術上の基準により、放水型ヘッド等を用いるスプリンクラー設備が設置されている部分
d    令第13条から令第18条までに定める技術上の基準により、水噴霧消火設備、泡消火設備、不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備が設置されている部分
(ウ)    監視場所には、監視対象物に設置されている消防用設備等ごとに総合操作盤の基準に定める表示及び警報ができる機能を有する監視盤を設置することとされているが、例えば、監視対象物に設置されている総合操作盤から移報される火災が発生した旨及び発生場所に係る情報を受信することのできる機能を有するものなど、監視対象物における火災の発生が的確に把握できる場合にあっては、当該機器等による表示及び警報で足りるものであること。
(エ)    監視対象物の火災発生時の必要な措置を含む敷地全体に係る所要の計画には、次に掲げる事項が含まれていることが必要であること。
a    監視場所と監視対象物の防災監視場所の役割分担、代表指揮権、管理体制等
b    監視対象物の防災監視場所が無人となった場合における管理体制
c    監視対象物において火災が発生した場合の火災確認(駆けつけ方法)、初期対応(通報連絡、避難誘導等)
(オ)    監視場所の要員は、監視対象物に設置される総合操作盤における監視、操作等に習熟していることが必要であり、規則第3条第8項に規定する防災センター要員の講習を受けた者を従事させることが必要であること。
(カ)    監視対象物の防災監視場所には、一定時間以内に監視場所にいる防災要員が到着できることが必要とされるが、この場合における防火管理体制等については、「高層複合用途防火対象物における防火管理体制指導マニュアルについて」(平成3年5月14日付け消防予第98号)に準じた実効ある体制が確保されていることが必要であること。
   遠隔監視場所において監視、操作等を行う場合(第6関係)
(ア)    遠隔監視対象物は、令第8条の規定による区画がなされている場合を除き、当該対象物全体を一の監視対象とすること。この場合において、一の遠隔監視対象物の監視等は、一の遠隔監視場所において行うこと。
(イ)    監視対象物にはスプリンクラー設備が設置されていることとしているが、次の各号に掲げる部分については、スプリンクラー設備が設置されているものとして取り扱って差し支えないこと。
a    規則第13条第3項に掲げるスプリンクラーヘッドを設置することを要しない部分(規則第13条第3項第11号及び同第12号に掲げる部分を除く。)
b    令第12条に定める技術上の基準により、開放型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備が設置されている部分
c    令第12条に定める技術上の基準により、放水型ヘッド等を用いるスプリンクラー設備が設置されている部分
d    令第13条から令第18条までに定める技術上の基準により、水噴霧消火設備、泡消火設備、不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備が設置されている部分
(ウ)    遠隔監視場所には、監視対象物に設置されている消防用設備等ごとに総合操作盤の基準に定める表示及び警報ができる機能を有する監視盤を設置することとされているが、例えば、監視対象物に設置されている総合操作盤から移報される火災が発生した旨及び発生場所に係る情報を受信することのできる機能を有するものなど、監視対象物における火災の発生が的確に把握できる場合にあっては、当該機器等による表示及び警報で足りるものであること。
(エ)    監視対象物の火災発生時の必要な措置を含む所要の計画には、次に掲げる事項が含まれていることが必要であること。
a    遠隔監視場所と監視対象物の防災監視場所の役割分担、代表指揮権、管理体制等
b    監視対象物の防災監視場所が無人となった場合における管理体制
c    監視対象物において火災が発生した場合の火災確認(駆けつけ方法)、初期対応(通報連絡、避難誘導等)
(オ)    遠隔監視場所の要員は、監視対象物に設置される総合操作盤における監視、操作等に習熟していることが必要であり、規則第3条第8項に規定する防災センター要員の講習を受けた者を従事させることが必要であること。
(カ)    監視対象物の防災監視場所には、一定時間以内に遠隔監視場所の要員が到着できることが必要とされるが、この場合における防火管理体制等については、「遠隔移報システム等による火災通報の取扱い」(昭和62年8月10日付け消防予第134号)に準じて実効性ある体制が確保されている必要があること。

   総合操作盤に係る工事、点検等について
(1)    総合操作盤及び監視盤は消防用設備等として消防法第17条の3の2及び第17条の3の3が適用されるものであること。
(2)    総合操作盤に係る点検については、消防設備士又は消防設備点検資格者のうち当該消防用設備等に係る資格を有する者が行うものであること。
   なお、複数の消防用設備等に係る監視、操作等を行う総合操作盤にあっては、第四類の消防設備士又は第二種消防設備点検資格者が中心になって点検を行うことが望ましいこと。
(3)    消防用設備等に係る総合操作盤は、当該消防用設備等に含まれることから、総合操作盤に係る工事及び整備は、消防設備士のうち当該消防用設備等に係る資格を有する者が行うものであり、着工届についても、消防設備士のうち当該消防用設備等に係る資格を有する者が行うものであること。
   なお、複数の消防用設備等に係る監視、操作等を行う総合操作盤にあっては、第四類の消防設備士が中心になって工事及び整備を行うことが望ましいこと。

   既存防火対象物の取扱い
   既存防火対象物のうち、旧2号告示及び旧3号告示の基準により既に設置されている総合操作盤等については、7号告示及び8号告示の基準に適合しているものとして取り扱って差し支えないこと。
   なお、旧3号告示の規定により総合操作盤が設置されている場合と同等以上の効力を有するものとして令第32条の規定を適用されているものについては、引き続き、総合操作盤と同等以上の効力を有するものとして取り扱って差し支えないこと。

   その他
   この通知の実施に伴い、「消防用設備等に係る操作盤を設ける防火対象物の要件、操作盤の基準及び操作盤の設置免除の要件を定める件を定める告示の制定について」(平成9年3月21日付け消防予第50号)は廃止するものであること。