通知・通達

消防危第26号 屋内貯蔵所等における危険物以外の物品の貯蔵に係る運用基準について(平成10年3月16日)

消消防危第26号
平成10年3月16日


各都道府県消防主管部長
  殿



消防庁危険物規制課長     

屋内貯蔵所等における危険物以外の物品の貯蔵に係る
運用基準について(通知)


 危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令(平成10年自治省令第6号)が平成10年3月4日に公布され、原則として、平成10年3月16日より施行されることとなった。
 今回の改正により、屋内貯蔵所又は屋外貯蔵所において貯蔵できる危険物以外の物品及び屋外タンク貯蔵所、屋内タンク貯蔵所、地下タンク貯蔵所又は移動タンク貯蔵所において貯蔵できる危険物以外の物品の範囲が広げられたところである。
 今般、危険物以外の物品を屋内貯蔵所等において貯蔵する場合について、標記の運用基準を下記のとおり定めたので通知する。
 ついては、貴管下市町村に対してもこの旨示達され、その運用に遺漏のないようよろしく御指導願いたい。
令 :危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)
規則:危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)




1 屋内貯蔵所又は屋外貯蔵所において貯蔵することができる危険物以外の物品に関する事項

 (1) 従来、第二類の危険物のうち引火性固体と同時に貯蔵することができる危険物以外の物品については、可燃性固体類(令別表第4備考第5号の可燃性固体類をいう。以下同じ。)又は可燃性液体類(令別表第4備考第7号の可燃性液体類をいう。以下同じ。)とされていたが、今回の改正により、新たに合成樹脂類(令別第4備考第8号の合成樹脂類をいう。以下同じ。)又は可燃性固体類、可燃性液体類若しくは合成樹脂類のいずれかを主成分として含有するもので危険物に該当しない物品が追加されたこと(規則第38条の4第1号ロ関係)。
   この場合の「可燃性固体類、可燃性液体類若しくは合成樹脂類のいずれかを主成分として含有するもの」の例としては、水性塗料等が該当するものであること((2)について同じ。)。

 (2) 従来、第四類の危険物と同時に貯蔵することができる危険物以外の物品については、可燃性固体類又は法別表第四類の項の品名欄に掲げる物品を主成分として含有するもので危険物に該当しない物品(可燃性液体類を含む。)とされていたが、今回の改正により、新たに合成樹脂類又は可燃性固体類、可燃性液体類若しくは合成樹脂類を主成分として含有するもので危険物に該当しない物品が追加されたこと(規則第38条の4第1号ハ関係)。

 (3) 今回の改正により、新たに危険物と危険物に該当しない不燃性の物品(貯蔵する危険物及び危険物以外の物品と危険な反応を起こさないものに限る。)を同時に貯蔵することができるものとされたこと(規則第38条の4第1号ヘ関係)。
   この場合の「危険な反応」とは、意図しない爆発的な反応、燃焼を促進させる反応、有毒ガスを発生させる反応等をいうものである。

 (4) 危険物と危険物以外の物品とを貯蔵する場合には、それぞれをとりまとめて貯蔵し、かつ、相互に1メートル以上の間隔を置くこととされているが、危険物以外の物品の貯蔵にあたっては、以下の事項に留意すること。
  ① 原料等の物品については原則として適応した容器等に収納すること。
  ② 容器等により積み重ねる場合は、周囲で貯蔵する危険物に悪影響を及ぼさないよう、積み重ね高さに留意すること。また、架台により貯蔵する場合は容易に落下しない措置を講じること。
  ③ 貯蔵する物品を明示すること。

 (5) 規則第38条の4第1項において規定される物品以外であっても、危険物の貯蔵に伴い必要なパレット等の貯蔵用資材、段ボール等の梱包用資材、空容器類、フォークリフト等の荷役機器、油吸着マット等の防災資機材等については、必要最小限の量に限り存置できるものであること。この場合、以下の事項に留意すること。
  ① 貯蔵用資材、梱包用資材及び空容器類については、とりまとめて貯蔵し、危険物と相互に1メートル以上の間隔を置くとともに、積み重ねる場合は、周囲で貯蔵する危険物に悪影響を及ぼさないよう、積み重ね高さに留意すること。
  ② 荷役機器については、消火活動上支障のない専用の場所を定めて置くこと。
  ③ 防災資機材については、とりまとめて貯蔵し、危険物と相互に1メートル以上の間隔を置くとともに、当該防災資機材が使用できないときの代替措置が講じられているものであること。

2 屋外タンク貯蔵所、屋内タンク貯蔵所、地下タンク貯蔵所又は移動タンク貯蔵所において貯蔵することができる危険物以外の物品に関する事項

 (1) 従来、第四類の危険物を貯蔵し、又は取り扱う屋外タンク貯蔵所、屋内タンク貯蔵所、地下タンク貯蔵所又は移動タンク貯蔵所において貯蔵することができる危険物以外の物品については、可燃性固体類又は法別表第四類の項の品名欄に掲げる物品を主成分として含有するもので危険物に該当しない物品(可燃性液体類を含む。)とされていたが、今回の改正により、新たに合成樹脂類若しくは可燃性固体類、可燃性液体類若しくは合成樹脂類を主成分として含有するもので危険物に該当しない物品又は危険物に該当しない不燃性の物品(貯蔵し、又は取り扱う危険物若しくは危険物以外の物品と危険な反応を起こさないものに限る。)が追加されたこと(規則第38条の4第2号イ関係)。
   この場合の「可燃性固体類、可燃性液体類若しくは合成樹脂類を主成分として含有するもの」の例としては、アスファルト(可燃性固体類)を水に溶解させたもの等が該当するものであること。
   また、「危険な反応」とは、意図しない爆発的な反応、燃焼を促進させる反応、有毒ガスを発生させる反応等をいうものであり、「不燃性の物品の例」としては、水等が該当するものであること((2)について同じ。)。

 (2) 今回の改正により、新たに第六類の危険物を貯蔵し、又は取り扱う屋外タンク貯蔵所、屋内タンク貯蔵所、地下タンク貯蔵所又は移動タンク貯蔵所において、法別表第六類の項の品名欄に掲げる物品(同表第六類の項第5号に掲げる物品を除く。)を主成分として含有するもので危険物に該当しない物品又は危険物に該当しない不燃性の物品(貯蔵し、又は取り扱う危険物若しくは危険物以外の物品と危険な反応を起こさないものに限る。)を貯蔵することができるものとされたこと(規則第38条の4第2号ロ関係)。
   この場合の「法別表第六類の項の品名欄に掲げる物品を主成分として含有するもので危険物に該当しない物品」の例としては、過酸化水素を含有するものの濃度が低いため危険物に該当しない物品等が該当するものであること。

 (3) 今回の改正により、危険物以外の様々な物品を貯蔵することが可能となることにかんがみ、危険物以外の物品を貯蔵する際には屋外タンク貯蔵所、屋内タンク貯蔵所、地下タンク貯蔵所又は移動タンク貯蔵所の構造及び設備に悪影響を与えないよう貯蔵することが要件として明示されたこと(規則第38条の4第2号各号列記以外の部分関係)。
   この場合の「構造及び設備に悪影響を与えないよう貯蔵する」とは、例えば、貯蔵する危険物と比較して比重の大きな物品を貯蔵する場合にあっては、当該タンクにおいて貯蔵される危険物の最大重量を超えない範囲で貯蔵すること等を指すものであること。

 (4) 危険物以外の物品を貯蔵する場合にあっても、貯蔵する物品を明示すること。